要介護・要支援の認定を受けている人が、2026年7月末時点で全国744万9929人になった。厚生労働省が10月9日にサイトで公開した「介護保険事業状況報告(暫定)」の令和8年7月分で明らかになった。1年前の令和7年7月末は731万3126人で、13万6803人増えている。このうち65歳以上の第1号被保険者は731万4532人、40〜64歳の第2号被保険者は13万5397人だった。65歳以上の加入者3588万230人に対する認定者の割合は20.4%で、1年前の約20.0%から上がった。
増えたのは軽い段階、要介護5は7区分で唯一減った
認定は軽いほうから要支援1、要支援2、要介護1から要介護5までの7区分に分かれる。7月末の人数は要支援1が110万7868人、要支援2が107万6601人、要介護1が154万2596人、要介護2が124万9808人、要介護3が95万6450人、要介護4が93万603人、要介護5が58万6003人である。最も多いのは要介護1で、全体の20.7%を占める。
1年間の増減をみると、要介護1が3万4444人増で最も伸び、要支援2が3万1038人増、要支援1が2万8099人増と続く。要介護2は2万3382人増、要介護4は1万2391人増、要介護3は8103人増だった。半面、最も重い要介護5は58万6657人から58万6003人へ654人減り、7区分で唯一前年を下回った。増加分13万6803人のうち約7割は要支援1・2と要介護1の軽い3区分が占めている。
65歳以上の人数はほぼ横ばい 内訳が85歳以上へ移った
認定者が増えた一方、介護保険の65歳以上の加入者数は3585万7274人から3588万230人へ、2万2956人(0.06%)しか増えていない。動いたのは中身である。65〜74歳は1496万3207人から1454万3036人へ42万171人減り、75〜84歳は1419万7056人から1437万8500人へ18万1444人増え、85歳以上は669万7011人から695万8694人へ26万1683人増えた。75歳以上は合わせて2133万7194人で、65歳以上の加入者の59.5%を占める。1年前は58.3%だった。
同じ方向は毎月の人口推計でも出ていた(75歳以上の人口2153万人、2026年4月時点で総人口の17.5% 65歳以上全体は1万9千人増で頭打ち 要介護認定率は65〜74歳4.3%に対し75歳以上31.0%)。高齢者の総数が頭打ちでも、介護の必要量だけは増える構図が、認定者数の実数でも確認できた形だ。
年齢を5歳刻みでみると、認定者は65〜69歳が20万1313人、70〜74歳が42万4583人、75〜79歳が103万2666人、80〜84歳が150万1238人、85〜89歳が194万1050人、90歳以上が221万3682人である。この1年で75〜79歳が94万3177人から103万2666人へ8万9489人増えた一方、80〜84歳は157万2536人から150万1238人へ7万1298人減った。75〜79歳の層には、1947〜49年生まれの人口の多い世代が入っている。
年齢ごとの認定率は上がっていない
公表資料のうち第1表(年齢別の加入者数)と第2-1表(年齢別の認定者数)を突き合わせると、認定を受けている人の割合は65〜74歳が4.3%、75〜84歳が17.6%、85歳以上が59.7%になる。85歳以上では6割近くが要介護か要支援の認定を受けている計算だ。
1年前の同じ計算では65〜74歳が4.3%、75〜84歳が17.7%、85歳以上が59.9%だった。年齢層ごとの割合は横ばいか、わずかに下がっている。つまり認定者が13万6803人増えたのは、同じ年齢の人が以前より認定を受けやすくなったからではなく、割合の高い85歳以上が26万人増えたという人口構成の変化で説明がつく。
厚労省の年報でみると、年度末の認定者数は制度が始まった平成12年度末の256万人から令和6年度末の721万人まで一貫して増えてきた。65歳以上の加入者に占める割合も令和5年度末の19.4%から令和6年度末は19.7%へ上がっている。
1か月の保険給付費は9848億円
同じ報告には給付の状況も載る。令和8年5月にサービスを提供した分(償還給付は6月の支出決定分)の保険給付費などの総額は9848億円で、1年前の同じ区切りの9763億円から85億円増えた。内訳は自宅で受ける居宅サービスが4817億円、小規模な事業所が地域単位で提供する地域密着型サービスが1561億円、特別養護老人ホームなどの施設サービスが2914億円である。自己負担が重くなりすぎないよう払い戻す高額介護サービス費は248億円、施設の食費・居住費を補う特定入所者介護サービス費は189億円だった。
受給者数は居宅サービスが452万人(1年前は440万人)、地域密着型サービスが94万3千人(同93万3千人)、施設サービスが97万3千人(同96万8千人)。施設の内訳は介護老人福祉施設58万6千人、介護老人保健施設33万7千人、介護医療院5万3千人である。年間でみた介護費用の全体像は、介護サービスの費用、2025年度は12兆2208億円で4年続けて増加 利用者は685万1600人 1人あたり月額は鳥取23万3600円、埼玉19万6900円のとおり12兆円台に乗っている。
認定は「介護にかかる時間」の推計で決まる
要介護度は病気の重さではなく、介護サービスがどれだけ必要かで決まる。厚労省の説明によると、判定はコンピュータによる一次判定と、保健医療福祉の学識経験者が原案を審査する二次判定の二段階で行う。
一次判定は、施設に入所・入院している高齢者3500人を48時間追いかけ、どの介護にどれだけ時間がかかったかを記録した「1分間タイムスタディ・データ」を基にする。認定調査の結果から最も状態の近い人のデータを探し、直接生活介助・間接生活介助・BPSD(認知症に伴う行動と心理症状)関連行為・機能訓練関連行為・医療関連行為の5分野について「要介護認定等基準時間」を推計する。この時間に認知症加算を足した長さで区分が決まり、25分以上32分未満が要支援1、32分以上50分未満が要支援2か要介護1、50分以上70分未満が要介護2、70分以上90分未満が要介護3、90分以上110分未満が要介護4、110分以上が要介護5となる。厚労省は、この時間は介護の必要性を量る「ものさし」であり、家庭で実際にかかる介護時間や受けられるサービスの合計時間とは連動しないと注記している。
区分ごとに使えるサービスの中身と報酬は、令和9年度の介護報酬改定に向けて見直しが進んでいる。地域密着型サービスでは夜間対応型訪問介護は2027年3月末で廃止 統合先の定期巡回に24時間対応を評価する新報酬案 グループホームは3ユニットの夜勤2人体制を拡大案のように、サービス区分そのものの統合が議論されている。
今回の月報は暫定値で、市町村からの報告を積み上げた速報にあたる。確定した数値は年度ごとの年報で示される。
