経済産業省は9月17日、外国人旅行者向け消費税免税制度が11月1日に「リファンド方式」へ移行するのに合わせ、免税店向けのリーフレット「リファンド方式移行の準備ガイド」を作成したと発表した。旅行者が店頭でいったん消費税込みの価格を支払い、出国時に持ち出しが確認された後に消費税相当額の返金を受ける仕組みに変わる。移行まで残り40日余りとなる中、経産省は10月8日、14日、19日の3回にわたってオンライン説明会を開く。

店頭で引くのをやめ、出国確認後に返す

現在の免税制度は、免税店の店頭で消費税分を差し引いた価格で販売する方式である。旅行者はパスポートを示して手続きすれば、その場で税抜きの金額だけを支払えばよい。

11月1日からは、この順序が入れ替わる。旅行者は税込み価格をいったん全額支払い、出国する空港や港で免税手続き用の端末にパスポートを提示して税関の確認を受ける。持ち出しが確認されて初めて免税販売が成立し、その後に消費税相当額が返金される。10%の税率で1万円(税抜き)の品物を買う場合、これまでは店頭で1万円を払えば済んだが、11月以降は1万1000円を払い、出国確認の後に1000円が戻ってくる形になる。

国税庁によると、旅行者は購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受ける必要がある。確認を受けた物品を遅滞なく輸出しなかった場合は、免除された消費税額に相当する消費税を徴収される。観光庁は、対象となるのは出国時に自ら所持して持ち出せる数量に限られ、飲食料品や化粧品などを国内で消費してしまうと税関の確認を受けられず返金もされない、と説明している。

「特殊包装」は廃止、返金方法は各店の裁量

制度の変更は返金のタイミングだけにとどまらない。現行制度では、免税の対象となる物品が「一般物品」と「消耗品」に分けられ、1人の旅行者が同じ店で1日に買う合計額が一般物品は5000円以上、消耗品は5000円以上50万円以下という条件が課されている。加えて消耗品には、国内で消費されないように指定された方法で包装する義務があり、店側は専用の袋に詰めて封をする作業を負っていた。観光庁によると、リファンド方式ではこの消耗品の特殊包装が廃止される。5000円以上という購入下限は残る。

一方で、店側には新たな負担も生じる。返金をどう実施するかについて、国税庁は「消費税法令において何らルールを定めているものではありません」としており、具体的な手段は各店の判断に委ねられる。国税庁が例示しているのは、銀行振込、クレジットカード送金、アプリ送金、そして税関の確認を受けた出国港内での現金による返金である。店舗が自ら返金するか、返金事務を「承認送受信事業者」に委託するかという選択も迫られる。

経産省の準備ガイドは、チェックリストや場合分けを使い、承認送受信事業者への確認事項、自社システムの確認、旅行者への案内で注意すべき点、自社で免税対応を行う場合の準備などを整理した内容だという。

対象は6万3000店超、許可申請の受け付けは10月1日から

影響を受ける店舗の規模は小さくない。観光庁がまとめた都道府県別の集計によると、2025年3月31日時点の全国の免税店数は6万3278店で、前回調査の2024年9月30日から半年間で1886店(3.1%)増えた。内訳は三大都市圏が3万9431店、三大都市圏を除く地方が2万3847店で、地方が全体の4割弱を占める。大型百貨店や家電量販店だけでなく、地方の中小小売店も一斉に対応を求められることになる。

手続きの日程も詰まっている。国税庁によると、リファンド方式の開始後に免税店の許可を受けるための許可申請書は、10月1日から受け付けが始まる。11月1日にリファンド方式に対応した免税店として営業するには、10月31日までに許可や識別符号の通知を受けておく必要があり、国税庁は事前に所轄の税務署へ相談したうえで、10月1日以降速やかに書類を提出するよう求めている。申請書の様式自体は、この秋ごろに公表される予定となっている。

今回の見直しは、令和7年度(2025年度)税制改正で決まったものだ。国税庁は2025年4月にリーフレットを、同年12月にパンフレットを出し、2026年1月には説明動画、7月には詳細編のQ&Aを公表するなど、1年半をかけて周知を重ねてきた。経産省が実務向けの準備ガイドを出したことで、残る期間は個々の店舗がシステムと運用を整える段階に移る。