世界気象機関(WMO)は11日、2026年8月の世界平均気温が観測史上最も高い水準に達し、これまでの最高記録である2023年7月と並んだと発表した。欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービス(C3S)の解析では産業革命前の水準より1.65度高く、米海洋大気局(NOAA)の統計でも20世紀平均を1.32度上回り、1850年以降の8月として最高だった。北半球では6〜8月が観測史上最も暖かい夏となり、南半球も記録に迫る暖かい冬となった。

海面水温も史上最高 欧州の大河は異例の低水位

世界の海面水温も8月として観測史上最高を記録した。極域を除く海域の日平均水温は最高で21.11度に達し、大西洋沿岸や地中海西部では海洋熱波が発生した。海氷面積は北極・南極のいずれも平年を下回った。

高温はグリーンランド、アフリカ、ヨーロッパ、アジア、南北アメリカの各地に及んだ。特に西ヨーロッパでは5月から熱波と乾燥が続き、フランス、英国、ハンガリー、ルーマニア、セルビアで深刻な干ばつとなった。ライン川やドナウ川といった内陸水運の大動脈で異例の低水位が続き、物流にも影響が出ている。熱帯低気圧は世界で19個発生し、うち5個がハリケーン・台風の強さに達し、4個がカテゴリー3以上の大型となった。

「非常に強い」エルニーニョ ピークは年末

記録的な高温を押し上げているのが、太平洋赤道域で発達中のエルニーニョ現象だ。エルニーニョは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高い状態が1年程度続く現象で、大気の流れを世界規模で変え、各地に干ばつや豪雨をもたらす。

WMOは3日の発表で、この現象が今後「非常に強い」規模に発達し、2026年末にピークを迎えるとの見通しを示した。2027年2月まで続く可能性は約100%としている。サウロ事務局長は「この例外的なエルニーニョには、例外的な備えと対応が求められる」と述べ、各国の気象水文機関とこれほど大規模に連携するのはWMOの50年の歴史で初めてだと説明した。グテーレス国連事務総長も「エルニーニョは我々の目の前で超大型化している。科学に疑いの余地はない。地球は前例のない領域に入った」との認識を示した。

気象庁は1997年超えを観測 日本の冬への影響は

日本の気象庁も9日、エルニーニョ監視速報(No.408)を発表した。それによると、太平洋赤道域東部のエルニーニョ監視海域(NINO.3)の8月の月平均海面水温は基準値より3.4度高く、8月としては統計を取り始めた1949年以降で最も高かった。これまでの最高は、20世紀最大級とされる1997〜98年のエルニーニョの当年、1997年8月の3.0度だった。5か月移動平均値も6月時点で1.9度高く、3か月連続で基準値を上回っている。

気象庁は、今後冬にかけてエルニーニョが続く確率を100%とし、基準値からの差は1997年12月に記録した3.6度に匹敵する水準に達すると予測する。

日本への影響は間接的だが、統計的な傾向は分かっている。気象庁が1947〜48年から2020〜21年までのデータを整理したところ、エルニーニョ発生時の冬は西日本で気温が並か高い傾向、東日本太平洋側と沖縄・奄美で降水量が多い傾向、西日本太平洋側で日照時間が少ない傾向が表れている。いわゆる暖冬になりやすい一方、太平洋側では雨や曇りの日が増えやすい。夏は逆に西日本で気温が低い傾向が出る。

ただし今回は、エルニーニョそのものが過去最大級である上に、地球温暖化による底上げが重なる。過去の平均像がそのまま当てはまるとは限らず、暖房需要や農作物、除雪計画といった冬の備えは、10月以降に順次更新される気象庁の3か月予報を確認しながら判断する必要がある。