財務省は9月16日、2026年8月分の貿易統計速報を公表した。輸出は10兆483億円で前年同月より19.3%増え、輸入は11兆1539億円で28.0%増えた。差し引きの貿易収支は1兆1056億円の赤字となり、前年同月の2940億円の赤字から3.8倍に膨らんでいる。
伸びたのは数量ではなく単価
統計には、金額の動きを「数量」と「価格」に分けて示す貿易指数がある。2020年の水準を100として、その月の取引がどれだけ多く、どれだけ高かったかを表すものだ。
8月の輸出は、金額が前年同月比19.3%増だったのに対し、数量は2.5%増にとどまり、価格が16.4%上がっていた。輸入も金額28.0%増に対して数量は2.7%増で、価格は24.7%の上昇である。売り買いした「物の量」はほとんど変わらず、単価が上がったぶんが金額を押し上げた形になる。
赤字が膨らんだのも同じ理由による。輸入の単価が輸出の単価より速く上がれば、同じ量をやり取りしていても支払いのほうが先に増える。8月の輸入価格指数202.4に対し、輸出価格指数は186.5で、輸入側が上回っている。
原油の3割が米国産に
調達先の顔ぶれは大きく変わった。原油及び粗油の輸入量は全体で1159万4000キロリットル、3.6%の増加にとどまる一方、米国からの輸入は365万9000キロリットルと603.5%増え、前年同月の約7倍になった。金額は4004億円で、10倍を超えている。輸入量全体に占める米国産の割合は約3割にあたる。
入れ替わったのが中東だ。中東からの原油輸入量は725万5000キロリットルで30.9%減り、全体に占める割合は約6割になった。統計の前年同月比から逆算すると、前年8月は中東産が約1049万キロリットルで9割を超え、米国産は約52万キロリットルと5%に満たなかった。わずか1年で、日本が原油をどこから買うかの構図が動いたことになる。
液化天然ガス(LNG)も同じ方向に動いている。輸入量は全体で499万トンと6.8%減ったなかで、米国からは101万6000トンと146.3%増え、中東からは14万7000トンへ82.8%減った。日本は原油とLNGのほぼ全量を輸入に頼っており、どの国から買うかはエネルギー安全保障に直結する。中東情勢が不安定な時期に、供給元が一つの地域に偏らない状態へ動いているとみることができる。
対米黒字は703億円まで縮小
米国との取引に絞ると、輸出は1兆7244億円で24.9%増、輸入は1兆6540億円で55.2%増だった。差し引きの黒字は703億円で、前年同月比から逆算するとおよそ3100億円あった黒字が77.6%縮んだ計算になる。対米輸入の伸びは6月が52.6%増、7月が58.0%増、8月が55.2%増と、3か月続けて5割を超えている。
輸入を押し上げたのは鉱物性燃料で、対米輸入の6027億円、全体の36.4%を占め、前年同月から267.5%増えた。対米輸入全体の55.2%増のうち、燃料だけで41.2%分を説明する。
一方、対米輸出も数量が19.7%増と伸びている。自動車は9万713台で4.9%増、金額は3937億円で28.0%増えた。半導体等製造装置は484億円で112.5%増と倍以上になっている。輸出の価格上昇は4.4%にとどまり、対米向けは単価より実際の出荷が増えたことになる。
中国との取引は、輸出1兆8095億円(20.6%増)、輸入2兆3611億円(22.5%増)で、5515億円の赤字だった。アジア全体では3301億円の黒字を確保したものの、前年同月から38.3%減っている。
今回の数字は速報値で、確定した数値は翌月末ごろに確報として公表される。7月分は8月28日に確報が出ている。
