気象庁は9月20日午後10時59分、関東甲信地方と東海地方について「線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性があります」とする全般気象解説情報を発表した。台風25号の接近に伴うもので、府県単位の対象は茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨、静岡の7都県となっている。気象庁は21日0時から22日0時までの24時間降水量を、東京地方で250ミリ、伊豆諸島で350ミリと予想している。

対象は7都県 栃木と群馬は入らなかった

呼びかけは地域ごとに時間差で出た。東海地方では20日午後4時1分に静岡県が対象となり、関東甲信地方では同日午後10時55分に茨城、埼玉、千葉、神奈川、山梨の各県と東京地方・伊豆諸島が加わった。伊豆諸島だけは静岡県と同じ午後4時台に先行して対象になっている。

関東甲信地方は1都7県で構成されるが、今回名前が挙がったのは6都県で、栃木県と群馬県は入らなかった。台風が本州の南海上を通るため、暖かく湿った空気が流れ込むのは太平洋側と山梨県までという見立てだ。

こうした絞り込みは、2024年5月に始まった運用による。気象庁は2022年6月から線状降水帯の半日前の呼びかけを始めたが、当初は全国を11に分けた地方単位でまとめて出していたため、「関東甲信地方」と言われても自分の県が危ないのか判断しづらかった。府県単位に細分化したことで、今回のように栃木・群馬を外すといった伝え方ができるようになった。

東京は1時間60ミリ、伊豆諸島は波9メートル

気象庁が20日午後11時33分に発表した東京都気象解説情報によると、20日から21日にかけて予想される1時間降水量は多い所で東京地方60ミリ、伊豆諸島北部・南部でいずれも70ミリ。21日0時から22日0時までの24時間降水量は東京地方250ミリ、伊豆諸島北部・南部でいずれも350ミリとしている。線状降水帯が発生した場合は、局地的にさらに雨量が増えるおそれがあるという。

風と波は伊豆諸島が突出している。予想される最大風速と最大瞬間風速は、東京地方が23メートルと35メートルであるのに対し、伊豆諸島北部は30メートルと45メートル、南部は35メートルと50メートル。気象庁は伊豆諸島について、一部の電柱が倒壊したり建物の一部が広範囲に飛散したりするおそれもある「猛烈な風」が吹く見込みだとしている。波の高さは東京地方の2.5メートルに対し、伊豆諸島北部は8メートル、南部は9メートルで、うねりを伴う。

東京地方についても、気象庁は21日夜遅くにかけて河川の増水や氾濫に厳重に警戒し、21日昼過ぎから夜遅くにかけて土砂災害に厳重に警戒するよう求めている。都内ではすでに20日午後9時50分、杉並区と中野区を流れる善福寺川にレベル4氾濫危険警報が出ている。

台風は22日未明に銚子の東へ 気圧は下がる見込み

台風25号(アジア名ドゥージェン)は21日0時現在、北緯30度40分・東経137度40分の日本の南にあり、時速15キロで北へ進んでいる。中心気圧は970ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は35メートル、最大瞬間風速は50メートルで、大きさは「大型」、強さは「強い」に分類されている。20日午後9時時点では、中心から半径130キロ以内が風速25メートル以上の暴風域だった。

気象庁の予報では、21日正午に八丈島の西約120キロへ達し、22日0時には銚子市の東約110キロに進む。注意が要るのは、この間に勢力が落ちない点だ。中心気圧は970ヘクトパスカルから965ヘクトパスカルへと下がり、最大瞬間風速の予想もむしろ上がる。北上した台風は海水温の低下で衰えるのが通例だが、今回は関東の東を通過する段階まで強さを保つ計算になっている。温帯低気圧に変わるのは22日午後9時、日本の東へ抜けてからの見込みだ。

呼びかけ7回に1回で線状降水帯 6割は3時間100ミリ超

半日前の呼びかけが出ても、線状降水帯が必ず発生するわけではない。気象庁がまとめた2025年の実績(2025年11月14日時点)によると、府県単位で呼びかけた88回のうち、実際に線状降水帯が発生したのは12回で、割合にすると約14%。運用開始前に想定していた「4回に1回程度」には届いていない。

一方、見逃しは減っている。線状降水帯が発生した17回のうち12回は事前に呼びかけができており、捕捉率は約71%。想定の「2回に1回程度」を上回った。取りこぼしを減らす代わりに空振りが増える、という設計になっている。

外れが多いなら軽視してよいかというと、そうではない。呼びかけた88回のうち54回、割合にして約61%では、線状降水帯の形にならなくても3時間降水量が100ミリ以上の大雨が降っていた。気象庁は、線状降水帯の発生の有無にかかわらず、この呼びかけが出たときはハザードマップや避難所・避難経路を確認し、大雨災害への心構えを一段高めてほしいとしている。

なお、実際に線状降水帯が発生した際に出る「顕著な大雨に関する気象情報」は別の情報で、前3時間の積算降水量が100ミリ以上となる範囲が500平方キロ以上に広がるなど、4つの基準をすべて満たした場合に発表される。半日前の呼びかけはあくまで「可能性がある程度高い」段階の予告にあたる。

気象庁は次の東京都気象解説情報を21日午前6時ごろに発表する予定としている。