総務省は14日、日本郵便が申請していた内国郵便約款の変更を認可した。クレジットカードの送付などに使われる「本人限定受取郵便」で、郵便局員が受取人の運転免許証などの券面を見て本人かどうかを確かめる現在の方法を改め、券面の記載内容とICチップの情報が一致するかを照合する方法と、スマートフォンに搭載したマイナンバーカードの情報を送ってもらう方法を新たに定める。実施予定日は2027年(令和9年)4月1日。日本郵便が9月4日に申請し、総務省が14日に情報通信行政・郵政行政審議会(会長・相田仁東京大学特命教授)へ諮問して同日付で答申を受け、同じ日に認可した。

名あて人本人にしか渡さない郵便

本人限定受取郵便は、通常の郵便料金に270円を加えて差し出すと、あて名に書かれた本人以外には渡さない扱いになるサービスである。日本郵便によると3種類あり、郵便窓口でのみ受け取る「基本型」、窓口でも配達でも受け取れる「特例型」、差出人が事前に申し出て指定の郵便局で扱う「特定事項伝達型」に分かれる。

今回変わるのは、このうち特定事項伝達型である。ほかの2つと違い、受け取りに使われた本人確認書類の名称・記号番号や名あて人の生年月日といった情報を郵便局が差出人に伝え返す点に特徴がある。写真付きの公的な証明書1点に限るという厳しい条件が課されており、クレジットカードの申し込みなど、金融機関やカード会社が法律上の本人確認の手段として使ってきた。郵便が届いたという事実そのものが「その住所に本人がいる」ことの確認になる、という仕組みだ。

券面を見るだけでは足りなくなる

見直しの理由は、犯収法の施行規則の改正にある。偽造・変造した証明書でほかの人になりすます手口を防ぐため、この規則はリスクの高い確認方法を順次廃止しており、2026年(令和8年)3月6日に公布された改正命令が2027年4月1日に施行されて、一連の見直しが出そろう。同じ日付に足並みをそろえる動きは郵便以外にも広がっており、電話転送サービスの本人確認、2027年4月からICチップ読み取りへ 書類のコピー送付や「2種類の提示」は使えなくなる 総務省が番号計画の変更案のとおり、固定電話番号を貸し出す事業者の本人確認も同じ方向で絞り込まれる。

改正後の規則第6条第1項第1号チは、本人限定受取郵便を本人確認の手段として使う場合、券面の記載事項を確かめる従来の方法に代えて、(1)ICチップが内蔵された本人確認書類について、券面の記載事項の情報とICチップの情報の内容が一致していることを確認する、(2)スマートフォンに搭載されたマイナンバーカードの情報を用いて確認する――のいずれかを求めている。窓口や玄関先で書類を目で見て確かめるだけでは、法律上の本人確認としては認められなくなる。マイナンバーカードの電子証明書を使う本人確認は民間にも広がっており、マイナンバーカードで本人確認、民間1355社に 1年前は813社 増えた542社のうち295社は銀行・農協など デジタル庁のとおり、導入する事業者は1355社に達している。日本郵便はこれに対応するため、約款の書き換えを申請した。

使えるのはICチップ入りの写真付き書類

改正後の規則第6条第1項第1号チは、本人限定受取郵便で提示を受ける書類を「特定半導体集積回路付き本人確認書類」に限っている。氏名、住居、生年月日、写真の情報が記録された半導体集積回路(ICチップ)が組み込まれた写真付きの本人確認書類を指す用語である。警察庁が2026年3月に公表したパブリックコメントの質疑応答集は、これに当たる例として、マイナンバーカード、運転免許証、在留カード、特別永住者証明書、旅券を挙げた。

逆に、ICチップが入っていない写真付きの書類は別の類型に置かれた。質疑応答集が例に挙げたのは運転経歴証明書、身体障害者手帳、乗員手帳である。これらは規則第6条第1項第1号ロ(1)に整理されており、チの方法――本人限定受取郵便を使って本人確認を済ませる方法――の対象には入らない。運転免許証を返納して運転経歴証明書を持っている人などは、クレジットカードの申し込みで本人限定受取郵便を指定された場合、別の書類を用意する必要が出てくる。

旅券だけは読み取る項目が違う。2020年2月4日以降に発行された旅券のICチップには住所の情報が記録されていないため、規則は旅券について読み取る情報を氏名、生年月日、写真の3つとした。住所の確認は、郵便局が名あて人の住所まで届けて渡すこと自体が受け持つ形になる。

警察庁は質疑応答集で、ICチップを読み取ったときに券面の情報とICチップの情報が一致しない場合などは、書類が偽造・変造されたものである可能性があるとし、取引の相手方が他人になりすましている疑いがあるときは警察へ通報するよう求めている。券面の目視をやめる狙いが、まさにこの偽造の見抜きにあることを示している。

もっとも、郵便局の窓口や玄関先で実際にどの書類を受け付けるかは、認可された約款では「当社が別に定める方法により、受取人が名あて人であることを確認します」と書かれるにとどまる。日本郵便が具体的な書類の一覧を示したかどうかは確認できていない。現在のサービス案内では、特定事項伝達型で使えるのは「写真付き公的証明書1点」とされ、運転免許証、日本国旅券(パスポート)、個人番号カードが例示されている。料金は通常の郵便料金に270円を加える。

スマホのマイナンバーカードを「送る」方式を新設

新しい約款は第139条に第7項を加え、受取人は書類を提示する代わりに「カード代替電磁的記録」――スマートフォンに搭載したマイナンバーカードを指す、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号利用法)第2条第8項の用語――のうち、氏名、住所または居所、生年月日、写真の情報を送信できると定めた。送信には番号利用法第18条の3第1項の認定を受けたプログラムを使う場合に限る。

差出人に伝え返される項目も、確認の方法によって書き分けられた。書類の提示を受けた場合は、確認した局員の氏名など、提示を受けた日付と時刻、書類の名称と記号番号、書類に記載された生年月日を伝える。情報の送信を受けた場合は、確認した局員の氏名など、送信を受けた日付、名あて人の生年月日の3項目にとどまる。改正の実施前に差し出された郵便物についても、実施後は新しい規定を適用する経過措置が置かれた。

同じ日にセルフレジの約款変更も認可

総務省は14日、日本郵便が申請したもう1件の内国郵便約款の変更も認可した。郵便局に置かれている郵便料金証紙自動発行機、いわゆるセルフレジで発行した証紙は、現在の約款では「その証紙に表された日に差し出していただきます」とされ、発行された当日に使うことが前提になっている。改正では、これを一定の期限まで使えるようにする。切手を買いたいという需要をセルフレジで受け止められるようにして、窓口職員の負担を軽くする狙いがある。

あわせて、セルフレジで特定記録郵便物を扱うときに、差出人が郵便局の指示と違うことをした場合――たとえばセルフレジで手続きをしたのに郵便物が実際には差し出されなかった場合――は、特定記録郵便物としての効力を失うことも明記した。実施予定日は2026年11月2日である。