航空幕僚監部は10月17日、9月15日に鳥取県沖の日本海で墜落した航空自衛隊三沢基地(青森県)所属の無人偵察機RQ-4B(グローバルホーク)について、胴体の一部と思われる物体を回収したと発表した。10月2日から現場海域で機体の引上げ作業を続けていた。空自は「安全確保を最優先に、引き続き関係機関と連携し、残る機体の捜索・回収活動を継続してまいります」としている。墜落の原因は航空事故調査委員会が調べており、これまでの発表では部外への被害情報はない。
離陸から約2時間40分で通信が途絶えた
航空幕僚監部の発表によると、墜落したのは警戒航空団第502飛行隊のRQ-4B1機。9月15日午前10時20分ごろ三沢基地を離陸し、午後0時55分以降に通信装置との接続不良が起きた。3分後の0時58分ごろ、鳥取県沖の北約50キロの洋上でレーダーから航跡が消えた。
その後の経過は次のとおり。午後2時19分ごろに海上保安庁が浮遊物を見つけ、2時25分ごろには空自のF-15J戦闘機も浮遊物を確認した。3時12分ごろに空自の救難捜索機U-125Aが浮遊物を撮影し、その写真から5時20分ごろに「本機体」と推定した。さらに6時ごろ海上自衛隊のミサイル艇「はやぶさ」が撮影した写真で、7時50分ごろに墜落したと断定した。浮遊物を最初に見つけた海保について、15日の第2報は「巡視船」と書いていたが、16日の第3報以降は「ヘリコプター」に改めている。
| 日時 | 発表された内容 |
|---|---|
| 9月15日 10時20分ごろ | 三沢基地を離陸 |
| 同 12時55分以降 | 通信装置との接続不良が発生 |
| 同 12時58分ごろ | 鳥取県沖北約50キロでレーダーから航跡が消失 |
| 同 19時50分ごろ | 撮影した浮遊物の写真から墜落と断定 |
| 9月19日 | 鳥取県の沿岸に漂着した機体の一部を回収 |
| 9月24日 | 海自艦艇が海中で機体の一部と思われる物体を発見 |
| 10月2日以降 | 現場海域で引上げ作業 |
| 10月9日 | 出雲市猪目町の海岸線に機体の一部と思われる物体の漂着を確認 |
| 10月17日 | 胴体の一部と思われる物体を回収 |
出典: 航空幕僚監部「三沢基地所属RQ-4B(グローバルホーク)の墜落について」第1〜8報、航空自衛隊美保基地のお知らせ(10月13日)
推定原因について、第2報と第3報は「確認中」としていた。9月17日付の第4報からは「航空事故調査委員会において事故調査を実施中」と書いている。通信の不具合と墜落の関係を含め、原因に関する説明はまだ出ていない。
海と海岸線で続く捜索
墜落当日は、空自がF-15J2機、U-125A1機、救難ヘリコプターUH-60J、空中給油・輸送機KC-46A1機を、海自が護衛艦「あがの」とミサイル艇「はやぶさ」を出した。空自は15日午後6時13分ごろまで捜索し、その後は海自が続けた。16日と18日は、浮遊物が見つかった鳥取市青谷町沖の約40キロ周辺を中心に、U-125Aと護衛艦「やはぎ」「ゆうだち」、掃海艦「えたじま」などが捜した。18日午後5時の時点では、浮遊物の回収には至っていなかった。
機体の一部が初めて回収されたのは19日だった。鳥取県の沿岸に航空機の機体の一部と思われる物体が流れ着いているとの通報を受け、空自の隊員が確かめたところ、墜落した機体の一部と分かった。物体は回収し、美保基地に運び込んだ。24日には、捜索中の海自艦艇が海中で機体の一部と思われる物体を見つけた。空自は10月2日から現場海域で引上げ作業に入り、17日に胴体の一部とみられる物体を引き上げた。発表は回収した物体の大きさや、機体全体のどの程度にあたるかを明らかにしていない。
沿岸の住民と漁業者への呼びかけ
美保基地は9月18日、沿岸部での捜索について住民向けのお知らせを出した。19日から当面の間、土日・祝日も含めて、島根県松江市の瀬崎漁港から鳥取県岩美町までの海岸線で捜索と回収を行う。活動時間は午前8時から午後6時を基準とし、隊員が区域ごとに海岸を歩いて目で確かめるほか、必要に応じて船で海上から回収し、ヘリコプターやドローンで上空からも捜す。
10月13日には2回目のお知らせを出した。9日に民間などから情報提供を受けて自衛隊が捜したところ、機体の一部と思われる物体が出雲市猪目町の海岸線まで流れ着き、周りの海域にも浮いていることが確認されたという。美保基地は周辺の海岸線と海域に漂着物や浮遊物がある可能性があるとして、船の航行や漁の際に注意するよう求めた。機体の一部と思われる物を見つけた場合は、安全確保のため触ったり回収したりせず、美保基地の現地連絡調整所(0859・45・0211、内線613)に連絡するよう呼びかけている。
グローバルホークとはどんな機体か
RQ-4Bは、人が乗らずに長時間飛び続けられる「滞空型無人機」だ。令和5年版防衛白書によると、空自は2015年から取得を始め、2022年12月に機体を運用する偵察航空隊を三沢基地に新編した。令和7年版防衛白書は、日本周辺の「常時継続的な監視を強化するため」に運用していると説明している。今回の発表では、墜落した機体の所属は警戒航空団第502飛行隊となっている。
令和8年版防衛白書の資料編によると、空自のRQ-4Bの保有数は2026年3月31日現在で3機。今回の墜落で1機を失ったことになる。同白書については、自衛官の充足率88.1% 定員24万7154人に対し現員21万7701人 最前線を担う「士」は57.8%にとどまる 令和8年版防衛白書でも取り上げた。
墜落当日の9月15日夕の防衛省の報道官会見では、3機のうち1機が使えなくなることで防衛力にどんな影響が出るかを記者が尋ねた。報道官は、機体を捜している最中だとして予断をもった答えは控えたうえで、「自衛隊としては任務遂行の支障が生じないよう、運用上の必要な態勢を確保しております」と述べた。残る2機の飛行を止めたかどうか、いつ再開するかについて、航空幕僚監部の第1〜8報には記載がない。
