観光庁が7月6日に公表した宿泊旅行統計(2026年5月の第1次速報)によると、外国人の延べ宿泊者数は1382万人泊で、前年の同じ月に比べて13.4%減った。「延べ宿泊者数」は、宿泊した人数に泊まった日数を掛け合わせた数値で、のべ何人が泊まったかを表す。

前年割れが続く

外国人の宿泊は、2026年に入ってから前年割れが続いている。背景として大きいのが、比較対象となる2025年の水準が非常に高かったことだ。

2025年は、訪日客数が初めて年間4000万人を超えて過去最多となり、宿泊も記録的な多さだった。とりわけ大型の国際イベントなどで押し上げられた面もあり、その反動で、翌年の同じ月と比べると数字が下がりやすい。円安の動きが一服したことなども、伸びを鈍らせる要因として指摘される。

首位が中国から米国へ

今回の統計で目立ったのが、国籍・地域別の顔ぶれの変化だ。外国人宿泊者数を国籍・地域別に見ると、米国が3年1か月ぶりに首位に立った。

これまで訪日客の宿泊は、中国をはじめとするアジアからの旅行者が大きな割合を占めてきた。そこに、欧米からの旅行者が存在感を増し、上位の顔ぶれが入れ替わりつつある。旅行の目的や滞在の仕方が異なる客層が増えることは、地方への誘客や、宿泊施設のサービスのあり方にも影響しうる。

「量」から「質」への課題

宿泊者数という「量」は前年を下回ったが、観光の力を測るうえでは、旅行者が使うお金(消費額)や、地方にどれだけ足を運んでもらえるかという「質」も重要になる。

政府は訪日客数について2030年に6000万人という目標を掲げる。数の増加を追うだけでなく、混雑(オーバーツーリズム)を抑えつつ、地方や高付加価値なサービスへ需要を広げられるかが、今後の観光政策の焦点となる。次回以降の統計で、前年割れが一時的なものにとどまるのか、傾向として定着するのかが注目される。