気象庁は9月12日午前9時30分、北海道中央部の十勝岳に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを2の「火口周辺規制」から3の「入山規制」へ引き上げた。山体付近を震源とする揺れの大きい火山性地震が増えており、火口からおおむね3キロの範囲に影響を及ぼす噴火が起きる可能性があるとしている。
警戒が必要なのは火口から3キロの範囲
気象庁は、62-2火口からおおむね3キロの範囲について、噴火に伴って弾道を描いて飛ぶ大きな噴石への警戒を呼びかけている。地元自治体などの指示に従い、危険な地域には立ち入らないよう求めた。風下側では火山灰や小さな噴石が遠方まで風に流されて降るおそれがあるとして、あわせて注意を促している。
火口周辺警報の対象は北海道美瑛町、上富良野町、新得町の3町だ。富良野市と南富良野町には噴火予報を発表し、「活火山であることに留意」するよう求めている。
レベル3は「登山禁止や入山規制」の段階
噴火警戒レベルは1から5までの5段階で、数字が大きいほど警戒の範囲と程度が広がる。今回引き上げられたレベル3は「入山規制」で、気象庁は「登山禁止や入山規制等危険な地域への立入規制」が必要な段階と定めている。直前のレベル2は「火口周辺への立入規制等」にとどまり、警戒の対象は火口のすぐ周りに限られていた。
さらに上のレベル4は「高齢者等避難」で要配慮者の避難、レベル5は「避難」で危険な居住地域からの避難が必要になる。今回はレベル2から1段階の引き上げで、住民の避難を求める段階ではない。
3月の地殻変動、4月の火山ガス、8月の地震
十勝岳の異変は今回が突然のものではない。気象庁の解説情報によると、3月以降、山体付近のやや深いところが膨らんでいることを示す地殻変動が続いている。4月以降は火山ガス(二酸化硫黄)の放出量が増えていると認められた。熱活動が高まった状態も続いている。
そこに地震が重なった。8月17日から、山体付近を震源とする振幅の大きい火山性地震が増えている。ふもとの硫黄沢観測点で最大振幅が2マイクロメートル(1ミリの1000分の2)以上という規模のもので、発生は8月17日に1回、8月20日に2回、そして9月12日は午後3時までに2回を数える。
一連の地震で最も大きかったのは9月12日午前8時20分ごろで、硫黄沢観測点の最大振幅は約24マイクロメートル(約0.024ミリ)に達した。気象庁は、山のふもとで体に感じる揺れがあった可能性があるとしている。この地震のあと、約1時間でレベルが引き上げられた。
噴煙に変化はなく、次の発表は14日
一方で、噴火の兆候がすでに表面に現れているわけではない。12日午後3時現在、62-2火口付近の噴煙や噴気の状況に特段の変化はない。午前9時のレベル引き上げ以降も、火山活動に特段の変化は確認されていない。
気象庁は火山の状況に関する次の解説情報を、9月14日午後4時ごろに発表する予定だ。活動に変化があった場合は、その都度知らせるとしている。
