統合幕僚監部は9月29日、自衛隊と米軍が令和8年度の日米共同統合演習「Keen Sword 27」を10月19日から29日まで実施すると公表した。自衛隊の参加規模は人員約4万5000人、車両約6100両、艦艇約40隻、航空機約260機である。統幕は演習の目的を「各種事態における日米共同対処及び自衛隊の統合運用について演練・検証し、日米の共同統合運用能力の維持・向上を図る」と記し、「地域の平和と安定に積極的に貢献するための態勢と能力を維持・強化していきます」と説明している。

統裁官は統合作戦司令官、実施部隊にも統合作戦司令部

演習を取りまとめる統裁官は、自衛隊側が統合作戦司令官の俵千城海将、米軍側が太平洋艦隊司令官のステファン・ケーラー海軍大将である。

統合作戦司令官は、自衛隊法第21条の3が「統合作戦司令部の長」と定める役職で、防衛大臣の指揮監督を受けて統合作戦司令部の隊務を統括する。統合作戦司令部そのものは、同法第21条の2第1項が陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の「共同の部隊」として置くと規定している。陸海空のどれにも属さず、3自衛隊をまとめて動かすための部隊という位置づけだ。

統幕が挙げた実施部隊には、この統合作戦司令部が共同の部隊として入っている。同じ区分では自衛隊情報保全隊、自衛隊サイバー防衛隊、自衛隊海上輸送群も参加する。陸自は陸上総隊と各方面隊、海自は自衛艦隊と各地方隊、空自は航空総隊と航空支援集団が加わり、統合幕僚監部と陸・海・空各幕僚監部、情報本部も名を連ねる。統合作戦司令部は9月にも、ADMMプラス18か国の災害救援訓練、25日までインドネシアで 自衛隊は新設の統合作戦司令部も派遣 項目は災害医療と多国間調整で部隊を出している。

訓練項目は15 サイバー・情報戦・宇宙・電磁波が並ぶ

主要な訓練項目として統幕が列挙したのは15項目である。統合防空ミサイル防衛訓練、共同統合対艦戦闘訓練、陸上作戦訓練、海上作戦訓練、航空作戦訓練、水陸両用作戦訓練という従来からの項目に続いて、サイバー攻撃等対処訓練、情報戦訓練、統合通信訓練、宇宙状況の把握等に関する訓練、統合電磁波作戦訓練が並ぶ。残りは統合後方運用訓練、機動分散運用訓練、重要施設等防護訓練、実証実験の4項目だ。

このうちサイバー攻撃等対処については、自衛隊の権限そのものが10月1日に変わっている。自衛隊、10月1日からサイバー攻撃元のコンピューターを無害化できる 命じるのは首相で閣議決定が必要、国会の承認は不要 自衛隊法に81条の3を新設で、攻撃の送信元に対する能動的な措置が制度上できるようになった。演習期間はその施行から3週間ほど後にあたる。

機動分散運用訓練は、部隊や装備を1か所に集めずに分けて動かす訓練を指す。重要施設等防護訓練とあわせて、基地や空港といった拠点が攻撃を受ける事態を想定した項目が入っている形だ。

民間空港や港湾、公有地・民有地も使う

実施場所として統幕が示したのは4つの区分である。自衛隊施設と在日米軍施設・区域、民間空港および港湾、日本国内の公有地・民有地等、そして日本周辺の海空域だ。

自衛隊と米軍の施設の外に出る項目が2つ入っている点が、机上で行う指揮所演習との違いになる。車両約6100両、艦艇約40隻、航空機約260機を実際に動かすため、民間の空港や港を使う場面や、自衛隊の土地ではない場所での活動が生じる。

外国軍隊は米軍と豪軍が中心で、米軍は太平洋軍、太平洋陸軍、太平洋艦隊、太平洋空軍、太平洋海兵隊、在日米軍が参加する。豪軍は国防軍統合作戦本部等が加わる。統幕は「その他」として、カナダ、フランス、ドイツ、オランダ、ニュージーランド、フィリピンの各軍も挙げた。米軍以外に7か国の軍が関わる構成である。

昭和60年度に始まり、実動演習は18回目

統幕は公表資料の末尾で、日米共同統合演習が昭和60年度(1985年度)に始まり、おおむね毎年、実動演習と指揮所演習を交互に実施してきたと記している。実際に部隊を動かす実動演習は、今年度で18回目にあたる。

つまり「Keen Sword 27」は40年あまり続いてきた枠組みの一回である。一方で、統裁官を務めるのは統合作戦司令官で、実施部隊にも統合作戦司令部、自衛隊サイバー防衛隊、自衛隊海上輸送群が共同の部隊として並ぶ。陸海空のいずれにも属さない部隊が、演習の指揮と実施の両方に入っている。

日米の部隊どうしの訓練は、この大規模演習のほかにも随時行われている。9月には沖縄本島東方の空で日米共同訓練 空自F-15が4機、米軍F-22が9機 空自の緊急発進は4〜6月に181回が実施された。統幕が今回公表した資料は訓練項目と参加規模までで、各項目をどこで、どの部隊の組み合わせで行うかは示していない。