政府の社会保障国民会議に置かれた「給付付き税額控除等に関する実務者会議」は6月、制度の中間とりまとめを示した。中低所得の働く世代を対象に、所得に応じた現金給付を毎年続ける新たな制度を、令和11年度(2029年度)に導入する方向を打ち出した。

「給付付き税額控除」とは

給付付き税額控除は、税の負担を軽くする「税額控除」と「現金給付」を組み合わせた仕組みだ。所得税が少なく控除しきれない低所得の人には、控除しきれない分を現金で給付する。欧米で導入例があり、日本でも導入の是非が長く議論されてきた。

今回の中間とりまとめは、有識者の議論を経て、実務者会議が制度の方向性を整理したものだ。「理想形は給付と税額控除の組み合わせが望ましい」との意見がある一方、制度が複雑になるのを避けるため、当面は給付の形から始めるべきだとの考えも示され、まずは給付を軸に据えた。

2029年度に「所得連動の給付」

新制度は、中低所得の現役勤労者の税・社会保険料の負担を和らげ、手取りを増やすことを狙う。これまでの一律の給付金とは異なり、「所得に連動したきめ細かな給付」を毎年続けるのが特徴だ。とりまとめは、これを令和11年度(2029年度)に導入するとし、そのための法整備を「可及的速やかに講ずる」とした。

対象は、給与や事業、フリーランスなどの働いて得た所得が一定額以上あり、税や社会保険料を負担している人。世帯ではなく「個人単位」とし、単身者も対象に含める。

「年収の壁」対策と子ども加算

給付額は原則として所得に応じて決める。働く意欲を高めるため、所得が一定の水準に達するまでは給付額を増やし、その後は定額とする。所得が高くなると、公平性の観点から額を徐々に減らし、やがてゼロにする。

パートなどで一定の収入を超えると手取りが減る「年収の壁」を超えて働く人には、給付を上乗せする。18歳以下の子どもを扶養している場合は、人数に応じて加算する。

最終形はなお議論、法整備を急ぐ

中間とりまとめは、制度の本格導入までの間に設ける「経過措置(つなぎ)」も含めて検討を重ねたとしている。給付付き税額控除の理想形・最終形については、実務者の間でなお意見の隔たりがあり、今後も継続して議論するとした。

政府は令和11年度の導入に向け、必要な法整備を可及的速やかに進める方針だ。物価高で家計の負担が重いなか、働く世代にどう支援を届けるかが、制度設計の焦点となる。