農林水産省は18日、米の価格と需給の最新データをまとめた「米に関するマンスリーレポート(令和8年9月号)」を公表した。全国約1000店のスーパーや生協のレジ情報(POSデータ)でみた8月の精米の平均価格は、5キロ入りに換算して3,160円。7月の3,370円より210円(6.2%)安く、前年同月の3,764円と比べると604円(16.0%)下がった。店頭の米価は昨年末の高値から下げ続けている。

昨年12月の高値から1,177円下がった

農水省が調査会社KSP-SPのPOSデータを集計した平均価格(5キロ換算・税込み)は、令和7年8月が3,764円、同年12月が4,337円だった。そこから毎月下がり続け、8か月で1,177円安くなった計算だ。約400店のドラッグストアはさらに安く、8月は3,007円。1年前の4,031円から1,024円下がっている。

銘柄によって下げ幅は大きく異なる。新潟産こしいぶきは1年前の4,388円から2,555円へ1,833円下がり、長野産あきたこまちは4,938円から2,974円へ1,964円下がった。千葉産コシヒカリも4,558円から2,952円になっている。一方、新潟産コシヒカリ(魚沼)は4,728円から4,077円への651円安にとどまり、下げ幅は小さい。安い銘柄ほど大きく値を戻した形だ。

統計によって「米の値段」は違う

同じ8月の米価でも、調べ方によって数字は食い違う。マンスリーレポートに収録された総務省の小売物価統計では、うるち米(コシヒカリ)の5キロあたりの小売価格は4,326円で、前年同月比12.6%安、前月比5.2%安。コシヒカリ以外の銘柄の平均は4,062円で、前年同月比15.0%安、前月比8.9%安だった。POSの3,160円とは1,000円以上の開きがある。

違いは調べる対象にある。小売物価統計は銘柄と容量を定めて店頭の売価を調べるのに対し、POSの平均価格は実際に売れたすべての精米を5キロ袋に換算して加重平均したものだ。単一銘柄より安いブレンド米や特売品も母数に入る。9月7〜13日の週に売れた米のうち、ブレンド米などの比率は15%だった。

総務省の消費者物価指数(令和7年基準)では、7月の米類の指数は91.1で、前年同月より11.6%、前月より4.1%低い。1年前に1,000円で買えた量の米が、884円で買えるようになった水準にあたる。

卸値はなお前年より16%高い

農水省が同じ18日に公表した令和7年産米の相対取引価格は、8月が全銘柄平均で玄米60キロあたり31,556円だった。前月の32,486円より930円(3%)安い。ただし前年同月、つまり令和6年産米の27,179円と比べると4,377円(16%)高い。

相対取引価格は、集荷業者と卸売業者の間で数量と価格を決めた1等米の契約価格を、運賃・包装代・消費税を含めて加重平均したものだ。出回りから8月までの令和7年産米の年産平均価格は35,330円で、令和6年産米の25,179円を10,151円(40%)上回っている。公表された54銘柄のうち、前月より価格が上がったのが19銘柄、下がったのが27銘柄。最も高いのは新潟産コシヒカリ(魚沼)の38,179円と山形産つや姫の38,071円で、最も安いのは福岡産ヒノヒカリの20,014円だった。

8月の相対取引数量は5万7,260トンで、前年同月の3万1,446トンの1.82倍にあたる一方、前月の7万8,978トンに対しては73%の水準にとどまった。農水省は、8月の取引は令和7年産米の取引全体の約3%にあたる終盤の商いで、年間の価格に与える影響は小さいと説明している。

玄米と精米は単位が違うため、そのままでは店頭価格と比べられない。同レポートが示す令和8年7月の精米歩留り88.9%で単純に換算すると、玄米60キロからとれる精米は約53キロ。31,556円をこの重さで割って5キロ分に直すと約2,960円になる。店頭の3,160円との差が、精米・包装・輸送・販売にかかる費用と利益にあたる。

買う量は減り、売れる量は増えた

総務省の家計調査(二人以上の世帯)によると、7月の1世帯1か月あたりの米の購入数量は4.2キロで、前年同月より3.0%減った。同じ月のパンは3.6キロで6.8%増、めん類は3.2キロで2.1%減となっている。家庭が買い込む量そのものは増えていない。

これに対し、店頭で売れる量は伸びている。8月のPOS販売数量は4,769トンで、前月より422トン、前年同月より68トン多い。週単位でみると、8月31日〜9月6日が前年同期比32.0%増、9月7〜13日が27.6%増と2週続けて3割前後の伸びとなった。前年の同じ時期(令和7年9月8〜14日)の伸びは9.4%で、今年の増え方はその3倍近い。8月24〜30日の週は2.9%増にとどまっており、新米が出回る9月に入って動きが変わった形だ。

新米は豊作見込み、在庫も積み上がる

値下がりの背景には、令和8年産の作柄と需給の見通しがある。農水省が8月31日に公表した10アールあたり収量の平均比見込みは、「やや上回る」が24道府県、「平均並み」が19都県、「やや下回る」が3県。一部で7〜8月の日照不足や多雨の影響はあるものの、5月の田植え期以降はおおむね日照に恵まれたためと説明している。

これを受けて9月2日に公表した米の基本指針では、令和8年産の主食用米などの生産量を735万〜754万玄米トン(中央値745万トン)と幅をもって見込んだ。令和8年6月末の民間在庫量243万トンを足した供給量に対し、令和8/9年の需要量は693万〜711万トン。差し引いた令和9年6月末の民間在庫量は267万〜304万トン(中央値285万トン)で、政府備蓄米21万トンの買戻しを踏まえると246万〜283万トン(中央値264万トン)になると見通した。供給が需要を上回る構図だ。

急な値崩れを避けるため、農水省は米穀周年供給・需要拡大支援事業で長期計画的な販売支援の申請があった32万トンを11月以降に計画的に売り出す。民間備蓄実証事業の6万トンと合わせた38万トンで、需給の安定を図るとしている。