東京都は、国土利用計画法に基づく令和8年7月1日時点の都内の基準地価を9月16日付で公表した。住宅地・商業地・工業地・宅地見込地を合わせた全用途の平均変動率は前年比7.9%の上昇で、14年連続のプラスとなった。前年の7.7%からわずかに伸びが広がっている。区部では調査対象の726地点すべてで価格が上がり、下落した地点は1つも無かった。
基準地価は、都道府県が毎年7月1日時点の土地の値段を不動産鑑定士の鑑定に基づいて調べ、9月に公表するものだ。国が1月1日時点で調べる地価公示と半年ずれるため、両方を並べると土地の値段を半年ごとに定点観測できる。今回の調査地点は都内1,295地点で、内訳は住宅地776地点、商業地483地点、工業地19地点、宅地見込地6地点、林地11地点である。
区部は726地点すべてが上昇、島部は1地点も上がらず
用途別に見ると、住宅地の平均変動率は5.8%(前年5.6%)で14年連続のプラス、商業地は11.4%(同11.2%)で5年連続のプラス、工業地は10.8%(同10.6%)だった。
地区で差は大きい。区部は住宅地が8.7%(前年8.3%)、商業地が13.3%(同13.2%)、工業地が13.8%(同12.8%)で、全用途は11.1%(同10.8%)。多摩地区は住宅地3.5%(前年と同率)、商業地5.6%(同5.3%)で、全用途は3.9%(同3.8%)にとどまる。島部は住宅地が0.2%、商業地が0.3%それぞれ下がり、全用途でも0.3%の下落だった。
価格が上がった地点は都内で1,208地点(前年1,206地点)。地区別では区部が726地点のうち全726地点、多摩地区が531地点のうち482地点で、島部は28地点のうち1地点も無かった。用途別では住宅地が770地点中720地点、商業地が479地点中467地点、工業地が19地点すべてで上昇した一方、林地は11地点のうち上昇が無かった。
前年より下がった地点は17地点(前年15地点)で、内訳は区部0、多摩地区11、島部6。区部で下落した地点は2年続けてゼロである。
商業地は台東区19.6%が最大、都心5区は伸びが縮小
区部の住宅地で平均変動率が最も高かったのは港区で、前年の13.7%から16.3%に上がった。台東区が15.6%、文京区が13.8%で続く。千代田、中央、港、新宿、渋谷の都心5区は13.2%(前年12.9%)、その他の18区は8.1%(同7.7%)で、いずれも前年より伸びが広がった。多摩地区の住宅地は国立市の7.5%が最も高いが、前年の8.0%からは縮んでいる。
商業地では、区部で最も高かったのは台東区の19.6%(前年18.2%)で、北区と荒川区の16.9%が続いた。浅草や上野を抱える台東区の伸びが都心5区を上回る形になっている。その都心5区は13.5%で、前年の14.8%から伸びが縮んだ。逆にその他の18区は13.3%(前年12.3%)と伸びを広げており、値上がりの中心が都心の外側へ移りつつある。多摩地区の商業地も国立市9.6%(前年7.8%)、立川市9.2%と、中央線沿線で高い伸びが出た。
半年ごとに分けると、後半の伸びは鈍っている
都が今回あわせて示したのが、半年単位の動きだ。国の地価公示と同じ地点に設定された基準地のうち、前半期(令和7年7月1日~令和8年1月1日)と後半期(令和8年1月1日~同年7月1日)を比べられる216地点を調べたところ、全地点が年間では値上がりしていたものの、128地点は後半の伸びが前半を下回っていた。
平均で見ても同じ傾向が出ている。区部の住宅地は前半4.7%・後半4.2%、商業地は前半7.0%・後半6.4%で、いずれも後半が低い。多摩地区の住宅地は前半2.4%・後半1.9%だった。年間では区部の商業地が13.8%と前年の13.3%を上回っており、数字の上では加速して見えるが、その中身は前半に伸びて後半に落ち着く形である。
着工は13.7%減、新築マンション平均は1億4,249万円
値段が上がる一方で、供給は細っている。都によると、令和7年度の都内の新設住宅着工戸数は111,793戸で、前年度より17,778戸(13.7%)少なかった。持家が5.9%減、貸家が7.4%減にとどまるのに対し、分譲住宅は25.8%減で、うちマンションは39.2%減と落ち込みが際立つ。地域別では千代田・中央・港の都心3区が56.8%減、区部全体で18.7%減となる一方、市部は6.6%増えた。
新築マンションの値段は上がり続けている。令和8年1月から6月までに区部で供給された新築マンションは2,684戸で前年同期より9.4%少なく、1戸あたりの平均価格は1億4,249万円と9.1%上がった。1平方メートルあたりでは222.6万円で10.5%の上昇になる。都下も平均7,550万円と10.5%上がった。中古に目を向けると、令和7年7月からの1年間で新規登録件数が3.3%増えたのに対し、成約件数は11.6%増と伸びが大きい。
事業用の需要も強い。都心5区のオフィスビルの空室率は、令和7年8月から10か月続いた2%台を抜けて令和8年6月に1.99%となり、約6年ぶりに1%台に下がった。都の人口も令和8年1月1日現在で1,407万7,552人と1年で75,018人(0.54%)増え、うち15歳から64歳の生産年齢人口は82,173人(0.88%)増えている。働く世代が集まり、オフィスも住宅も空きが少ない状態が、地価を押し上げる構図になっている。
もっとも、それは都内のどこでも起きているわけではない。区部で下落地点がゼロである一方、島部では上昇地点がゼロで、多摩地区の町村部でも価格が動かない地点が目立つ。同じ都内で値上がりの恩恵が届く範囲と届かない範囲の差は、今回の調査でも縮んでいない。
