総務省の情報通信審議会情報通信技術分科会・電波有効利用委員会(主査・藤井威生電気通信大学教授)は9月18日、2027年10月に予定される携帯電話の無線局の一斉再免許に向けた報告案を取りまとめた。19日から10月19日まで意見を募集する。携帯各社に「将来業務計画」の提出を求め、その内容を新たに定める審査基準で審査したうえで更新の可否を判断する仕組みを打ち出した。

携帯電話の電波の免許には5年の期限があり、期限が来ると各社がまとめて更新手続きを取る。これが一斉再免許で、次回が2027年10月にあたる。従来の更新は、書類の形式が整っていれば通るのが実質的な運用だった。案はここに中身の審査を持ち込む。

計画の期間が切れると、基地局の増設が鈍る

見直しの引き金になったのは、電波を割り当てるときに課す「開設計画」の効き目が期間限定だという実態だ。総務省は新しい周波数を割り当てる際、基地局を何局建てるか、どの範囲をカバーするかを書いた開設計画の提出を求め、その達成を義務づけてきた。ところが認定期間が満了すると、この縛りがなくなる。

報告案の概要資料は、1年あたりの基地局の開設数を認定期間中と満了後で並べている。3.5GHz帯は認定期間中が年1万3989局だったのに対し、満了後は年3976局。3.7GHz帯・4.5GHz帯は年1万9855局から年8026局に、28GHz帯は年8753局から年1213局に減った。いずれも期間が切れた後は、増設の勢いが大きく落ちている。

携帯電話向けの周波数は新規の割り当てが一巡しつつあり、今後は認定期間が満了する帯域が増えていく。何も手を打たなければ、整備の鈍い帯域が国内に広がっていくことになる。

通信量は年1.15〜1.2倍で増え続けている

一方で、運ばれるデータの量は増え続けている。報告案は、移動通信の通信量が近年、年1.15〜1.2倍のペースで増えており、とくに5Gの伸びが大きいと指摘した。生成AIの普及などでさらに増える可能性も踏まえ、次の免許期間中も5Gを中心に最低でも同じペースで増え続けることを前提に審査すると明記している。

審査は周波数帯の性格ごとに分ける。建物の中や郊外まで届きやすい715MHz〜3.6GHzのローバンド・ミッドバンドは、地方を含めた通信範囲を少なくとも現行水準で保ちつつ5G化を進めているかを見る。3.6〜5.0GHzのSub6は混雑地域を面で覆う用途のため基地局数と展開率を、25.25〜29.5GHzのミリ波は特定の場所を狙う用途のため基地局数を、それぞれ主な物差しにする。

判断の基準には、政府の「デジタルインフラ整備計画2030」の目標を踏まえる。同計画は5G基地局を2024年度末の30万2000局から2030年度末に60万局へ倍増させ、複数の事業者のSub6基地局がそろう地域の割合を2024年度末の75.5%から2027年度末に90%、2030年度末に95%へ引き上げるとしている。ミリ波の基地局は2024年度末の4万5000局を2027年度末に5万局、2030年度末に7万局とする。

計画は原則公表、達成状況は次の更新の条件に

提出された将来業務計画は、再免許の際に原則として公表する。進み具合は毎年度実施している電波の利用状況調査の枠組みを使って定期的に確認し、その結果も競争環境に配慮しつつ原則公表する。そして免許期間が満了する時点での達成状況を、その次の一斉再免許の免許要件として審査基準に盛り込む。計画を出して終わりにせず、次の更新までの5年間を通して追いかける形になる。

申請時には読めない環境の変化に備え、計画を後から変更する手続きも整える。開設計画の認定期間中の帯域や、今年6月の国内初のオークションで割り当てられた26GHz帯のように価額競争で得た帯域については、別途その計画の遵守が求められるため、将来業務計画によらずに更新する。

一斉再免許の申請受け付けは2027年4月ごろに始まる見込みで、総務省は本年度内に制度と審査基準を整える方針だ。委員会は今回を「一次とりまとめ」と位置づけ、免許の更新にとどまらず、使われていない帯域を他社に移す再割当制度の在り方まで含めた「二次とりまとめ」を2027年春ごろに目指すとしている。