総務省が7月7日に発表した5月の家計調査(二人以上の世帯)によると、1世帯あたりの消費支出は32万345円で、物価変動の影響を除いた実質で前年の同じ月より0.4%減った。マイナスは6か月連続となった。賃金の伸びが続くなかでも、家計が支出を抑える姿勢は変わっていない。

そもそも「消費支出」とは

消費支出は、家計が食料や住居、光熱費、交通、教養娯楽などモノやサービスの購入に使ったお金の合計で、税金や社会保険料は含まない。つまり「暮らしのために実際にいくら使ったか」を示す指標だ。

注目されるのは「実質」の増減率である。給料と同じで、支出の金額そのもの(名目)が増えても、それ以上に物価が上がっていれば、実際に買えたモノやサービスの量は減ってしまう。物価上昇分を差し引いた実質でみることで、家計の「中身」がやせ細っていないかがわかる。5月はその実質が0.4%のマイナスだった。減少幅は3月の2.9%減、4月の0.5%減から縮まってはいるものの、プラスには戻っていない。

自動車関連が全体を最も押し下げ

費目別にみると、支出を最も押し下げたのは「交通・通信」で15.8%減った。なかでも自動車の購入などを含む「自動車等関係費」が21.6%の大幅な落ち込みとなり、これだけで全体を2.3ポイント分押し下げた。自動車のような高額な買い物は購入する時期が偏りやすく、月ごとの支出を大きく揺らす要因になる。

電気代やガス代などの「光熱・水道」も7.6%減った。電気代は7.7%の下落で、エネルギー価格をめぐる負担は前年より軽くなっている。

食料と耐久財は増加

一方で伸びた費目もある。「食料」は2.4%増と4か月ぶりのプラスに転じた。外食が8.9%、総菜などの調理食品が3.4%、肉類が2.3%それぞれ増えており、値上げが続くなかでも外食や中食への支出は底堅い。エアコンや冷蔵庫といった「家庭用耐久財」を含む「家具・家事用品」も23.0%増と大きく伸びた。

また、季節による変動をならした季節調整済みの指数でみると、消費支出は前月に比べて実質で3.7%増えている。前年比では6か月連続のマイナスだが、直近の1か月では持ち直しの動きも出ている。

賃金は上向くのに消費は慎重

家計が財布のひもを締める背景には、物価高の長期化がある。総務省と同じ7月7日に厚生労働省が発表した5月の実質賃金は前年同月比1.4%増と5か月連続のプラスで、賃金は物価を上回る伸びを保っている。それでも消費支出が6か月連続で前年を下回っているのは、賃金の改善が実感として広がる前に、将来への備えや節約を優先する家計の慎重な姿勢が続いていることを示している。賃上げの効果が消費の回復につながるかどうかが、今後の焦点になる。