林総務相は11日の閣議後記者会見で、日本郵便の郵便物「放棄・隠匿」事案に関する省内のやり取りをめぐり、担当職員7人への聞き取り結果を明らかにした。行き過ぎた表現や不適切な表現があったと記憶している職員がいたことを確認したとして、業務上の注意をしたと説明した。

「不適切な表現」を記憶する職員が存在

林氏によると、総務省大臣官房は、2025年9月以降に郵政行政部で日本郵便の放棄・隠匿事案の対処方針の検討・調整などに関わっていた職員から聞き取りを行った。その結果、具体的な投稿内容は確認できなかったが、「行き過ぎた、あるいは不適切な表現があったことを記憶している者や、このような投稿をした可能性を認めている者が存在した」ことを確認したという。聞き取り対象は当時の担当職員7人だった。

一方で、情報公開請求への対応については、チャットでどのようなやり取りがあったかにかかわらず、法令に基づき適切に対応したことを否定するような事実は確認されなかったとした。日本郵便への取材対応についても、一般的な情報交換や問い合わせへの応答をした可能性は確認されたが、「日本郵便の主体性を損なうような具体的な働きかけを行ったという事実は確認されなかった」と述べた。

総務省はこの結果を踏まえ、当時の関係者に対し、公文書の管理や情報公開の意義・重要性への理解に反省すべき点があり意識の向上を図るべきだとして、業務上の注意を実施した。林氏は、これは指導監督上の措置で懲戒処分にはあたらず、公表は考えていないと説明した。あわせて省内全体に、公文書の管理と情報公開請求への対応を適切に行うよう改めて周知したという。

チャットの復元は行わず

会見では、削除されたチャットの内容を復元して確認しない理由に質問が集中した。林氏は「大臣官房による当時の関係者への聞き取りの結果、実際の情報公開請求への対応や日本郵便に対する取材への対応について法令違反などの対応は認められず、チャット自体は内部の業務連絡などに使われたものであることに鑑みると、復元などの手段による確認を行う必要はない」と答えた。

記者からは、削除した操作の記録が残り、メールを検索するのと同じようにさほど労力なく内容をたどれるシステム設計になっている、との指摘が出た。林氏は同じ説明を繰り返した。また、報告を受けているという言い回しを重ねている点をただされると、復元をしない判断については「報告ではなくて、私として申し上げております」と述べ、自身の判断であることを明確にした。

昨年9月には日本郵便に行政指導

前提となる放棄・隠匿事案は、郵便物が配達されないまま捨てられたり隠されたりする事態を指す。郵便法が禁じる行為で、利用者が出した郵便物が届かないという結果に直結する。

総務省は2025年9月26日、日本郵便に対し、郵便物の放棄・隠匿等に関する公表のあり方について要請する行政指導を行っている。監督する側の総務省が、公表の徹底を求めた当の事案をめぐって、今度は自らの内部のやり取りと公文書の扱いを問われる形になった。

沖縄県知事選のSNS偽情報にも言及

会見では、13日に投開票される沖縄県知事選で、生成AIで作られたとみられる偽画像や発言を切り取った投稿が拡散しているとの指摘についても質問が出た。林氏は個別の選挙へのコメントは控えるとしたうえで、「民主主義の根幹たる選挙においては、表現の自由、政治活動の自由に配慮しつつ、選挙人の自由な意思による公正な選挙が確保されることが重要」と述べた。

そのうえで、今年7月に議員立法で成立した公職選挙法と情報流通プラットフォーム対処法の改正法に触れた。改正法には、選挙に関してインターネットを利用する者の責務を追加すること、AIを使って作られた画像などをネット上で頒布する者に表示義務を設けること、大規模プラットフォーム事業者に選挙の公正への悪影響を減らす措置を義務づけることが盛り込まれている。施行は2027年3月1日で、総務省は内容の周知と、選挙運動に関する各党協議会の合意に基づく指針の策定を進めている。林氏は、施行までの間も大規模事業者が改正法の趣旨を踏まえた対応を取ることに期待を示した。