「ほぼ日手帳」やウェブサイト「ほぼ日」を運営するほぼ日は10月14日、2026年8月期(2025年9月〜2026年8月)の連結決算を発表した。売上高は107億2,200万円、本業のもうけを示す営業利益は11億1,200万円、親会社株主に帰属する当期純利益は8億1,400万円だった。純利益が好調だったとして、期末配当を予想の1株90円から100円に引き上げる。あわせて、決算期を8月末から6月末に変えるため、次の2027年6月期は10か月の変則決算になる。
連結初年度、個別では営業益73%増
ほぼ日は今期から連結決算に移った。2026年6月に海外子会社のHobonichi Inc.へ増資し、同社が特定子会社になったためだ。連結の数字は今期が初めてで、前期と比べた増減率は示していない。
前期と比べられるのは、親会社単体の個別決算になる。個別の売上高は86億7,700万円から105億9,700万円へ22.1%増え、営業利益は6億1,600万円から10億6,800万円へ73.3%増、当期純利益は4億4,800万円から7億8,000万円へ74.1%増えた。1株当たり当期純利益は193円15銭から336円30銭になった。
| 項目 | 2025年8月期(個別) | 2026年8月期(個別) | 2026年8月期(連結) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 86億7,700万円 | 105億9,700万円 | 107億2,200万円 |
| 営業利益 | 6億1,600万円 | 10億6,800万円 | 11億1,200万円 |
| 経常利益 | 6億5,100万円 | 10億8,800万円 | 11億3,400万円 |
| 当期純利益 | 4億4,800万円 | 7億8,000万円 | 8億1,400万円 |
期中には業績予想を大きく引き上げていた。2025年10月に出した当初の個別予想は売上高95億円、営業利益6億8,000万円、当期純利益4億8,000万円だったが、期末後の2026年9月17日に売上高105億9,700万円、営業利益10億6,600万円、当期純利益7億900万円へ上方修正した。同じ日に公表した連結予想(売上高107億2,600万円、営業利益11億1,400万円、純利益7億4,000万円)と比べると、実績は売上高と営業利益がほぼ予想どおりで、純利益は予想を7,400万円上回った。
上方修正の理由として同社が挙げたのは、期末の2026年8月に卸先へ出荷を始めた来期版「ほぼ日手帳2027」だ。卸先からの受注が、前年同期と比べて国内で30.9%、海外で108.2%増え、想定を大きく上回ったという。年間の「2026」版の販売は予想をやや上回る程度で、修正が要る水準ではなかったと説明している。
売上原価率は全体で38.3%だった。手帳の原価率は31.6%、手帳以外は57.5%。手帳では原価率の低い海外の直営販路の売り上げが大きく伸びたことに加え、販売や在庫の状況をすぐ把握できるデータ基盤を使って再生産や在庫の移し替えを素早く判断できるようになり、売り逃しや在庫の過剰が減って商品評価損が小さくなったと説明している。
一方で、販売費及び一般管理費は売上高の51.3%を占めた。海外の直営販路の売り上げが増えたことに伴って関税や販売手数料がかさんだほか、商品倉庫の移転に伴う費用が一時的に生じたという。
連結の財政状態は、総資産81億3,300万円、純資産55億6,300万円で、自己資本比率は68.4%。営業活動によるキャッシュ・フローは13億900万円の収入で、期末の現金及び現金同等物は13億1,100万円だった。
手帳の売り上げ、海外が国内を上回る
ほぼ日は、ウェブメディアと物販を合わせた単一のセグメントで事業を営んでいる。読み物や動画、イベントなども「コンテンツ」と位置づけているが、売り上げの柱は手帳だ。
決算短信によると、「ほぼ日手帳」の売上高は国内が33億7,700万円、海外が45億7,100万円で、合計79億4,900万円と過去最高になった。全体の売上高の7割強を手帳が占め、手帳の売り上げに占める海外の割合は57.5%に達した。2026年版の販売部数は過去最高の114万部で、2001年発売の初年度版の1.2万部から25年で約100倍になったとしている。
販路は自社の「ほぼ日オンラインストア」に加え、国内外のアマゾンや楽天市場などの外部サイト、国内外の取引先への卸売に広げている。2025年10月には手帳のデジタル版にあたる「ほぼ日手帳アプリ」の提供も始めた。
地域別の売上高を見ると、日本が57億4,400万円で最も多く、北米・中米が32億3,400万円で続く。ヨーロッパは9億5,800万円、中華圏は2億7,200万円、その他の海外は5億1,200万円だった。日本以外を合わせると約49億7,800万円で、全体の4割を超える。
ほぼ日の地域別売上高(2026年8月期・連結)(億円)
数値で見る(単位: 億円)
| 項目 | 億円 |
|---|---|
| 日本 | 57.4 |
| 北中米 | 32.3 |
| 欧州 | 9.6 |
| 中華圏 | 2.7 |
| 他の海外 | 5.1 |
同社は背景として、生成AIやSNSが日常に浸透するなかで、紙とペンで日々の考えや感情を書き留める「ジャーナリング」が海外の若い世代を中心に広がっていると説明する。一方で、物流費や原材料費の高騰、各国の貿易規制の変化には、より細かなコスト管理とサプライチェーンの組み直しが欠かせないとしている。
手帳以外の商品の売上高は19億3,000万円だった。6月に東京・新宿で開いた9回目の「生活のたのしみ展」や、渋谷PARCOでの期間限定店の売れ行きがよかったという。
配当は100円、性向28.5%
増配は10月14日の取締役会で決め、11月下旬に開く第48期定時株主総会に諮る。基準日は2026年8月31日で、1株当たり配当金は100円(前期は90円)、配当金の総額は前期の2億800万円から2億3,200万円に増える。効力発生日は11月28日とした。中間配当は無く、年間でも100円となる。連結の配当性向は28.5%だった。
同社は配当の基本方針として、長期にわたって安定した経営基盤を確保するため、業績に応じた利益配分を続けるとしている。今回は親会社株主に帰属する当期純利益が好調だったことから、財務状況などを総合的に考えて10円の増配を決めたと説明した。決算短信によると、配当の支払い開始は11月30日の予定。
内部留保は、コンテンツを提供し続けるための資金、海外展開や新しいコンテンツなどの新規事業、経営の効率化に向けた情報システムへの投資に充てるとしている。
次の2027年6月期の配当は、期末に1株110円を予定している。10か月の変則決算だが、今期より10円多い。予想の純利益に対する配当性向は31.1%になる見込みだ。
決算期を6月に、手帳の「商戦」に合わせる
ほぼ日は9月17日、決算期を毎年8月31日から6月30日に変えると発表していた。11月下旬の株主総会で定款の変更が承認されることが条件で、Hobonichi Inc.も同じように変える。
理由として同社は、主力の手帳事業の事業サイクルと会計年度をそろえ、経営と業績の管理を適正にするためだと説明した。手帳・文具市場では新商品の需要が早まっていることに加え、需要に応じて再生産しやすくするため、「ほぼ日手帳2028」からは発売日を9月1日から8月1日に早める予定だという。また、取引が増えている卸売は一般発売より前に行われるため、これまでは最盛期が期末の間際に来ていた。今期も、来期版の卸先向け出荷が期末の8月に始まり、業績を押し上げた。
10月14日には、9月17日の開示に記載漏れがあったとして訂正を出した。定款の附則に、移行期となる第49期(2026年9月〜2027年6月)の中間配当の基準日を2027年2月末とする条文を書き加えた。変更後の定款では、中間配当の基準日は毎年2月末から12月末に移るが、第49期に限っては従来どおり2月末とする形になる。
10か月となる2027年6月期の連結予想は、売上高105億円、営業利益11億7,000万円、経常利益11億7,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益8億2,000万円。同社が参考として示した今期のうち同じ期間(2025年9月〜2026年6月)の実績と比べると、売上高は85億1,500万円から23.3%増、営業利益は9億7,800万円から19.6%増、経常利益は9億9,600万円から17.4%増となる。
次期は、9月にJR東京駅の「グランスタ東京」に開いた初の旗艦店「ほぼ日手帳ストア 東京駅店」や、海外での現地スタッフとの連携などで認知を広げるとしている。
