政府は10日、2026年度(令和8年度)の交通政策白書を閣議決定した。国土交通省が同日公表した。交通政策白書は交通政策基本法に基づき、政府が毎年度作成して国会に報告する年次報告で、令和7年度の交通をめぐる動向と、令和8年度に国が講じる施策を3部構成でまとめている。人口減少や高齢化で公共交通が細る「交通空白」の解消と、自動運転など新技術の活用が、白書が扱う施策の柱に位置づけられている。
交通政策白書とは
交通政策白書は、2013年に施行された交通政策基本法に基づき、政府が毎年度作成して国会に報告する年次報告書だ。第1部で鉄道・バス・航空・海運といった各分野の輸送量やネットワークの動向を整理し、第2部・第3部で「交通政策基本計画」に沿って国が講じた施策と、今後の取組方針を示す。作成の担当は国土交通省総合政策局交通政策課。国交省は公式X(旧ツイッター)でも「令和8年版交通政策白書を閣議決定した」と告知した。
焦点は地方の「交通空白」の解消
白書が扱う施策の中心にあるのが、公共交通が乏しい地域の「交通空白」の解消だ。交通空白とは、バスや鉄道、タクシーといった移動手段が不足し、住民が通院や買い物、通学などに支障をきたす状態を指す。地方では人口減少や利用者の落ち込み、運転手不足を背景に路線の廃止・減便が相次ぎ、自分で車を運転できない高齢者らの「足」が失われつつある。
政府は2025〜27年度(令和7〜9年度)を「集中対策期間」と位置づけ、全国で約2500か所を対象に対策を進めている。地域の実情に応じて、利用者の予約に応じて運行する「デマンド交通」や、一般のドライバーが自家用車で客を運ぶ「公共ライドシェア」の導入、複数の交通事業者の連携などを組み合わせ、地域交通を作り直す「リ・デザイン」を掲げる。
自動運転など新技術も活用
交通空白の解消には、担い手不足を補う新技術の活用も欠かせない。政府は自動運転バスやタクシーの社会実装を急いでおり、交通政策基本計画では2027年度までに全国100か所以上で運転手のいない自動運転の移動サービスを実現する目標を掲げている。スマートフォンで経路検索から予約・決済までを一括で行う「MaaS(マース、Mobility as a Service)」の普及や、ドローンを使った物流の実装も進める方針だ。
背景には、トラックやバスの運転手の残業時間が規制で厳しくなった「2024年問題」による人手不足もある。人と物の「足」をどう守るかは、地方の暮らしと地域経済を左右する課題となっている。白書は、こうした取り組みの進み具合を毎年検証し、政策の実効性を高める狙いがある。