スマートフォンの充電に使うモバイルバッテリーなど、リチウムイオン電池を搭載した製品の発火事故が増えている。製品評価技術基盤機構(NITE)によると、2020年から2024年までの5年間に報告された事故は1860件に上り、その約85%にあたる1587件が火災につながった。夏本番を迎え、NITEと消費者庁が改めて注意を呼びかけている。
モバイルバッテリーが最多、2年で2倍に
製品別で事故が最も多いのはモバイルバッテリーで、5年間で361件が報告された。とくに2024年は2022年の2倍以上に急増している。スマホやイヤホンの普及で持ち歩く人が増え、製品の数そのものが増えていることが背景にあるとみられる。
身につけたり持ち歩いたりする小型の製品でも事故は起きている。発熱・発火などが起きた136件の内訳では、5年間でワイヤレスイヤホンが64件、スマートウォッチが46件、携帯用の扇風機が26件となっており、いずれも増加傾向にある。
なぜ夏に多いのか
事故の件数は、気温が上がる春から夏にかけて増え、6〜8月にピークを迎える傾向がある。リチウムイオン電池は熱に弱く、高温の環境に置かれると内部で異常が起きやすくなるためだ。真夏の車内や直射日光の当たる場所に放置すると、電池が膨らんだり、発熱・発火したりする危険が高まる。
強い衝撃や圧迫も事故の原因になる。落としたり、かばんの中で押しつぶしたりした電池は、見た目に異常がなくても内部が傷つき、時間をおいて発火することがある。
膨らんだら使わない、捨て方も注意
NITEや消費者庁は、対策として、製品が膨らんだり変形したりしたら使用をやめること、高温の場所に放置しないこと、購入時にリコール(無償回収・修理)の対象でないか確認することなどを挙げている。
処分の際も注意が必要だ。リチウムイオン電池は「燃えるごみ」に混ぜると、収集車やごみ処理施設で押しつぶされて発火し、火災の原因になる。多くの自治体が電池類の分別回収や、家電量販店などの回収ボックスの利用を求めており、住んでいる地域のルールに従って捨てる必要がある。