日本銀行は7月10日、6月の企業物価指数(速報)を公表した。企業の間で取引されるモノの価格を示す国内企業物価指数は前年同月比で7.1%上昇し、前月比でも0.4%上がった。伸び率は2月の2.1%から4カ月で3倍超に加速しており、川上の物価上昇に歯止めがかかっていない。
「企業物価指数」とは何か
企業物価指数は、企業どうしが原材料や部品、製品を売買するときの価格の動きをまとめた指標で、日銀が毎月公表している。私たちが店頭で買うモノやサービスの値段を示す消費者物価指数(CPI)が「川下」の物価だとすれば、企業物価指数はその一つ手前、いわば「川上」の物価にあたる。原材料や卸売の段階で値上がりが起きると、時間差を置いて小売価格に転嫁され、消費者物価を押し上げる要因になりやすい。
指数は2020年の平均を100として計算する。6月の国内企業物価指数は135.4で、2020年に比べて企業間で取引されるモノの値段がおよそ35%高くなっている計算になる。
伸び率は年明けから急加速
前年同月比の伸び率をたどると、2026年は1月2.4%、2月2.1%と2%台で落ち着いていたが、3月2.9%、4月5.4%、5月6.6%、そして6月7.1%と、春以降に一段と加速した。数カ月前まで2%台だった伸びが、わずかな期間で7%台に乗った形だ。
背景にあるのが輸入物価の高騰である。輸入物価指数は円ベースの前年同月比で29.7%上昇し、指数は196.6と2020年のほぼ2倍に達した。契約通貨ベース(ドルなど現地通貨での価格)でみた前年比は11.1%で、これに円安分が上乗せされて円ベースの伸びが膨らんでいる。輸出物価指数も円ベースで前年比20.7%上がった。円相場が対ドルで下落すると、同じ量の輸入品でも円換算の支払額が増えるため、資源やエネルギー、部材を海外に頼る日本の物価を押し上げる。
家計への波及に警戒
川上の企業物価の上昇は、そのすべてがすぐ小売価格に映るわけではないが、時間をかけて消費者物価に波及していく傾向がある。企業がコスト増を製品価格に転嫁する動きが続けば、食品や日用品などの値上げが今後も出やすい。企業物価の伸びが再び加速したことは、家計が実感する物価高がなお長引く可能性を示している。
一方で日銀は7月9日に公表した地域経済報告(さくらレポート)で、全国9地域すべての景気を「緩やかに回復」「持ち直し」などと判断し、前回4月から総括判断を据え置いた。雇用や所得環境の改善を背景に個人消費は底堅いとする地域が多い半面、各地の報告には「物価上昇の影響がみられる」との記述が並ぶ。景気の回復基調と物価高が同時に進むなかで、日銀がいつ、どの程度まで金融政策で対応するかに市場の関心が集まっている。