高市首相は9月17日、第2次高市改造内閣の発足を受けた記者会見で、米政府が国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長に科した制裁について、「今も米国に対して働きかけを継続しております」と述べた。トランプ大統領との会談で解除を働きかける考えがあるかを記者に問われ、答えた。

首相は日米首脳会談の日程について「未定でございます」とした上で、「関係国と意思疎通を行いながら、国際社会における法の支配の強化に必ず取り組んでまいります。そして、私からも発信をしてまいります」と語った。11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議にあわせた中国の習近平国家主席との会談の検討状況も同じ質問で問われたが、「現時点で予断することは差し控えます」と述べるにとどめている。

米財務省が8月18日に資産凍結

赤根氏が制裁対象になったのは8月18日だ。米財務省の外国資産管理室(OFAC)が同日、赤根氏とセネガル出身の主任法廷弁護士アブドゥライ・セイ氏の2人を特別指定国民(SDN)リストに追加した。OFACの記録は赤根氏について国籍を日本、出生地を愛知と記している。

SDNリストへの追加は、対象者の米国内の資産を凍結し、米国人・米企業との取引を原則として禁じる措置だ。根拠として示されたのは、2025年2月に出された大統領令14203である。OFACは同じ8月18日、この2人が関わる取引の整理を一定期間認める「ICC関連一般許可12号」も出した。すでに動いている契約や決済をただちに止めると混乱が生じるため、巻き戻しの猶予を設ける実務上の措置にあたる。

ICCは1998年に採択されたローマ規程に基づいて2002年に設置された常設の国際裁判所で、戦争犯罪や人道に対する罪などを犯した個人を裁く。日本は締約国である。その裁判所の所長を務める日本国籍の人物が、同盟国である米国の制裁対象になっている状態が続いている。

基本方針は「同盟基軸」と「法の支配」を併記

首相は会見と同じ17日、改造内閣の基本方針を閣議決定した。外交・安全保障の柱では「日米同盟を基軸とし、『自由で開かれたインド太平洋』を我が国のイニシアティブにより進化させていく」と明記する一方、冒頭では「法の支配など基本的価値の共通基盤の上に諸外国と一致して対応する『力強い日本外交』を展開する」とうたっている。

会見での「国際社会における法の支配の強化に必ず取り組む」という発言は、この基本方針の言葉をなぞったものだ。首相は具体的な働きかけの相手や時期、これまでの協議の中身には触れなかった。

臨時国会は来月上旬に召集の予定

改造内閣は、飲食料品の消費税率引き下げと就業者負担軽減支援金の導入を「現下の最重要課題」と位置づけている。首相は会見で、9月15日に閣議決定した大綱に基づき「必要な法制上の措置などを可及的速やかに講ずる」と説明した。参議院では与党が少数のため、法案を通すには野党の協力が要る。

臨時国会は来月上旬に召集される予定で、消費税減税の関連法案と、自民党と日本維新の会が提出して継続審議になっている衆院議員定数削減法案が論戦の焦点になる。定数削減法案について首相は、議員立法であることを理由に内閣としてのコメントを避けつつ、「衆議院議員選挙において政権公約として掲げておりますので、その実現に向けて真摯に取り組んでいくべきものと考えております」と述べた。APEC首脳会議は11月に開かれる。