経済産業省の中小企業庁は、人手不足が深刻になる「労働供給制約社会」を見据えた中堅・中小企業向けの新たな戦略をまとめた。事業の立て直しや生産性の向上、企業同士の再編を後押しし、「稼ぐ力」の強化と賃上げの好循環を目指す。6月24日に公表した。

「数より質」で強い中小企業を

「労働供給制約社会」とは、少子高齢化で働く人の数が減り、人手を十分に確保しにくくなる社会のことだ。中小企業庁は、こうした時代には「人も中小企業も、数より質が大事になる」と指摘する。

そのうえで、現状維持ではなく、事業の作り直し(再構築)や生産性の向上、企業同士の連携・再編に取り組む中堅・中小企業を、徹底して支援する方針を掲げた。経済全体の供給力を高めるため、規模は小さくても「強い中小企業」を増やすことを狙う。

賃上げを「成長戦略の起点」に

戦略で目を引くのは、賃上げの位置づけだ。中小企業庁は、賃上げを単に利益を従業員に配る「分配政策」ではなく、人材を惹きつけ、生産性を高める投資を促す「供給力強化政策」だとした。賃金を上げることが企業の行動を変え、成長につながるとして、「成長戦略の起点」と位置づけている。

賃上げと「稼ぐ力」を同時に高め、好循環を生み出すことを目指す。

支援は6つの柱で

具体的な支援は、6つの柱で整理された。①コスト上昇分を取引価格に反映させる「価格転嫁」と取引の適正化、②成長支援と生産性の向上、③M&A(合併・買収)や事業承継による事業再編、④成長を促す中小企業向けの金融、⑤賃上げの促進、⑥経営を立て直すための「伴走支援」体制の強化――だ。

中小企業は日本の雇用の多くを支えている。人手不足と物価高が重なるなか、中小企業の底上げが進むかどうかは、賃上げや地域経済の行方を左右する。中小企業庁は、政策の達成度を測る新たなKPI(重要業績評価指標)もあわせて設けた。