中道改革連合に対する2026年分の政党交付金は、23億3881万2000円と決まっている。同党は所属する衆院議員49人が新党結成と公明党への再結集に分かれた後も、国会議員1人を残して政党として存続させる方針を9月9日に決めた。小川淳也代表(当時)が挙げた理由は、総選挙で民間業者に負った「何十億円」の支払いが終わっていないことである。本紙は、この形を認めない。10月と12月の未交付分、約11億6940万円の交付請求を見送るべきだ。それで足りなくなる分は、党に所属していた49人が頭割りで埋めればよい。1人あたり約2386万円である。すでに渡った分まで返せとは言わない。問うているのは、これから国庫から出ていく金の話だ。

23億円は「国民から徴収された税金」だ

総務省が4月8日に公表した交付決定によると、中道改革連合への2026年分の交付決定額は23億3881万2000円で、自民党、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党に次いで多い。交付総額315億3651万9000円の7.42%にあたる。同党は今年1月15日の結党で、前年の交付実績はない。まるごと新規の23億円である。この額は、1月1日(基準日)と2月9日(選挙基準日)現在の各党の届出に基づいて算定されたものだと、総務省の交付決定は説明している。

政党交付金は年4回、4月・7月・10月・12月に交付される。政党助成法11条1項は、4月にその年分の4分の1、7月に残額の3分の1、10月に残額の2分の1、12月に残額の全部、と定める。分母が回を追って小さくなるため結果として4回とも同額になる仕組みで、中道改革連合の場合は1回あたり約5億8470万円だ。4月と7月の交付時期はすでに過ぎており、単純に計算すれば約11億6940万円が渡っている。残る約11億6940万円が、10月と12月の分である。なお、交付された金が実際に何に使われたかは、翌年に各党が総務大臣へ提出する使途等報告書で公表される(政党交付金315億円の使い道)。

この金の性格について、政党助成法は4条2項でこう定めている。「政党は、政党交付金が国民から徴収された税金その他の貴重な財源で賄われるものであることに特に留意し、その責任を自覚し、その組織及び運営については民主的かつ公正なものとするとともに、国民の信頼にもとることのないように、政党交付金を適切に使用しなければならない」。条文が「国民の信頼」という言葉をわざわざ使っている法律は多くない。

法律は「解散」も「分割」も用意している

政党助成法は、政党が畳まれる場面の手続きを丁寧に書き分けている。

22条は、政党が解散した場合、その年分として交付すべき政党交付金は交付しないと定める。ただし解散前に交付済みの分については、この限りでないとし、返還を求めていない。法律が想定する最も素直な出口は、ここである。

23条3項は、政党が「分割」した場合の扱いを定める。未交付分は、分割で解散する政党に代わり、「分割により設立される政治団体」で所属国会議員が5人以上いるもの(分割政党)に、それぞれの所属議員数で按分して交付される。分割政党は、設立の翌日から15日以内に総務大臣へ届け出なければ受け取れない。条文の文言に照らせば、立憲民主党出身の21人で立ち上げる新党(小川前代表が9月11日の会見で説明したもの)はこの「設立される政治団体」にあたりうるが、すでにある公明党へ戻る議員の側は新たな「設立」ではない。49人の分かれ方が、そのまま分割の枠に収まる形ではなかったことになる。それでも、22条の解散という出口は最後まで残っていた。

ところが同党が選んだのは、そのどちらでもない。9月9日の常任幹事会が決めた文書は、党は「党所属国会議員1名を残し、当面の間、政党として存続」し、清算活動の完了後に最終的な組織整理を行うとしている。政党助成法2条1項は、所属国会議員が5人以上いる政治団体か、それに該当しない国会議員がいて直近の国政選挙の得票率が2%以上の政治団体を「政党」と定める。議員1人で政党の地位を保つなら、拠り所は後者の得票率要件になる。解散でも分割でもない第三の道を通ることで、10月と12月の交付は止まらない。

この選択を、党は9月16日の会見で明言した。渡辺創・新代表は、党組織について協議した結果、「旧政党ごとに分割する方式ではなく」、中道改革連合を新代表1人が引き継ぎ、組織・会計・法務面の整理を終えた後に新党へ合流する方針を選んだと説明している(中道改革連合、新代表に渡辺創氏 国会議員48人の離党を承認し1人だけ党に残る)。統一会派の経緯は中道改革連合、「1党建てより2党建て」で統一会派へにまとめている。

法律の用意した出口を通らず、交付だけが続く経路を選んだ。この一点が問題の核心である。

「支払いが残っている」は、受け取る理由にならない

小川代表は9月11日の記者会見で、交付金の返還を求める指摘について「批判があることは極めて厳しく、謙虚に受け止めたい」と述べた。そのうえで、民間業者に対して何十億円という総選挙の支払いの精算が終わっていない状況にあるとし、「社会的、経済的実態として責任を最後まで果たす必要があるとの思いだ」と説明している。

業者への支払いを踏み倒さない。その姿勢そのものは否定しない。踏み倒せば困るのは、選挙用のポスターを刷った印刷会社であり、会場を貸した業者であり、そこで働いている人たちである。払うべきだ。

問題は、その原資である。党が自ら発注して負った債務をどう工面するかは、党とその議員が解くべき問題であって、国庫から追加で11億円を引き出す理由にはならない。すでに渡っている約11億6940万円を支払いに充てるのは構わない。むしろ政党助成法33条2項1号は、その年に交付を受けた額から支出した額を引いて残余があれば、総務大臣がその返還を命じることができると定めており、受け取った金は使うか返すかのどちらかである。だが、まだ渡っていない約11億6940万円は、請求しなければそれで終わる。

交付金は「請求書を出さなければ」交付されない

解散も分割もしないまま交付を止める方法は、法律の本則に書いてある。政党助成法11条2項は、政党が交付を受けようとするときは総務大臣に請求書を提出しなければならないと定め、同条3項は「前項の請求書を同項の定めるところにより提出しない政党に対しては、その年分の政党交付金は、交付しない」と続ける。

つまり、10月と12月の約11億6940万円は、党が請求書を出して初めて国庫から出る。出さなければ、それだけで交付は起きない。解散届も分割の届出も要らず、党の側が何もしないことで完結する。

3項にはただし書きがあり、その年の12月の交付時期までに請求書が提出されれば、その分は交付される。いったん10月分を見送っても12月までに考えを変えれば受け取れるということでもあるが、少なくとも「制度上、受け取らずに済ませる手続きが用意されていない」という言い訳は成り立たない。

他方で、国の側からこの金を止める仕組みは用意されていない。政党助成法4条1項は、国が交付にあたって条件を付けたり使途を制限したりしてはならないと定めている。政党の政治活動の自由を守るための規定だ。使い道が納得できないから交付を絞る、という裁量を総務大臣は持たない。止められるのは、請求書を出さないという政党自身の判断だけである。「制度上は受け取れる」は、受け取ってよい理由にはならない。

10月分の請求期限は過ぎた 残るのは12月の判断

総務省の制度解説によると、交付請求の期限は原則として各月とも10日までで、交付金は20日に交付される。10月分でいえば、請求の期限は10月10日で、交付は10月20日になる。この記事を更新した10月14日の時点で、10月分の請求期限はすでに過ぎている。

中道改革連合が10月分を請求したのかどうかは、確認できていない。党の公式サイトの活動ニュースには、9月17日に議員総会の記録を載せた後、10月13日の党日程まで新しい記事がなく、交付金の請求について党が説明した記録は見当たらない。

仮に10月分が請求されていたとしても、12月分の約5億8470万円は、まだ党の判断の中にある。12月も期限は原則10日、交付は20日だ。11条3項のただし書きがあるため、10月分を見送っていた場合でも、12月の交付時期までに請求書を出せば10月分を含めて受け取れる。逆に言えば、請求しないと決めるなら、12月までその姿勢を保つ必要がある。

結果は、いずれ公の記録になる。政党助成法は、総務大臣が毎年12月31日現在で、その年に各政党へ交付した政党交付金の額を告示しなければならないと定めている。党が受け取った額は、この告示で確かめられる。使い道については、党の会計責任者が12月31日現在で報告書をまとめ、原則として翌日から3か月以内に総務大臣へ提出する。業者への支払いに充てたのか、どこにいくら払ったのかは、そこで初めて数字になる。

49人で頭割りすれば1人2386万円

未交付の約11億6940万円を請求しなければ、その分は支払い原資から抜ける。抜けた穴を、党に所属していた衆院議員49人で割ると、1人あたり約2386万円になる。12月分の約5億8470万円だけでも、49人で割れば1人あたり約1193万円である。

軽い額ではない。だが、この49人は誰かに解党を強いられたわけではない。9月9日の決定文書は、結党時には総選挙の後に立憲民主党と公明党の参院議員らが組織的に合流する予定だったが、3党の協議の結果その前提が大きく変わったとし、「中道改革連合、立憲民主党、公明党が一つになるという形を実現できなかった」ことについて、一票を託した有権者に謝罪している。前提が崩れたと判断し、新党の結成と公明党への再結集という次の身の振り方を決めたのも、この49人自身だ。看板を出して選挙を戦い、8か月で下ろすと決めたのは、他の誰でもない。

「何十億円」という支払いの全体像を知っているのは党だけであり、既交付分と議員の頭割りで足りるかどうかは、外からは判断できない。だからこそ、党は残りいくらなのかを数字で示すべきだ。そのうえで、少なくとも、これから国庫から出ていく金は自分たちで埋められる。自分たちの判断で看板を下ろし、その費用は自分たちで持つ。順序として、それ以外にない。

新代表は、交付金について語らなかった

9月16日の議員総会で小川代表の辞任と渡辺創氏の後任代表選出が全会一致で決まり、所属国会議員48人の離党も承認された。新党名は「民主改革の会」の案が了承された。渡辺氏は同日、国会内で就任記者会見を開いている。

会見で渡辺代表が最も重い課題として挙げたのは、全国約190の総支部の整理だった。支部の閉鎖手続きに加え、政治資金収支報告書や各種報告書の作成、法定監査への対応があり、通常なら数カ月かかる作業を短期間で進める必要があると述べている。顧問弁護士や会計士の助言を得ながら手続きを進め、常任幹事会に非現職の総支部長経験者や党職員代表を加えて意思決定の仕組みを整えるとも説明した。

党が公表した会見の記録に、10月と12月の交付請求をどうするかの言及はない。業者への支払いの残額がいくらなのかも、示されていない。小川前代表は総会で、渡辺氏が政党交付金の管理と社会的・経済的責任を一手に担う形について「有権者に分かりにくい」との批判が出ていることを認め、「外形的な批判をより重く受け止めるべきだった」と述べたうえで、職責や権限を定めた内部規定の整備と合議制によってガバナンスを確保すると説明した。

語られたのは、受け取った金をどう適正に管理するかである。受け取るかどうかは、論点にならなかった。

10月分の扱いが説明されないまま、12月の請求期限まで2か月を切った。請求書を出さないという選択は、いまも党の手元にある。それを使わずに12月まで交付を受け続けるのであれば、中道改革連合が最後に有権者へ残すものは、税金で幕引きを買った前例ということになる。

その後、同党は10月1日に請求書を提出し、10月20日に10月分の5億8470万3000円の交付を受けた。11党への交付額と制度の仕組みは政党交付金の10月分、11党に78億8412万円を交付 中道改革連合も5億8470万円を請求で伝えている。残るのは12月分であり、請求書を出さないという選択は、なお党の手元にある。