障害者を一定割合以上雇うよう企業に義務づける「法定雇用率」が、7月1日から2.5%から2.7%へ引き上げられた。厚生労働省が段階的に進めてきた引き上げの一環で、雇用義務を負う企業の範囲も広がった。

法定雇用率とは

法定雇用率は、障害のあるなしにかかわらず、誰もが希望や能力に応じて働ける「共生社会」をつくるという考え方に基づく制度だ。障害者雇用促進法により、すべての事業主に、働く人のうち一定の割合以上の障害者を雇う義務がある。

民間企業がこの割合を下回った場合、常用労働者が一定数を超える企業は、不足に応じて「障害者雇用納付金」を国に納める。集めたお金は、基準を上回って障害者を雇う企業に支払う調整金などに充てられ、雇用にかかる負担を企業間で調整する仕組みになっている。

段階的に引き上げ

今回の引き上げは、あらかじめ決められた計画に沿ったものだ。民間企業の法定雇用率は、2023年度(令和5年度)まで2.3%だったが、2024年4月に2.5%へ、そして今回2.7%へと段階的に上がった。企業が対応する時間を確保し、負担が一度に増えないよう、時間をかけて引き上げる形がとられた。

対象企業が拡大

率の引き上げに伴い、雇用義務を負う企業の範囲も広がった。これまでは従業員(常用労働者)が40.0人以上の企業が対象だったが、7月からは37.5人以上に下がる。より規模の小さな企業も、障害者を雇う義務を負うことになる。

企業には、毎年6月1日時点の障害者雇用の状況をハローワークへ報告する義務がある。あわせて、雇用を進める担当役の「障害者雇用推進者」を選ぶことも、努力義務として求められている。

業種ごとの「除外率」も引き下げ

このほか、障害者の就労が難しいとされてきた一部の業種には「除外率」という仕組みがある。法定雇用率が「従業員のうち何%以上の障害者を雇うか」を定めるのに対し、除外率は「その計算のもとになる従業員数から、何%を除いてよいか」を業種ごとに定めたものだ。除外率が高い業種ほど、雇わなければならない障害者の数は少なくて済む。

例えば除外率50%の幼稚園では、従業員100人のうち50人を計算から除けるため、雇用義務は残り50人に法定雇用率2.7%を掛けた1人となる(1人未満の端数は切り捨て)。除外率がなければ100人×2.7%で2人だ。つまり除外率50%の業種では雇用義務が半分になり、従業員全体に対する実質の雇用率は1.35%まで下がる計算になる。

厚労省は2025年4月、この除外率を各業種で一律に10ポイント引き下げた。ポイントは割合の差を表す単位で、建設業や鉄鋼業は20%から10%に、鉄道業や医療業は30%から20%に、幼稚園は60%から50%に下がった。もともと10%以下だった業種は、除外率の仕組みそのものの対象から外れた。除外率が下がった分だけ計算に入る従業員が増えるため、これらの業種では雇うべき障害者数が実質的に増える。法定雇用率の引き上げと合わせ、障害のある人が働く場を、業種や企業規模を問わず広げていく狙いがある。