立憲民主党の水岡俊一代表は9月14日、国会内で開いた定例記者会見で、都市部で相次ぐ内水氾濫への対応について「被害を少しでも少なくするため、まずは自治体における浸水想定区域図の作成や見直し、公表を進める必要がある」と述べた。そのうえで「政府に対しても、技術、人材、費用の面から支援を行う必要がある」との考えを示した。

千葉市で平年8月の3倍超の雨

水岡氏は、令和8年8月千葉豪雨から1か月がたったことに触れ、その後も北陸地方や東海地方などで豪雨による被害や大規模な冠水が発生していると説明した。今年は特に都市部での内水氾濫が目立つという認識を示している。気候変動が世界的に大きな災害を引き起こす要因になっているとして、地球温暖化への対応を日本として発信していくべきだとも述べた。

国土交通省が9月9日時点でまとめた被害報によると、千葉県では8月13日夕方以降に線状降水帯が発生し、雨雲が長時間同じ場所にとどまった。千葉市では平年の8月1か月分の総降水量の3倍以上にあたる360ミリを超える雨が降り、観測史上1位を更新している。千葉県には13日午後7時30分から14日午前5時15分にかけ、レベル5の大雨特別警報と土砂災害特別警報が広い範囲に出された。

被害の中身は、水岡氏の言う内水氾濫の構図をそのまま映している。国が管理する河川では氾濫による被害情報がなく、千葉県が管理する17河川で浸水被害が確認された。下水道では、千葉県印旛沼流域下水道の八千代ポンプ場と千葉市の越智ポンプ場が浸水で機能を止め、マンホールのふたが飛散した。マンホールポンプ7基も浸水で止まっている。いずれも応急復旧を終えた。

水防法の「雨水出水」とは

内水氾濫は、堤防を越えて川の水があふれる外水氾濫と違い、下水道などの排水施設が降った雨をさばききれずに起きる浸水を指す。川の水位が上がって下水道から川へ雨水を流せなくなった場合も含む。水防法はこれを「雨水出水」と定め、一般に内水と呼ばれてきた概念にあたる。

制度は2段階で整えられてきた。平成27年の水防法改正で、内水による被害が大きくなる恐れのある下水道を「水位周知下水道」に指定し、想定し得る最大規模の雨を前提とした雨水出水浸水想定区域を指定する仕組みが設けられた。令和3年の改正では、水位周知下水道以外についても最大規模の雨を前提とした区域指定が必要になり、対象が広がっている。区域の指定にあたっては、区域の範囲だけでなく、浸水したときの想定水深と浸水が続く時間まで示すことになっている。国土交通省は自治体向けに「内水浸水想定区域図作成マニュアル(案)」などを整えており、令和6年3月には避難の判断材料をまとめた事例集を加えた。

排水を担う下水道の老朽化

自治体が想定図を描く土台となる下水道そのものは、更新の時期を迎えつつある。国土交通省によると、令和6年度末の全国の下水道管の総延長は約50万キロで、このうち標準的な耐用年数の50年を過ぎた管は約4万キロと全体の約7%を占める。同省の見通しでは、10年後の令和16年度末には約11万キロで全体の約22%、20年後の令和26年度末には約23万キロで約45%まで増える。下水処理場も令和5年度末で全国に約2200か所あり、機械設備や電気設備が耐用年数の15年を超えた施設は約2100か所と、全体の約95%に達している。

水岡氏は同じ会見で、沖縄県知事選の結果や食料品の消費税減税を巡る制度設計についても発言している。国土交通省は千葉豪雨の被害状況を9月9日時点の第15報まで公表しており、千葉市で最大約100戸に及んだ断水は8月19日までに復旧した。