厚生労働省は2026年9月30日、2025年の人口動態統計(確定数)を公表した。国内で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は67万1270人で、1899年(明治32年)に調査を始めて以来、最も少なかった。1人の女性が生涯に産む子どもの数の目安を示す合計特殊出生率は1.14で、前年の1.15を下回り、こちらも過去最低となった。どちらも10年続けて記録を更新している。

出生数は67万1270人、6月の概数から34人増えた

出生数は67万1270人で、前の年の68万6173人より1万4903人減った。減少率は2.2%で、10年連続の減少となった。

今回の確定数は、厚生労働省が2026年6月に公表した概数(月報年計)に修正を加えたものだ。概数の出生数は67万1236人だったので、確定数では34人増えたことになる。合計特殊出生率は1.14で、概数から変わらなかった。

人口1000人あたりの出生数を示す出生率は5.6で、前年の5.7から下がった。

母親の年齢を5歳ごとに区切ってみると、出生数が前の年より増えたのは14歳以下、30〜34歳、50歳以上の3つの層で、それ以外の層はいずれも減った。厚生労働省は報道発表資料で、30〜34歳の出生数が増えたことを調査結果の要点の一つに挙げている。一方、生まれた子どもが第1子か第2子かといった出生順位別でみると、どの順位でも前の年より減っていた。

合計特殊出生率1.14とは何を表すか

合計特殊出生率は、その年の15歳から49歳までの女性について、年齢ごとの出生率(その年齢の女性の人口に対する、その年齢の母親から生まれた子どもの数の割合)を計算し、すべて足し合わせた数値である。厚生労働省は用語の解説で、この数値は「1人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する」と説明している。

計算に使う分子は年間の母親の年齢別出生数、分母は10月1日現在の年齢別女性人口だ。15歳の出生数には14歳以下が、49歳の出生数には50歳以上が含まれ、年齢が分からないものは計算に入らない。

つまり1.14は、「2025年と同じ産み方が今後も続くと仮定した場合に、女性1人が一生のうちに産む子どもの数」を表した指標であって、実際にいまの女性が生涯に産む数が確定したという意味ではない。

10年前の1.45から、毎年下がり続けた

合計特殊出生率は2015年の1.45を最後に、そこから毎年下がっている。厚生労働省の年次推移によると、2016年1.44、2017年1.43、2018年1.42、2019年1.36、2020年1.33、2021年1.30、2022年1.26、2023年1.20、2024年1.15、そして2025年が1.14である。10年間で0.31下がった計算になる。

出生数の減り方はさらに大きい。2015年は100万5721人で、まだ100万人を超えていた。それが2019年に86万5239人と90万人を割り、2022年に77万759人、2023年に72万7288人、2024年に68万6173人と下がり続け、2025年の67万1270人に至った。10年間で33万4451人、率にすると3分の1が失われたことになる。

ただし減り方の勢いには変化もみられる。前年からの減少率は2022年が5.0%、2023年が5.6%、2024年が5.7%と5%台が続いていたが、2025年は2.2%にとどまった。厚生労働省も報道発表資料で、近年と比べて「緩やか」としている。これは減少が止まったことを意味するのではなく、減る速さが一時的に鈍ったということである。

死亡は5年ぶりに減り、婚姻は2年続けて増えた

死亡数は158万9533人で、前の年の160万5378人より1万5845人減った。死亡数が前年を下回るのは5年ぶりである。人口1000人あたりの死亡率は13.3で前年と同じだった。死因の順位は前年と変わらず、1位が悪性新生物(腫瘍)の37万8829人(死亡総数の23.8%)、2位が高血圧性を除く心疾患(同13.9%)、3位が老衰(同13.5%)だった。人口の年齢構成の違いをそろえて比べる年齢調整死亡率は、男性13.9、女性7.7で、いずれも前年の男性14.2、女性7.8から下がっている。日本人の平均寿命が男女とも前年より延びたこととも符合する(日本人の平均寿命は男81.35年・女87.33年)。

出生数から死亡数を引いた自然増減数は91万8263人のマイナスで、19年連続のマイナスとなった。前年のマイナス91万9205人よりマイナス幅はわずかに縮んだが、これは死亡数が減ったことによるもので、出生数が増えたわけではない。

婚姻件数は48万9158組で、前の年の48万5092組より4066組増えた。婚姻件数は2023年の47万4741組を底に、2024年、2025年と2年続けて増えている。離婚件数は17万9073組で、前年の18万5904組より6831組減った。死産数は1万5329胎で、前年の1万5323胎から6胎増えている。離婚した父母の親権については、2026年4月1日の改正民法施行から月報に統計表が加わった(共同親権、5月は子2248人で21.5% 施行初月4月の24.7%から下がる 母だけが親権を行う子は67.3%から70.1%へ)。

少子化の背景と、今後の公表予定

少子化が進む背景には、結婚する人が減っていることや結婚する年齢が上がっていること、子育てや教育にかかる費用の重さ、働き方や価値観の多様化など、複数の要因が絡み合っているとされる。出産の多くが結婚した夫婦のもとで起きている日本では、婚姻の動きが数年遅れて出生数に表れやすい。婚姻件数が2年続けて増えたことが今後の出生数にどう影響するかは、まだ確定していない。

結婚と出産に対する意識については、国立社会保障・人口問題研究所が5年ごとに実施する出生動向基本調査が詳しい。2026年9月に公表された第17回調査では、未婚者で「いずれ結婚するつもり」と答えた割合が男性75.1%・女性77.8%まで下がり、夫婦が持つつもりの子どもの数は1.95人と調査開始以来初めて2人を割った(第17回出生動向基本調査)。

出生数の減少は、すでに学校の規模にも表れている。文部科学省の令和8年度学校基本統計の速報値では、小学校の在学者数が565万4461人、中学校が306万31人でいずれも過去最少となった(小学生は565万4461人で過去最少、中学生も306万31人で過去最少)。

2026年に入ってからの出生・死亡・婚姻の月ごとの動きは、人口動態統計月報(概数)の5月分をもとに「1〜5月の出生数26万3635人、前年同期をわずかに上回る 死亡は7.8%減 人口動態統計月報」で伝えている。

なお今回の確定数では、人口を分母に使う各種の比率について全国の総数のみが公表された。都道府県別の合計特殊出生率など、より細かい数値は2026年11月に公表される予定である。