総務省は7月7日、地方自治体の公共調達に関する2つの調査結果(令和8年4月1日時点)を公表した。物価高や賃上げで増えたコストを、役所が発注する契約の価格に反映する「価格転嫁」が、どこまで進んだかを把握するための調査だ。

工事以外の契約で適用に遅れ

調査によると、安すぎる落札を防ぐ「最低制限価格制度」や「低入札価格調査制度」について、都道府県では工事に関する業種の97.9%で適用されている一方、工事以外の業種では25.5%にとどまった。総務省は「特に市区町村において、工事関係以外の請負契約への適用が進んでいない」と指摘している。

工事以外の業種とは、施設の清掃や警備、給食の提供、廃棄物処理、コンピューターの運用などを指す。人手が中心で、賃金の影響を受けやすい分野が多い。

「安値競争」を防ぐ制度

最低制限価格制度と低入札価格調査制度は、いずれも著しく安い金額での落札(ダンピング)を防ぐための仕組みだ。落札額があらかじめ定めた基準を下回った場合、その契約を認めなかったり、内容を詳しく調べたりする。極端な安値での受注が続くと、サービスの質が下がったり、下請け企業や現場で働く人にしわ寄せが及んだりする恐れがあるためだ。

「価格転嫁」は、原材料費や人件費の上昇分を、商品やサービスの価格に上乗せすること。役所の発注で価格転嫁が進まないと、仕事を受ける中小企業が賃上げの原資を確保しにくくなる。

賃上げの流れを止めないために

総務省は令和7年6月、自治体に対し、適切な価格転嫁に取り組むよう通知を出しており、今回はその後の状況を追跡した。物価や賃金の変動に応じて契約額を見直す「スライド条項」の導入状況も調べたが、施設管理などの分野で差が見られた。政府が賃上げを経済政策の柱に据えるなか、民間だけでなく役所の発注でも適切な価格転嫁を根付かせられるかが問われている。