内閣官房と消防庁は9月17日、熊本県と同県人吉市、愛媛県と同県久万高原町がそれぞれ国と共同で、弾道ミサイルを想定した住民避難訓練を実施すると発表した。人吉市の訓練は9月27日午前8時から正午ごろまで、久万高原町は10月10日午前9時から11時半ごろまで行う。国はこの2件を含め、2026年度に全国で19件の訓練を予定している。

人吉市はバスで緊急一時避難施設へ運ぶ

両訓練とも、他国から弾道ミサイルが発射され、日本に飛来する可能性があると判明した、という想定で行う。模擬のJアラート(全国瞬時警報システム)音声を防災行政無線で放送して住民に情報を伝え、屋外や屋内にいる住民が屋内避難などの行動をとる。

人吉市の訓練は、市役所3階の庁議室と、人吉スポーツパレス、市内の各小学校を会場とする。市内の小学校に避難した住民はバスで、それ以外の住民は自家用車などで人吉スポーツパレスへ移動する。人吉スポーツパレスは、ミサイル落下時に一時的に身を守るための緊急一時避難施設に指定されている。

久万高原町の訓練会場は、緊急一時避難施設である久万町民館で、住民が同館などへ屋内避難する。主催はいずれも内閣官房、消防庁と、県・市町の4者だ。取材対応は熊本県と愛媛県がそれぞれ別に発表する。

「屋内へ」「窓から離れる」——国が示す行動

Jアラートは、ミサイル発射などの緊急情報を国から自治体へ瞬時に伝え、屋外スピーカーや携帯電話の緊急速報メールで住民に流す仕組みだ。ミサイル飛来時にとるべき行動として、内閣官房は屋外にいる場合は近くの建物の中か地下へ避難すること、近くに建物がない場合は物陰に身を隠すか地面に伏せて頭部を守ることを示している。屋内にいる場合は窓から離れるか窓のない部屋へ移り、カーテンを閉めるよう求めている。

訓練が避難先として使う緊急一時避難施設は、この「近くの建物・地下」にあたる施設を自治体があらかじめ指定したものだ。今回の人吉スポーツパレスのように体育館やホールが指定される例が多い。

施設を「二刀流」にする検討も進む

国は施設の指定をさらに増やそうとしている。消防庁は7月30日、「緊急一時避難施設と一時滞在施設のデュアルユースの推進に関する検討会」を開くと発表し、8月4日に第1回を開いた。ミサイル飛来などの武力攻撃事態で使う緊急一時避難施設と、大規模自然災害で帰宅困難者らを受け入れる一時滞在施設を、同じ建物で兼用できるようにする環境整備を検討する。指定促進と災害対策の相乗効果を狙うとしている。検討会は非公開で、資料と議事概要は後日公開される予定だ。

今年度の訓練、富山と宮崎の日程が決まった

2026年度の19件は、6月16日の青森県佐井村を皮切りに、2027年2月19日の石川県宝達志水町まで続く。7月10日の発表からは2件が具体化した。実施市町村が未定だった富山県は黒部市に決まり、11月10日に行う。日程が未定だった宮崎県新富町は12月12日と決まった。一方、2027年1月24日の広島県と1月30日の秋田県は、実施市町村がまだ決まっていない。

10月以降は、15日に新潟県十日町市、20日に宮崎県えびの市、24日に福島県会津坂下町と石川県羽咋市が同日で続く。11月は1日に大阪府和泉市、10日に山形県米沢市と富山県黒部市、29日に熊本県宇土市。年明けは1月25日に千葉県四街道市、26日に栃木県矢板市、2月14日に長崎県大村市を予定している。次の訓練は9月27日の人吉市で、その2週間後に久万高原町が続く。