警察庁がまとめた令和8年(2026年)の月別自殺者数の暫定値(8月末時点)によると、1月から8月までの自殺者は全国で1万2148人だった。厚生労働省と警察庁がまとめた前年の統計から同じ1〜8月を足し合わせると1万3041人で、今年はこれより893人少ない。男女別では男性8245人、女性3903人だった。暫定値は令和8年9月10日時点で集計したもので、その後の精査で変わることがある。

減った893人のうち750人が男性

前年同期と比べると、男性は8995人から8245人へ750人減り、女性は4046人から3903人へ143人減った。減少分の8割超を男性が占めた計算になる。減り方を率で見ると、全体は6.8%減で、男性は8.3%減、女性は3.5%減だった。女性の減り方は男性の半分以下にとどまる。

自殺者数はもともと男性が女性の2倍前後で推移してきた。今年1〜8月も男性が全体の67.9%を占めている。この比率自体は前年同期の69.0%とほとんど変わっておらず、全体の減少は男女どちらかに偏った構成の変化ではなく、多い側の男性が数として大きく減ったことで生じている。

前年の確定値を見ると、令和7年の自殺者数は1万9188人で、前年から1132人減った。男性は1万3176人で625人減、女性は6012人で507人減だった。年齢階級別で最も多いのは50〜59歳の3743人で、40〜49歳の2968人が続く。前年から最も大きく減ったのは70〜79歳の348人減(2685人から2337人)で、40〜49歳の246人減(3214人から2968人)が次に大きい。一方、19歳以下は800人から830人へ30人増え、年齢階級で唯一の増加となった。

男女で分けると動きはさらに違う。男性は19歳以下が370人から401人、50〜59歳が2684人から2702人、20〜29歳が1546人から1566人へ増えたのに対し、女性はすべての年齢階級で前年を下回った。今年の月別の暫定値には年齢別の内訳がなく、こうした傾向が続いているかは年間の確定値を待つ必要がある。

月別では3月だけが前年を上回る

月ごとに前年同月と並べると、今年上回ったのは3月だけだった。1月は1640人から1543人、2月は1415人から1386人、3月は1662人から1706人、4月は1729人から1568人、5月は1761人から1640人、6月は1686人から1535人、7月は1626人から1449人、8月は1522人から1321人と推移している。

差の開き方は年の後半にかけて大きくなっている。1月の差は97人、2月は29人だったのに対し、6月は151人、7月は177人、8月は201人と広がった。8月の男性は878人、女性は443人で、前年8月の男性1043人、女性479人をともに下回った。

過去5年の1〜8月と比べると

厚労省と警察庁の前年の統計には、令和3年からの月別の自殺者数が載っている。これを使って各年の1〜8月を足すと、今年の1万2148人はこの期間で最も少ない。8月だけを取り出しても、今年の1321人は令和3年以降で最も少ない。

年 1〜8月の合計 うち8月 1年間の合計
令和3年(2021年) 1万4509人 1735人 2万1007人
令和4年(2022年) 1万4835人 1780人 2万1881人
令和5年(2023年) 1万4922人 1822人 2万1837人
令和6年(2024年) 1万4012人 1623人 2万320人
令和7年(2025年) 1万3041人 1522人 1万9188人
令和8年(2026年)※暫定値 1万2148人 1321人 集計中
全国の自殺者数。令和3〜7年は確定値、令和8年は9月10日集計の暫定値。1〜8月の合計と1年間の合計は、月別の人数を本紙が足し合わせた出典: 厚生労働省・警察庁「令和7年中における自殺の状況」図表2-3、警察庁「令和8年中の月別自殺者数について(8月末の暫定値)」

1〜8月の合計は令和5年の1万4922人を境に、3年続けて減っている。令和5年と比べると、今年は2774人少ない。令和3〜7年の5年間は、1〜8月の人数が1年間の合計の67.8〜69.1%を占めていた。ただし今年は暫定値で、確定値の前年と単純には比べられない点に注意がいる。

都道府県別は東京が最多

都道府県別では東京が1419人で最も多く、大阪と神奈川がともに724人、愛知が692人、埼玉が691人、千葉が650人と続いた。人口の多い都府県が上位に並ぶ。一方で少ないのは鳥取の42人、徳島の44人などだった。なお警察庁は、自殺者数を死体が発見された都道府県と月に計上していると注記している。

月ごとの動きは都府県によって違う。愛知は8月が114人で、1〜7月の各月(66〜97人)を上回った。神奈川は5月の126人から8月は49人まで減り、東京は毎月160〜190人台で推移している。

9月は例年増える月 小中高生は前年9月が最多

月別の推移を見ると、9月は8月より増えやすい。令和3年からの5年間で、9月が8月を上回ったのは令和4〜7年の4回で、前年は8月の1522人に対し9月は1673人だった。前年の9〜12月は合わせて6147人だった。9月末時点の暫定値は自殺者数、1〜9月は1万3583人で前年同期比1131人減 9月の暫定値は1296人で伝えた。

確定値の出ている前年の状況とあわせて読むと、全体の減少とは別の傾向も見える。令和7年はほとんどの年齢階級で減った一方、19歳以下だけは増えた。学生・生徒等のうち小中高生は前年より9人多い538人で、統計のある1980(昭和55)年以降で最も多かった。内訳は高校生356人、中学生172人、小学生10人である。

小中高生の自殺は月による差が大きく、令和7年は9月が62人で最多だった。次いで10月の52人、1月の51人、11月の50人が続く。長期休暇が明けて学校が始まる時期に増える傾向が続いている。自殺対策基本法は毎年9月10日から16日を自殺予防週間と位置づけ、国と自治体が啓発活動を広く行うこととしている。

厚生労働省は、悩みを抱えた人やその周囲の人に向けて相談窓口を案内している。「#いのちSOS」(0120-061-338)と「よりそいホットライン」(0120-279-338)は24時間受け付けている。文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)もあり、SNSやチャットでの相談窓口とあわせて、厚労省のサイト「まもろうよ こころ」にまとめられている。