総務省は9月18日、電波をどの用途に振り分け直すかを毎年見直す「周波数再編アクションプラン」の令和8年度版の案を公表した。19日から10月23日まで意見を募集し、寄せられた意見を踏まえて正式版をまとめる。案は2040年末に必要になる電波の幅を73.1GHz幅と見積もり、2023年末時点で確保できているのは26.5GHz幅だとして、残る約47GHz幅をどう積み増すかを工程表の形で並べている。

必要な幅は、今ある幅の2.8倍

73.1GHz幅という数字は、2024年8月にまとまった総務省の懇談会報告書が、2040年の無線通信量を地域の類型ごとに割り振って試算したものだ。内訳は携帯電話網が約42.5GHz幅、通信衛星や上空の基地局を使う非地上系ネットワーク(NTN)が約16.7GHz幅、Wi-Fiが約13.9GHz幅である。

携帯電話網の42.5GHz幅は、さらに周波数の高さで三つに分かれる。建物の中や遠くまで届きやすい6GHz以下のローバンドは約1.8GHz幅、6GHzを超えて30GHz以下のミッドバンドは約4.5GHz幅、30GHzを超えるハイバンドは約36.2GHz幅。必要量の大半が高い周波数に寄っているのは、低い周波数ほど既に別の用途で埋まっていて空きがないからだ。高い周波数は幅を広く取れる代わりに、電波が遠くまで届かず障害物にも弱いため、基地局を数多く立てる必要がある。

昨年度の上積みは3.265GHz幅、その9割超が衛星1件

案には、目標に対する進み具合も書かれている。令和7年度の1年間で確保できたのは3.265GHz幅だった。内訳は、人工衛星で受信できる920MHz帯の特定小電力無線局として0.015GHz幅、Ka帯の非静止衛星システム向けとして3.25GHz幅である。上積み分のほぼ全量が、衛星通信の1件で稼いだ形になる。

2023年末を起点にした残り約47GHz幅を、2040年末までの17年で割ると、単純計算で年平均2.8GHz幅ほどのペースが要る。昨年度の3.265GHz幅はこれを上回るが、同じ規模の帯域をこの先も毎年見つけ続けられるかは別の話だ。低い周波数ほど既存の無線局が詰まっており、追い出すには移行先の確保と設備の入れ替えに費用と年数がかかる。案が「周波数の移行・再編には多大な時間・コストを要する」と断ったうえで、事業者が先を読めるよう中長期の見通しを示す必要があると書いているのは、そのためである。

6Gの候補は3帯域、検討開始は2027年度

次世代の6Gに向けては、2027年の世界無線通信会議(WRC-27)で国際的な割り当ての議題になる4400〜4800MHz、7125〜8400MHz、14.8〜15.35GHzの3帯域を挙げた。いずれも現在は固定無線や衛星、レーダーなどが使っている帯域で、携帯電話に回すには既存の無線と電波を分け合えるかを技術的に詰める必要がある。案は、この共用検討を令和9年度、つまり2027年度から始めると時期を明示した。

一方、5Gの割り当ては局面が変わっている。26GHz帯では今年6月、国内初の価額競争(オークション)が行われ、7月に25.8〜26.2GHzの全国枠と26.8〜27.0GHzの地域枠が5Gに割り当てられた。この帯域を今使っている無線システムには令和13年5月末という使用期限が設けられ、さらに先の割り当てに備えて移行が促される。逆に40GHz帯は、昨年5月の利用意向調査で早く割り当ててほしいという希望が出なかったため、時期を改めて検討することになった。

衛星から直接スマホへ、無線LANは屋外へ

2026年度中に制度が動くものも並ぶ。携帯電話の端末が基地局を介さず衛星と直接つながる「衛星ダイレクト通信」は、715〜718MHzと770〜773MHzを使う方式について年内に制度整備を行う。成層圏に無人機を滞空させて基地局代わりに使うHAPS(高高度プラットフォーム)は、今年4月に制度整備が済んだ。

6GHz帯の無線LANでは、北米で先に導入された「SPモード」を令和8年度中に制度化する。今の日本では6GHz帯のWi-Fiは低い出力での利用が中心で、屋内向けの使い方に事実上とどまっているが、SPモードが入れば出力を上げて屋外でも使えるようになる。ただし同じ周波数を使う既存の固定無線と衝突しないよう、場所ごとに使えるチャンネルを自動で割り振るAFCという仕組みが前提になり、その運用体制づくりが課題として残っている。