自民党と日本維新の会は7月7日、衆議院の議員定数を削減する法案について、7月17日に会期末を迎える今の特別国会での成立を見送る方針を確認した。高市早苗首相と維新代表の吉村洋文・大阪府知事が国会内で会談し、皇位継承を安定させる皇室典範改正案の審議を優先することで一致した。法案の成立自体が見送られるため、定数削減は今の国会では実現しないことになる。

「身を切る改革」の看板政策

議員定数の削減は、維新が長年掲げてきた「身を切る改革」の看板政策だ。議員自らが数を減らすことで、国民に負担を求める前にまず政治が身を削る姿勢を示す、という考え方に立つ。自民党との連立合意にも、副首都構想の関連法案とともに盛り込まれていた。

法案は、現在465の衆院定数を約1割にあたる45削減することを掲げる。具体的な線引きは衆院議長のもとに置く協議会で選挙制度改革と併せて話し合い、法の施行から1年以内に結論を得るとしている。仮に期限内に結論が出ない場合は、小選挙区で25、比例代表で20の計45を削減する規定も盛り込まれている。ただし、これらはいずれも法律が成立して初めて動き出す仕組みであり、今回のように法案自体が成立しなければ、削減は始まらない。吉村代表は自身のX(旧ツイッター)で「有権者との約束である公約の実現を目指すのは、政治家として当然だ」と述べ、成立に強い意欲を示してきた。

「民主主義の破壊」と叫びながら、審議から逃げた野党

法案は6月29日、与党が衆院の政治改革特別委員会で審議入りに踏み切った。ところが多くの野党は、この法案を「議会制民主主義の破壊だ」などと激しく非難しながら、肝心の委員会を欠席し、審議そのものを拒んだ。参議院での審議に充てられる日程も限られ、会期内に成立させる見通しは立たなくなった。成立を阻んだ最大の要因は、この審議拒否だ。

だが、よく考えたい。定数削減に反対なら、その理由を国会の場で正々堂々と述べ、賛成派と論戦を交わせばよい。議場に現れず、質疑にも応じず、ただ欠席によって法案を止める――これは「反対」ではなく、議論の放棄である。有権者から負託を受けた国会議員が、審議という最も基本的な職務を放棄しておきながら、他方を「民主主義の破壊」と呼ぶ。民主主義を空洞化させているのは、はたしてどちらなのか。

しかも、国会が空転している間も、議員には歳費やボーナスが満額支払われている。仕事の中身である審議を拒みながら報酬だけは受け取る構図に、有権者の視線は厳しい。ちなみに、復興増税の際に国会議員全体で始めた議員報酬の2割削減を、今も続けているのは維新だけだという。

皇室典範を優先、副首都法案は成立目指す

与党は定数削減を見送る一方で、皇族数の確保に向けた皇室典範改正案の審議を優先させる。会期末が目前に迫るなか、限られた日程で確実に仕上げる案件を絞り込んだ形だ。副首都構想の関連法案については、今国会での成立を引き続き目指すという。

定数削減は廃案となるわけではなく、議長のもとの協議会などで引き続き話し合われる。維新は次の衆院選までの実現を視野に入れる。もっとも、法案が成立しなかった以上、自動削減の規定も動かず、定数はこの国会では一つも減らないままだ。審議拒否という手段で、野党はひとまず削減を止めた形になる。反対する会派には、次こそ委員会の席に着き、なぜ反対なのかを正面から語る責任がある。「民主主義を守る」と言うのなら、まずは議論の場に戻ることだ。