厚生労働省は9月18日、病院の耐震改修状況調査の結果を公表した。2025年9月1日時点で、全国の8030病院のうち、すべての建物が耐震性を備えている病院は6596病院で、耐震化率は82.1%だった。前回2023年の調査の80.5%から上がっている。調査は都道府県を通じて行われ、対象となった全病院から回答があった。

「耐震化率」は1棟でも欠けると数に入らない

耐震化率は、回答した病院のうち、敷地内のすべての建物が耐震性を備えている病院の割合を指す。1棟でも基準を満たさない建物が残っていれば、その病院は耐震化率に数えない。

厚労省の定義では、耐震性がない建物とは、1981年(昭和56年)以前に建てられた建物のうち、耐震診断の結果、Is値(構造耐震指標)が0.6未満と判定されたものをいう。Is値0.6未満は、震度6強程度の地震で倒壊または崩壊する危険性があるとされる水準だ。

今回の8030病院の内訳は、すべての建物に耐震性がある病院が6596(82.1%)、一部の建物にだけ耐震性がある病院が500(6.2%)、すべての建物に耐震性がない病院が285(3.5%)、耐震診断をしておらず耐震性が不明な病院が649(8.1%)となっている。

「不明」が293減り、「耐震性なし」が179増えた

前回2023年調査では、回答した8143病院の内訳は、耐震性ありが6552(80.5%)、一部が543(6.7%)、耐震性なしが106(1.3%)、不明が942(11.6%)だった。

今回と比べると、耐震診断をしていない「不明」が942病院から649病院へ293減り、「すべての建物に耐震性がない」が106病院から285病院へ179増えている。耐震診断が進んで判定が確定した分が、「不明」から「耐震性なし」へ振り替わった形だ。全体の耐震化率が上がる一方で、危険性が明確になった病院の数は2年で2.7倍になった。

耐震性が確認できていない病院は、「耐震性なし」の285と「不明」の649を合わせて934病院。回答病院全体の11.6%にあたる。2023年調査の時点では1048病院・12.9%で、割合としては下がっている。なお調査対象の病院数そのものは、2023年の8143から今回の8030へ113減った。

災害拠点病院は97.2%、耐震性のない2病院は青森と沖縄

地震発生時に重症患者の受け入れ拠点となる災害拠点病院と救命救急センターは、783病院すべてが回答した。このうちすべての建物に耐震性があるのは761病院で、耐震化率は97.2%。2023年調査の96.0%から上がった。

残る22病院の内訳は、一部の建物にだけ耐震性があるものが20、すべての建物に耐震性がないものが2。耐震診断をしていない病院はゼロだった。耐震性がない2病院は、青森県と沖縄県に1つずつある。

都道府県別で見ると、災害拠点病院と救命救急センターの耐震化率が100%の都道府県は31ある。一方で最も低いのは福島県の83.3%(12病院中10)で、奈良県の85.7%(7病院中6)、山口県の86.7%(15病院中13)が続く。

最も低い福島は69.0%、最も高い島根は95.7%

病院全体の耐震化率を都道府県別に見ると、最も低いのは福島県の69.0%(126病院中87)だった。京都府72.0%(161病院中116)、長崎県76.6%(141病院中108)、兵庫県77.0%(344病院中265)、山口県77.2%(136病院中105)と続く。

最も高いのは島根県の95.7%(46病院中44)で、富山県95.1%(103病院中98)、山形県93.9%(66病院中62)、静岡県92.8%(167病院中155)、秋田県92.2%(64病院中59)の順だった。

病院数の多い地域では、北海道が78.5%(526病院中413)、東京都が82.3%(632病院中520)、大阪府が78.7%(497病院中391)、福岡県が79.2%(442病院中350)となっている。

この調査で最も古い2005年(平成17年)の集計では、回答6843病院のうち耐震性ありが2494病院で、耐震化率は36.4%だった。政府は2018年12月に閣議決定した「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」で、2020年度までに病院全体の耐震化率を80.0%とする目標を掲げ、2023年度にこれを達成している。今回の82.1%は、2005年の36.4%のおよそ2.3倍にあたる。