首相官邸は9月20日、ホームページの最上部に「北朝鮮から弾道ミサイルの可能性があるものが発射・すでに落下したと推定」との緊急速報を掲出した。高市早苗首相は同日午後3時6分付で総理指示を出し、官邸サイトの「総理の指示・談話など」に全文が掲載された。
指示は3項目
公表された総理指示は、(1)情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して、迅速・的確な情報提供を行うこと(2)航空機、船舶等の安全確認を徹底すること(3)不測の事態に備え、万全の態勢をとること――の3項目。北朝鮮が弾道ミサイルを発射したとみられる際に官邸が出す定型の指示と同じ構成で、内容は関係省庁に対する初動の枠組みを示すものだ。
官邸の新着情報欄にも同日付で「総理の発表 高市総理は北朝鮮からの弾道ミサイルの可能性があるものの発射に関する総理指示を行いました」と掲載された。一方、発射の時刻や発射数、飛翔距離、落下地点が日本の排他的経済水域(EEZ)の内側か外側かといった詳細は、本稿の執筆時点で官邸の公表資料には書かれていない。この種の事案では、防衛省が「北朝鮮のミサイル等関連情報」として速報を出し、その後に落下推定情報、続報と段階的に公表する運用が定着している。
今年8月だけで3回
防衛省のお知らせ一覧を見ると、「北朝鮮のミサイル等関連情報」は今年8月に6日、12日、20日の3回掲載されている。いずれも速報に続いてミサイル落下推定情報が2本、さらに続報が出される形で、発射から数時間のうちに情報が更新されていた。発射が断続的に繰り返されている状況がうかがえる。
今回の事案は、第2次高市改造内閣が9月17日に発足した直後に起きた。官邸サイトには18日に初副大臣会議と初大臣政務官会合が開かれたことが載っており、新体制が動き出した最初の週末の対応となった。
飛来時の行動は「避難」が基本
内閣官房の国民保護ポータルサイトは、弾道ミサイルが日本に飛来する可能性がある場合、全国瞬時警報システム(Jアラート)を通じて防災行政無線や携帯電話の緊急速報メールで情報を伝えるとしている。屋外にいるときは近くの建物の中か地下に避難し、建物が無ければ物陰に身を隠すか地面に伏せて頭部を守る、屋内にいるときは窓から離れるか窓のない部屋に移動する、というのが示されている行動の基本だ。
同サイトは自治体と合同で弾道ミサイルを想定した住民避難訓練も進めており、9月27日に熊本県人吉市、10月10日に愛媛県久万高原町、10月24日に福島県会津坂下町での実施が公表されている。訓練は屋内への避難や安否確認の手順を確かめる内容で、実際の飛来に備えた住民側の動きを固める狙いがある。
