内閣府の消費者委員会は9月17日、「支払手段の多様化に関する消費者問題についての建議」を出した。支払いの手段が増え、仕組みが複雑になる一方で、消費者の保護に手薄な部分が残っているとして、決済に関わるすべての事業者が守るべき5つの原則を示し、実現を求めた。宛先は内閣府特命担当大臣(金融)と同(消費者及び食品安全)、総務相、文部科学相、経済産業相で、2027年6月までに実施状況を報告するよう求めている。
「建議」は約4年ぶり
建議は、消費者委員会が消費者庁及び消費者委員会設置法に基づいて各大臣に改善を求める仕組みで、実施状況の報告を義務づける点が意見や提言より重い。同委員会の建議は、2022年9月の「SNSを利用して行われる取引」に関するもの以来で、約4年ぶりとなる。
建議は背景として、キャッシュレス決済の比率が2025年に58.0%まで高まったことを挙げた。政府はこの比率を2030年までに65%、将来的には80%にする目標を掲げており、普及は国の政策でもある。一方で、対面ではなくインターネット上で支払いが完結するため、トラブルを未然に防いだり被害を救済したりすることが難しいと指摘した。
業態別から「機能」別の規制へ
現在、支払手段を規制する法律は資金決済法、銀行法、割賦販売法などに分かれ、所管する省庁も複数にまたがる。同じような役割を担っていても、登録や届出の対象になっている事業者と、なっていない事業者が混在する。建議は「消費者にとっては、各事業者がいずれの業態に属するかは分かりにくい」として、業態ごとの規制ではなく、事業者が果たす機能に着目した横断的なルールへの転換を求めた。
そのうえで、規制の対象かどうかにかかわらず守るべき原則として、①必要な情報を分かりやすく提供する②悪質な販売業者に支払手段を使わせない③紛争解決の体制を整え苦情を適切に処理する④過剰な借り入れや多重債務を防ぐ⑤支払いの滞納を理由に生活に不可欠なサービスを一方的に止めない——の5つを挙げた。
後払いとキャリア決済を名指し
自主的な取り組みだけでは足りない場合に検討すべき課題として、建議は4つを示した。登録・届出制の対象拡大、被害が起きたときに消費者が支払いを止められるなど民事上の救済ルールの整備、後払い決済、そしてキャリア決済である。
後払い決済は、商品を受け取った後に代金を払う仕組みで、現在は法規制の対象外だ。建議は、利用者に信用を与えて後から回収する点が、割賦販売法が定める個別信用購入あっせん(商品ごとに分割払いの審査をする仕組み)と共通するとして、同法の考え方を参考に保護のあり方を検討するよう求めた。携帯電話料金と合算して支払うキャリア決済については、未払いを理由に通信そのものが止まる恐れがあることと、実質的に後払いの信用供与にあたることの二面から、クレジットカードや後払い決済と同じ水準の規律を確保するよう求めている。
建議はもう1本の柱として、金融庁、消費者庁、文部科学省に対し、学校教育などでの金融リテラシー教育を一層充実させることも求めた。
