総務省は9月11日、ふるさと納税のポータルサイトを運営する事業者に手数料の引下げを求めた要請について、20社から寄せられた回答を公表した。料率そのものを全面的に下げると答えた会社は少なく、「自治体が自ら集めた寄附に限って安くする」という形が目立つ内容となった。

「実質11.5%」を示して引下げを求めた

要請は5月22日付の「総税市第53号」として、総務省自治税務局長から一般社団法人ふるさと納税協会の会員企業に出された。ふるさと納税で受け入れた寄附金は税の控除を使って集められた公金であり、自治体の費用負担を軽くすべきだという理由で、8月31日までに対応方針を書面で回答するよう求めていた。

複数の回答書は、総務省が全国調査で示した「事業者への実質的な手数料率11.5%」という数字に言及し、自社がそれを上回るか下回るかを説明の軸に据えている。背景には令和8年度の税制改正がある。回答書によれば、寄附金のうち自治体が使える財源の割合について新たな基準が設けられ、令和11年度に向けて段階的に60%以上とすることが求められる。手数料が高いままなら、自治体は返礼品や事務の経費を削ってこの基準に合わせるほかない。

3%の仕組みは「自治体が自分で集めた分」に限られる

引下げを具体的に示した会社のうち、最も踏み込んだのは自治体側の集客を条件にした料率だ。さとふるは、自治体が独自の寄附募集活動で集めた寄附について手数料を3%とする新しい料率体系を導入するとし、適用開始は令和9年3月を予定していると答えた。

トラストバンクはすでに実施済みで、自治体が自前のウェブサイトやメールマガジン、イベントで募った寄附に3%を適用する「チョイス3」を2026年4月から契約先の全自治体(1700団体以上)に提供している。8月24日時点で導入した自治体は955団体、実際に寄附が発生したのは406団体だという。岡山県庁のマラソン事業では総寄附額の53%、山口県防府市の事例では67%がこの対象になったとしている。

KDDIも「au PAY ふるさと納税」で、自治体自身の広報を経由した寄附の料率を下げる仕組みを2027年4月1日までに導入する予定と回答した。アイモバイル(ふるなび)は2030年を目標に、寄附受付額全体に対する実質の手数料水準を今より4%分下げる方針を示し、自治体が自ら募った寄附向けには3%程度を目安に検討しているとした。

料率の水準そのものを下げると答えたのはイオンフィナンシャルサービスで、「まいふる」の掲載手数料率を2027年春頃をめどに9.0%まで引き下げるとした。三越伊勢丹は返礼品を伴わない寄附について引下げを実施する方針を示し、Workthyは9月24日に始める寄附受付機能を3.9%(税別)で提供すると答えた。LINEヤフーは令和8年度内に対応方針を決めるとして、結論を先送りした。

半数以上は「現行維持」 最大手の楽天も据え置き

一方、現行の料率を維持すると答えた会社が半数を超えた。楽天グループは、決済手数料を含めても10%を下回り同業他社と比べて低い水準だとして、当面は現状のまま維持すると回答した。JR東日本(JRE MALL ふるさと納税)は7%(税抜)、JALUXは開始当初の9%から8%へ下げてきた経緯を挙げ、いずれも当面の据え置きを示した。

エスツーは基本プラン3500円(税別)と広告プラン2%という体系を挙げ、これ以上下げればシステム運用やセキュリティの維持が難しくなると回答。ANAあきんど、クレディセゾン、東急、ファミマデジタルワン、朝日放送テレビ、アステナミネルヴァ、サンカクキカク、オールアバウトライフマーケティングも、既に業界平均を下回っている、あるいは費用の構造上これ以上は困難だとして、現行水準の維持か今後の検討にとどめた。

要請に強制力はなく、効き目は税制側の基準しだい

今回の要請は法律に基づく命令ではなく、各社の回答も自主的な方針の表明にすぎない。手数料を下げなければ罰則がある仕組みではないため、公表そのものが横並びを促す圧力として働く形になる。

制度としての手綱を握るのは税制側だ。寄附金のうち自治体が使える割合の基準が段階的に引き上げられる以上、手数料が下がらなければ、自治体は返礼品の調達費や送料、広報費を削って帳尻を合わせることになる。今回の回答で主流となった「自治体が自ら集めた寄附は安くする」という設計は、裏返せば、自治体が自前で寄附者を集める力を持てば負担を下げられるということでもある。総務省は今回、回答を公表するにとどめ、追加の措置には触れていない。