文部科学省は10月14日、令和9年度(2027年度)の国公立大学入学者選抜の概要を公表した。選抜を行うのは国立81大学417学部、公立99大学230学部の計180大学647学部で、募集人員は令和8年度より512人多い13万1325人となる。入試方法別では、書類審査や面接で多面的に評価する総合型選抜が1万727人、高校長の推薦に基づく学校推薦型選抜が2万3529人とそれぞれ増えた。一方、一般選抜の前期日程と後期日程は減った。数値は各大学が7月末までに公表した入学者選抜要項などを文科省が集計したもので、今後変わる可能性がある。
募集人員は512人増、増加の大半は公立
文科省は毎年度、各大学が7月末までに公表した選抜要項の内容を調べ、国公立大学の入試の概要として取りまとめている。令和9年度の集計によると、選抜を行う大学・学部数は前年度の179大学640学部から180大学647学部に増えた。国立は81大学のまま学部が415から417に、公立は98大学225学部から99大学230学部になった。
募集人員の合計は前年度の13万813人から13万1325人に増えた。内訳は国立が9万6344人から9万6348人とほぼ横ばいだったのに対し、公立は3万4469人から3万4977人に増えており、全体の増加分の大半を公立が占める。令和7年度は合計13万573人で、2年続けて増えた。
国立大学の募集人員は、一般選抜の前期日程が6万2717人、後期日程が1万1613人、総合型選抜が8548人、学校推薦型選抜が1万3370人。公立大学は前期日程が1万6874人、公立だけが設ける中期日程が2407人、後期日程が2950人、総合型選抜が2179人、学校推薦型選抜が1万159人となっている。公立大学では学校推薦型選抜が募集人員の29.0%を占め、国立大学の13.9%を大きく上回る。
大学別の募集人員は、前期日程では大阪大学の2929人、東京大学の2858人、京都大学の2609人などが大きい。東京大学、京都大学、大阪大学、岡山大学、金沢大学などは後期日程の募集を設けていない。
総合型・推薦が増え、一般選抜は前期・後期とも減少
入試方法別に前年度と比べると、増えたのは総合型選抜と学校推薦型選抜だ。総合型選抜は国公立全体で1万63人から1万727人に、学校推薦型選抜は2万2982人から2万3529人になった。総合型選抜が募集人員全体に占める割合は7.7%から8.2%に、学校推薦型選抜は17.6%から17.9%に上がった。二つを合わせると3万4256人で、全体の約26%にあたる。
| 入試方法 | 令和7年度 | 令和8年度 | 令和9年度 |
|---|---|---|---|
| 一般選抜・前期日程 | 80,532人 | 79,935人 | 79,591人 |
| 一般選抜・中期日程 | 2,388人 | 2,410人 | 2,407人 |
| 一般選抜・後期日程 | 15,452人 | 15,010人 | 14,563人 |
| 一般選抜・独自日程 | 428人 | 413人 | 508人 |
| 総合型選抜 | 9,298人 | 10,063人 | 10,727人 |
| 学校推薦型選抜 | 22,475人 | 22,982人 | 23,529人 |
| 合計 | 130,573人 | 130,813人 | 131,325人 |
(文部科学省「令和9年度国公立大学入学者選抜の概要」から作成)
一般選抜は、前期日程が7万9935人から7万9591人に、後期日程が1万5010人から1万4563人に減り、二つを合わせて791人少なくなった。前期日程の割合は61.1%から60.6%に、後期日程は11.5%から11.1%に下がった。国立大学だけを見ると、前期日程が374人、後期日程が346人減り、その分を総合型選抜の497人増と学校推薦型選抜の127人増が上回った。
国公立大学の総合型選抜の募集人員(人)
数値で見る(単位: 人)
| 項目 | 人 |
|---|---|
| R7年度 | 9,298 |
| R8年度 | 10,063 |
| R9年度 | 10,727 |
総合型選抜の募集人員は、令和7年度の9298人から2年で1429人増えた。総合型選抜を行う大学・学部数は161大学582学部で、選抜を行う学部の90.0%にあたる。ただし文科省は、一般選抜の定義を国立大学協会と公立大学協会の実施要領に揃えたため、令和8年度選抜の調査で総合型選抜の実施大学・学部数が増えたとしており、令和7年度以前の大学・学部数とは単純に比較できないと注記している。学校推薦型選抜は174大学531学部が行い、学部の82.1%にあたる。
後期日程は419学部、東大が独自日程で100人
一般選抜の試験日程は、国立大学が平成9年度、公立大学が平成11年度の入試から、原則として前期日程と後期日程に分けて行う「分離・分割方式」に統一されている。前期日程に合格して入学手続きをした人は、後期日程や中期日程の試験を受けても合格者とならない。
令和9年度に後期日程を行うのは131大学419学部で、前年度の131大学420学部とほぼ同じだった。国立は69大学276学部から68大学271学部に減り、公立は62大学144学部から63大学148学部に増えた。公立大学だけが行う中期日程は28大学40学部(前年度27大学39学部)が実施する。
分離・分割方式によらない「独自日程」では、国立大学では東京大学が「UTokyo College of Design」として100人を募集する。前年度の集計では、国立大学で独自日程を行う大学はなかった。公立大学では国際教養大学(95人)、新潟県立大学(278人)、芸術文化観光専門職大学(20人)、叡啓大学(15人)が独自日程で選抜を行う。
試験の評価方法では、一般選抜で面接を課す大学・学部が141大学315学部(前年度137大学302学部)に増えた。小論文は135大学262学部(同136大学266学部)だった。「2段階選抜」の実施を予告しているのは73大学197学部となっている。
共通テストを課す総合型選抜、多様な背景の選抜も拡大
総合型選抜と学校推薦型選抜では、共通テストを課すかどうかが大学によって分かれる。総合型選抜で共通テストを課すのは64大学173学部(前年度63大学167学部)、課さないのは150大学541学部(同149大学530学部)。学校推薦型選抜では課すのが96大学284学部、課さないのが144大学357学部で、いずれも前年度とほぼ同じだった。募集単位によって方法が異なる場合はそれぞれに数えるため、合計は実施学部数と一致しない。
文科省は今回、居住地域や性別など入学者の多様性を確保する観点から行う「多様な背景等を持った者を対象とする選抜」の実施状況もまとめた。学校推薦型選抜に準じる方法で行うのは134大学255学部で、前年度の108大学198学部から大きく増えた。総合型選抜に準じる方法では51大学112学部(前年度47大学101学部)、一般選抜に準じる方法では14大学18学部(同13大学16学部)。一般選抜に準じる方法を採る国立大学9大学のうち、8大学は医学部(筑波大学は医学群)が対象で、残る1大学は東京芸術大学の音楽学部だった。特定の地域の受験者を対象とする選抜は123大学230学部が行う。
このほか、専門学科・総合学科の卒業生(卒業見込みを含む)を対象とする選抜は64大学129学部(前年度58大学123学部)、帰国生徒を対象とする選抜は82大学241学部、社会人を対象とする選抜は107大学195学部が行う。令和9年度の医学部の定員増については「私立医大23校が定員314人増を申請 令和9年度の医学部、臨時定員は68大学で940人」で伝えている。
共通テストは1月16・17日、前期日程は2月25日から
令和9年度入試の日程は次のとおり。大学入学共通テストの出願は令和8年9月15日から10月2日まで受け付けており、試験は令和9年1月16日と17日に行われる。各大学への一般選抜の出願は1月25日から2月3日まで。
前期日程の試験は2月25日から始まり、合格発表は国立大学が3月6日から10日、公立大学が3月1日から10日の間に行う。入学手続きの締め切りは3月15日。後期日程の試験は3月12日以降、公立大学の中期日程の試験は3月8日以降に行い、いずれも合格発表は3月20日から24日、入学手続きの締め切りは3月27日となっている。
文科省は、今回の数値は令和8年7月末時点のもので、設置認可を申請中の学部などの予定も含むとしている。各大学の募集人員や選抜方法の詳細は、各大学が公表する学生募集要項で確かめる必要がある。
