厚生労働省は9月18日、都道府県と共催で10月1日から11月30日までの2か月間、「麻薬・覚醒剤・大麻乱用防止運動」を実施すると発表した。厚労省によると、2025年の大麻事犯の検挙人員は過去最多となる7120人で、覚醒剤事犯の検挙人員を引き続き上回る高い水準で推移している。運動は警察庁、こども家庭庁、法務省、最高検察庁、財務省税関、文部科学省、海上保安庁と、公益財団法人麻薬・覚せい剤乱用防止センターが後援する。

検挙の7割超が30歳未満

厚労省が公表した実施要綱は、2025年の大麻事犯の検挙人員が7000人を超えて過去最多となり、覚醒剤事犯の検挙人員と並んで高い水準にあると記した。そのうえで、大麻事犯の検挙人員全体の7割以上を30歳未満の若年層が占めており、「特に若年層における大麻の乱用が深刻な事態となっている」としている。

覚醒剤事犯の検挙人員は長く薬物事犯の最多を占めてきたが、近年は大麻がこれを上回る状態が続いている。薬物事犯は検挙されるまでに時間がかかるものが多く、検挙人員は実際の乱用者数そのものではなく、摘発された範囲を示す数字である点には注意がいる。それでも、摘発された人の年齢構成が若い方へ偏っていることは、乱用の入り口が若年層に移っていることを示す材料として扱われている。

全国6都市で地区大会

期間中、厚労省と都道府県は全国6都市で地区大会を開く。日程表によると、関東信越が10月25日にさいたま市の埼玉会館、北海道・東北が11月10日に仙台市の宮城野区文化センター、東海北陸が11月22日に津市の三重県総合文化センター、近畿が11月28日に大阪市のYES THEATERで開催される。このほか中国四国ブロックを岡山、九州ブロックを佐賀が受け持つ。

各大会は、薬物乱用防止に功績のあった人への表彰を柱に、中高生らが応募した薬物乱用防止ポスターの入賞者表彰や作品展示、専門家による特別講演を組み合わせる。参加人員の見込みは埼玉大会が450人、宮城大会が380人、三重大会が600人、大阪大会が300人となっている。

実施要綱は、政府広報などを通じた全国的な広報活動について、大麻の危険性・有害性を正しく知ってもらうための啓発を「より重点的に行う」と定めた。啓発の対象となる年齢層に応じて、薬物の基礎知識、具体的な危険性や有害性に加え、乱用に誘われたときの断り方まで伝えるとしている。

2024年12月から「使用」も罰則の対象

大麻をめぐる法制度は、この2年で大きく変わった。2024年12月12日に施行された改正法で、大麻は麻薬及び向精神薬取締法上の「麻薬」に位置づけられ、不正な使用にも同法の禁止規定と罰則(施用罪)が適用されるようになった。従来の大麻取締法には所持や譲渡などを罰する規定はあったが、使用そのものを直接罰する規定は置かれておらず、この点が制度上の空白として指摘されてきた。

2025年3月1日には第2段階として、栽培の規制が見直された。大麻由来製品の原料を採る「第一種大麻草採取栽培者」と、医薬品原料を採る「第二種大麻草採取栽培者」に免許が分けられ、第一種は成分のΔ9-THC濃度が0.3%以下の種子を使うことが条件になった。あわせて、製品に残っていてよいΔ9-THCの限度値が、油や粉末で10ppm、水溶液で0.10ppm、その他の製品で1ppmと定められ、これを超える製品は麻薬として規制の対象になる。

厚労省は運動の目的について、薬物乱用が乱用者個人の健康の問題にとどまらず、各種の犯罪の誘因になるなど公共の福祉に危害をもたらすとしたうえで、国民一人ひとりの認識を高めることで乱用の根絶を図ると説明している。実施期間は、都道府県の実情に応じて変更できる。