総務省統計局は9月20日、敬老の日にちなむ統計トピックス「統計からみた我が国の高齢者」を公表した。労働力調査によると、2025年に仕事をしていた65歳以上は943万人で、2004年以降22年連続で前年を上回り、比較できる1968年以降で最も多くなった。男性が542万人、女性が401万人である。15歳以上の就業者6828万人に占める割合は前年の13.7%から13.8%に上がり、こちらも過去最高となった。働いている人のおよそ7人に1人が65歳以上という計算になる。
ここでいう就業者とは、月末の1週間に収入を伴う仕事を1時間以上した人を指す。週に数時間のパートも1人として数えるため、「週5日フルタイムで働く高齢者が943万人いる」という意味ではない。
65〜69歳は2人に1人が働いている
65歳以上の人口に占める就業者の割合(就業率)は、前年の25.7%から26.0%に上がった。年齢層ごとにみると65〜69歳が54.5%、70〜74歳が36.2%、75歳以上が12.6%で、いずれも過去最高である。65歳を過ぎてすぐの層は2人に1人が働き、70代前半でも3人に1人を超える。
主要国と比べても日本の水準は高い。日本の65歳以上の就業率は10年前の21.7%から26.0%に上がっており、統計局は「主要国の中でも高い水準」としている。この10年で各国とも上昇しているが、上がり方が最も大きいのは韓国だった。
雇われて働く高齢者の4人に3人が非正規
943万人の内訳をみると、会社などに雇われている人(役員を除く雇用者)が586万人で62.7%、自分で商売をしている自営業主と家族従業者が239万人で25.6%、会社などの役員が109万人で11.7%である。
このうち雇われて働く586万人を雇用形態で分けると、正規の職員・従業員は140万人で23.9%にとどまり、非正規の職員・従業員が446万人で76.1%を占める。非正規のうちパート・アルバイトは309万人で、雇われて働く高齢者の52.7%にあたる。
10年前との比較では、この偏りがさらにはっきりする。正規は93万人から140万人へ47万人増えたのに対し、非正規は268万人から446万人へ178万人増えた。年齢層別の非正規の人数は、65〜69歳が181万人から213万人、70〜74歳が66万人から142万人、75歳以上が20万人から91万人となり、高い年齢ほど増え方が急である。とくに75歳以上は10年で4倍を超え、増えた高齢者の働き口が主に非正規の側で開かれてきたことを示している。
小売と医療・福祉が受け皿、農林業は2人に1人が65歳以上
産業別に65歳以上の就業者数をみると、「卸売業、小売業」が131万人で最も多く、「医療、福祉」が122万人、清掃や警備などを含む「サービス業(他に分類されないもの)」が108万人、「農業、林業」が88万人と続く。
一方、その産業で働く人全体に占める65歳以上の割合では順位が入れ替わる。最も高いのは「農業、林業」の50.6%で、働き手の2人に1人が65歳以上だ。次いで「不動産業、物品賃貸業」が29.0%、「サービス業(他に分類されないもの)」が22.4%、「生活関連サービス業、娯楽業」が18.7%となっている。人数が多いのは小売や医療・福祉だが、高齢者がいなければ回らない度合いが強いのは農林業という構図である。
人口は3624万人、総人口の29.6%
同じ統計トピックスによると、2026年9月15日現在の65歳以上人口は3624万人で、前年の3622万人から2万人増えた。総人口に占める割合は前年の29.4%から29.6%となり、過去最高を更新した。男性は1571万人、女性は2054万人で、女性が483万人多い。
総人口に占める65歳以上の割合は1950年の4.9%から一貫して上昇し、1985年に10%、2005年に20%を超えた。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、1971〜74年生まれの世代が65歳以上になる2040年に34.8%、2050年には37.1%に達する見込みだ。高齢者の数そのものはすでに頭打ちに近づく一方で、働く高齢者は増え続けており、その多くが非正規という形で労働市場を支えている。
