消費者庁は9月17日、リチウムイオン電池を使った製品をテーマにした「令和8年度第1回消費生活意識調査」の結果を公表した。モバイルバッテリーを持っている人の割合は若い世代ほど高い一方、取扱いを誤ると火災の原因になりうるという危険性を知っている人の割合は若い世代ほど低く、両者が逆を向く結果になった。

調査は7月30日から8月3日にかけて、性別・年代・地域を人口構成比に応じて割り付けた全国の15歳以上の男女5000人を対象に、インターネットで実施した。

持っているのは10代、危険性を知っているのは70代以上

モバイルバッテリーを「持っている」と答えた人は44.5%、「持っていたことがある」は10.5%で、合わせて55.0%が保有の経験を持つ。年代別に両者を足した割合をみると、10代が72.3%で最も高く、20代70.6%、30代61.5%と続く。最も低いのは70代以上の43.0%だった。

これに対し、モバイルバッテリーの取扱いを誤ると火災事故などの原因になる場合があることを「知っている」と答えた人は全体で84.5%。年代別では70代以上が90.8%、60代が90.7%と高く、20代の72.0%が最も低い。30代も77.7%で全体を下回った。持ち歩く機会が多い20代・30代ほど、危険性の認知が薄いという形になっている。

モバイルバッテリー以外の製品についても、よく使うものを2つまで選んでもらったうえで危険性の認知を聞いている。最も高かったのはスマートフォンの81.7%、携帯用扇風機の78.9%が続いた。低かったのはコードレス掃除機・ロボット掃除機の52.8%、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンの58.4%で、いずれも「電池で動いている」という意識が持たれにくい製品が並んだ。電気シェーバーは61.2%、電動アシスト自転車は61.1%だった。

買うときに見るのは「価格」 安全性は5番目

購入時に重視した点を、モバイルバッテリーを保有したことがある2746人に複数回答で聞いたところ、「価格」が51.2%で最も多く、「安全性」36.3%、「性能」34.8%、「メーカー」29.6%が続いた。「製造年」は4.8%、「リコール情報」は3.6%にとどまる。

モバイルバッテリー以外の製品では、安全性の優先順位がさらに下がる。「価格」54.5%、「性能」43.3%、「メーカー」40.3%、「商品のデザインや大きさ」19.1%に次いで、「安全性(火災等の事故防止対策)」は9.0%で5番目だった。「リコール情報」は1.5%しかない。安全性を挙げた割合が比較的高かったのはポータブル電源の33.9%、ポータブルスピーカーの21.1%、電動工具の20.0%で、いずれも回答者数が100人に満たない製品だった。

使用時に気を付けていることは、モバイルバッテリーでは「高温になるところに置かない」が54.7%、「落とすなどして衝撃を与えない」が47.3%、「充電や給電が終わったら充電コードからはずす」が45.4%。一方で「就寝中や外出中など、製品の様子が確認できないときに充電しないようにしている」は26.4%、「リコール情報を確認している」は7.6%で、「気を付けていることはない」も14.7%あった。

「捨て方が分からず保管したまま」16.5% 10代は4人に1人

不要になったときの対応を聞くと、「住んでいる自治体で定められたルールに沿って、ごみに出す」が33.0%、「自治体の専用回収ボックスに持っていく」が22.6%、「購入店やメーカーの回収サービスを利用する」が12.9%だった。

これに対し「捨て方が分からないので保管したままにする」が16.5%あり、回収サービスを使う人より多い。年代別では10代の25.5%が最も高く、20代19.9%、30代18.9%と若い層で目立つ。最も低いのは70代以上の10.9%で、自治体のルールに沿ってごみに出す人が43.0%と全年代で最も高かった。

リチウムイオン電池は、ごみ収集車やごみ処理施設の中で押しつぶされて発火する事故が各地で起きており、自治体が一般ごみへの混入を繰り返し注意している。使い終わった製品が家の中に置かれたままになることは、廃棄の段階でのリスクが先送りされていることも意味する。

事故は5年で2140件 ピークは8月

背景には、リチウムイオン電池を積んだ製品の事故が増えていることがある。製品評価技術基盤機構(NITE)が7月15日に公表した資料によると、2021年から2025年までの5年間にNITEへ通知された製品事故情報のうち、リチウムイオン電池搭載製品の事故は2140件あり、製品別ではモバイルバッテリーが最も多い。月別にみると春から夏にかけて気温の上昇とともに増え、8月にピークを迎える。

経済産業省や環境省などの関係省庁は、事故を防ぐ行動として「3つのC」を呼びかけている。購入前に販売事業者の連絡先やリコール情報、表示マークを確かめる「賢く選ぶ(Cool Choice)」、高温の場所で使わず強い衝撃や圧力を加えない「丁寧に使う(Careful use)」、廃棄時にリチウムイオン電池の有無を確認しメーカー回収や自治体の区分に従う「正しく捨てる(Correct disposal)」の3つだ。

今回の調査結果は、この3つのうち「賢く選ぶ」と「正しく捨てる」で、消費者の行動が追いついていない実情を示している。購入時にリコール情報を確認する人は3.6%、使用中に確認する人も7.6%。捨て方が分からないまま保管する人は6人に1人いる。危険性そのものは8割以上が知っているのに、選ぶ・捨てるという具体的な場面では、その知識が行動に結びついていない。