厚生労働省の2025(令和7)年国民生活基礎調査で、自宅で介護を受けている人と、同居して主にその介護をしている家族が、ともに75歳以上という組み合わせが37.1%になった。前回の2022(令和4)年は35.7%で、同じ集計をさかのぼれる2001(平成13)年の18.7%以降で最も高い。24年で倍以上に増えた計算になる。
「ともに75歳以上」は24年で倍以上
調査では、介護保険法で要支援・要介護と認定された人のうち自宅で暮らす人を「要介護者等」と呼び、その人と、同居して主に介護にあたっている家族の年齢を組み合わせて集計している。いわゆる「老老介護」を数字で示したものだ。
2025年の結果は、ともに60歳以上が79.0%、ともに65歳以上が61.9%、ともに75歳以上が37.1%だった。2022年はそれぞれ77.1%、63.5%、35.7%で、60歳以上と75歳以上の組み合わせが増え、65歳以上の組み合わせだけがわずかに下がっている。
2001年からの推移でみると、ともに60歳以上は54.4%から79.0%へ、ともに75歳以上は18.7%から37.1%へ上がった。介護する側とされる側の両方が年を重ね、なかでも「75歳以上が75歳以上を介護する」形が増え続けている。
主に介護するのは同居が46.1%、配偶者が22.5%
要介護者等からみて、主に介護している人が誰かをみると、「同居」の家族が46.1%で最も多い。続柄では配偶者が22.5%、子が18.2%、子の配偶者が4.2%だった。同居以外では、訪問介護などの事業者が16.0%、別居の家族らが13.4%となっている。
介護にかける時間は、要介護度によって大きく変わる。全体では「必要なときに手をかす程度」が49.3%で最も多いが、要介護3以上になると「ほとんど終日」が最も多い介護時間になり、要介護4で48.5%、要介護5で54.2%を占める。
この「ほとんど終日」の介護をしている同居の介護者を続柄別にみると、配偶者が64.6%、子が28.9%だった。2022年は配偶者61.4%、子26.6%で、子の配偶者は8.2%から4.9%へ下がっている。重い介護ほど配偶者と実の子に集中し、その傾向が3年前より強まったことになる。
在宅で介護を受ける人の3分の1が独り暮らし
世帯の形も変わっている。要介護者等がいる世帯を世帯構造でみると、核家族世帯が40.2%で最も多く、単独世帯が33.2%で続いた。単独世帯は2022年の30.7%、2001年の15.7%から上がり続けている。逆に三世代世帯は2001年の32.5%から9.0%まで下がり、初めて1割を切った。
要介護者等がいる世帯のうち、高齢者世帯(65歳以上の人だけか、そこに18歳未満が加わった世帯)は61.3%を占める。介護を担う人がそもそも世帯の中にいない、あるいは同じく高齢という家庭が多数派になっている。在宅で支える医療側の体制については、かかりつけ医、国のサイト「ナビイ」で機能から探せるように 時間外診療や在宅医療の対応が検索条件に 9万2545機関が報告、報告率80.9%のとおり、各医療機関が在宅医療や介護との連携をどこまで引き受けるかを国のサイトで確認できるようになった。
なお同じ調査で、2025年6月5日現在の全国の世帯総数は5505万8千世帯、うち単独世帯が1947万7千世帯(35.4%)、高齢者世帯が1754万6千世帯(31.9%)だった。社会全体で世帯が小さくなっており、介護を家族の中で分担しにくい構造が背景にある。
要介護になった原因、最多は認知症の23.6%
介護が必要になった主な原因は、要介護と認定された人では認知症が23.6%で最も多く、骨折・転倒14.8%、高齢による衰弱14.5%が続いた。要支援の段階では高齢による衰弱17.7%、関節疾患14.8%、骨折・転倒14.7%の順で、原因の顔ぶれが入れ替わる。要介護5にかぎると、脳血管疾患(脳卒中)が27.6%で最も多い。
認知症が原因の場合、見守りが24時間必要になりやすく、介護時間が長くなる。75歳以上同士の介護が増えているという今回の数字は、その負担を、同じように体力や判断力が落ちていく世代が背負っているという意味になる。
要支援1から要介護5までの区分ごとの認定者の割合や、認定が市町村の調査と介護認定審査会の二段階でどう決まるかは、要介護・要支援の認定は721万人、65歳以上の19.7% 介護保険の仕組みを数字で押さえる 総費用14.3兆円は保険料と公費が半分ずつ、自己負担は原則1割 にまとめている。
自宅で支えきれなくなったときの受け皿となる高齢者向けの住まいも、制度の見直しが進んでいる。厚生労働省は中重度の要介護者らを入居対象とするホームに登録制を導入する方針で、有料老人ホームに登録制、厚労省が基準案 系列の介護事業所の利用を入居条件にするのは禁止 居室は原則個室で1人13平方メートル以上を9月18日の検討会に示した。
介護が必要になる前の段階に働きかける取り組みも動いている。厚生労働省は、病気になるリスクを下げる食事の内容と量を示す厚労省、「日本人のための食事ガイド」を2026年度内に作成 病気になるリスクを下げる食事へ軸を移す 食塩は1日9.6gで目標の7gに届かず方針で、2026年度内の公表を目指している。
介護保険の利用先である施設や在宅サービスの整備は、国と都道府県が地域医療介護総合確保基金などを通じて支えている。2026年度の介護分の1回目の内示は276億2500万円で、内訳はすべて施設整備分だった。人手をどう確保するかは別の課題として残る。在宅で支えきれなくなったときの受け皿となる有料老人ホームについても、有料老人ホーム、前払金の保全措置がない施設が25か所 13か所に指導したが改善はゼロ 未届の施設は568か所で全体の3.1%と、届出や入居時の前払金の保護に課題が残っている。
国民生活基礎調査は1986(昭和61)年に始まり、3年ごとに大規模調査、その間の年は簡易調査を実施している。2025年は14回目の大規模調査で、世帯票・健康票・介護票は6月5日現在、所得票・貯蓄票は7月10日現在の状況を調べた。世帯票と健康票の対象は全国5530地区の約30万世帯・約65万4千人、介護票は2500地区の要介護者・要支援者約7千人にあたる。大規模調査の年にだけ介護票があるため、老老介護の割合は3年に1度しか更新されない。所得票・貯蓄票からは暮らし向きの側面も分かり、相対的貧困率15.0% 2021年の15.4%から低下 子どもの貧困率は11.0% 貧困線は年138万円 2025年国民生活基礎調査では、同じ2025年調査で相対的貧困率が15.0%に下がった一方、生活意識を「苦しい」とした世帯は55.4%に増えたことが示されている。
高齢者の人口そのものは頭打ちに近づく一方で、その中身は後期高齢者に偏っている。総務省統計局の人口推計では、75歳以上が2148万8千人と1年で47万9千人増えたのに対し、65歳以上全体は1万5千人増とほぼ横ばいだった。介護する側・される側がともに75歳以上という組み合わせは、この人口構成の変化に沿って、次の調査でもさらに上がる可能性がある。
