自民党と日本維新の会が共同で提出した「副首都」整備の関連法案が、6月30日に衆議院の地域活性化などに関する特別委員会で審議入りした。正式名称は「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律案」。両党は6月24日に衆院へ提出していた。

「副首都」法案とは何か

法案の狙いは、大きく二つある。一つは、首都直下地震のような大規模災害で東京が機能不全に陥ったときに、政治や経済の中枢機能を肩代わりできる都市をあらかじめ整えておくこと。もう一つは、東京への一極集中を和らげ、地方にも成長の拠点をつくる「多極分散型」の経済をめざすことだ。

その「副首都」として念頭に置かれているのが大阪だ。首都機能のバックアップ拠点を用意しておけば、東京が被災しても国全体の機能が止まりにくくなる、という発想に基づく。

大阪都構想の住民投票めぐり修正

法案には、大阪都構想の実現に向けた住民投票を可能にする付則が盛り込まれた。これに対し、自民党内から慎重論や異論が出たため、住民投票の対象を大阪市民に限定する修正が加えられたうえで提出された。

大阪都構想は、大阪市を廃止して特別区に再編する構想で、過去2回の住民投票ではいずれも僅差で否決されている。副首都法案は、維新が長年掲げてきたこの構想とも密接に結びついている。

審議拒否を続ける野党 仕事を放棄していないか

一方、野党の対応は看過できない。6月30日の特別委員会は、与党の委員長が職権で開催を決めたことに野党が抗議し、欠席する中で始まった。委員会への付託を決めた6月26日の議院運営委員会でも、野党は欠席している。

手続きへの抗議はあってよい。しかし、その手段が「審議の場に出ない」ことであってはならない。法案に異論があるなら、質疑に立って正面から論戦を挑むのが国会議員の仕事であり、そのために歳費が支払われている。首都直下地震への備えという、国民の生命に直結するテーマの議論を丸ごと拒否するのは、職務の放棄にほかならない。審議拒否は「反対」の意思表示ですらなく、政治そのものをやる気がないと表明しているに等しい。

今後の見通し

与党は今の国会での成立を目指している。ただ、参議院は与党が過半数に届かない少数与党の状態が続いており、法案を成立させるには他党の賛成を得る必要がある。日本維新の会は、野党各党への働きかけを本格化させる考えを示している。野党側も、審議拒否で時間を空費するのではなく、議場で賛否を明らかにする責任がある。与党が協力をどこまで取り付けられるかとあわせ、野党が「議論する政治」に戻れるかどうかも、成立の分かれ目となる。