困った時に頼れる人も、不安や悩みの相談相手もいない人が、回答者1万1873人のうち725人、6.1%にのぼった。内閣府が令和7年12月に実施した「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」の結果で、男女別では男性9.4%、女性3.1%と、男性が女性の約3倍だった。内閣府はこの「頼れる人も相談相手もいない」層を、孤立状態にある可能性が高いと判定する指標に位置づけている。

男性は50代の13.5%が最も高い

男性を年齢別にみると、50代が13.5%で最も高く、40代13.0%、60代10.2%、30代9.3%と続く。70代は7.8%、80歳以上は3.1%で、高齢になるほど高いわけではなく、働き盛りから定年前後の層に集まっている。女性は全体で3.1%にとどまり、最も高い年代でも男性の半分以下の水準だった。

個別の質問でも同じ傾向が出ている。困った時に頼れる人が「いない」と答えたのは、全体で8.0%、男性11.8%・女性4.4%。不安や悩みの相談相手が「いない」は全体9.2%、男性13.6%・女性5.3%で、どちらも男性が女性の2倍以上だった。年代別では、頼れる人がいない男性は50代で17.1%、40代で16.1%に達する。

頼れる相手の種類を聞くと、男女とも「家族・親族」が最も多く、次に「友人・知人」「仕事・学校関係者」が並ぶ。ただし女性は「友人・知人」を挙げる割合が男性より高く、男性は「仕事・学校関係者」が女性より高かった。男性のつながりが職場に偏っていることになり、退職や異動でその関係が切れると、頼れる先が一度に細くなりやすい構造がうかがえる。

相談すること自体への感じ方にも差

差は人数だけでなく、相談という行為の受け止め方にも出ている。「相談することで解決しなくとも気持ちが楽になる」と答えたのは女性76.4%に対し男性60.8%、「相談することで解決できる、または解決の手掛かりが得られる」は女性58.1%に対し男性52.3%だった。

逆に「相談することが面倒である」は女性5.8%に対し男性10.8%、「相談することが恥ずかしい」は女性4.4%に対し男性6.6%で、いずれも男性のほうが高い。水準そのものは低いが、相談を避ける理由を挙げる割合は男性に偏っている。頼れる人がいないという状態が、周囲の不在だけでなく、相談を持ちかけにくいという本人側の受け止め方とも重なっていることを示す。

令和8年版男女共同参画白書は、特集の第1節でこの調査結果を取り上げた。白書は、内閣府が令和4年度に実施した別の調査で「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」に同意する割合が男女とも最も高かったことを挙げ、「男性はこうあるべき」という固定的な性別役割分担意識が、女性の活躍を制限するだけでなく男性自身の重荷になっているとの指摘があると記している。同じ特集は、学び直しをめぐる男女差も扱っており、学び直し、この1年でしたのは女性9.6%・男性15.0% 「意欲はあるのにしていない」が男女とも約24% 男女共同参画白書 で示された結果と同じ調査群にあたる。

孤立死の推計は2万2222人、8割が男性

孤立の男女差は、亡くなり方の統計にも現れている。内閣府孤独・孤立対策推進室が今回の調査結果と同じ2026年4月14日に公表した令和7年の孤立死者数の推計では、死後8日以上たって見つかった人が2万2222人で、うち男性が1万7620人、女性が4598人、不詳が4人だった。男性の割合は79.3%になる。発見までの日数を4日以上に広げると総数3万2678人で、男性2万5079人、女性7595人となる。

年齢別(死後8日以上)で男性が多いのは70〜74歳の3455人、75〜79歳の3400人、65〜69歳の2770人で、60〜64歳も2069人、55〜59歳が1438人だった。高齢期に多いが、50代から相当な数が出ている。

この推計は、警察が取り扱った死体のうち「自宅において死亡した一人暮らしの者」という警察庁のデータをもとに、死後の経過日数で区切って算出している。内閣府の「孤独死・孤立死」ワーキンググループが令和6年の報告書で方法を整理したもので、孤立死を「誰にも看取られることなく死亡し、かつ、その遺体が一定期間の経過後に発見されるような死亡の態様」と仮に置いたうえで、死亡場所は自宅、世帯類型は一人暮らし、自殺は除外しない、年齢は高齢者に限定しない、という考え方を採っている。統計上の目安の数値であり、確定した死因別統計ではない。

調査は16歳以上2万人、有効回答59.4%

調査は、統計法に基づく一般統計調査として実施された。全国の満16歳以上の個人2万人を住民基本台帳から無作為に抽出し、令和7年12月1日を期日として、郵送またはオンラインで回答を受け付けた。有効回答は1万1873人で、有効回答率は59.4%。令和3年から毎年続けており、今回で5回目にあたる。

内閣府は孤独・孤立対策推進室を置き、孤独・孤立対策推進本部を今年7月10日に第4回まで開いている。人口減少と単身世帯の増加が同時に進むなかで、この指標は今後の施策の基礎資料として使われる。白書によると、世帯に占める「単独世帯」の割合は平成2年の23.1%から令和2年に38.1%まで上がり、令和32年には44.3%になると推計されている。65歳以上が総人口に占める割合も令和7年時点で29.4%に達しており(高齢化率29.4%で過去最高 令和8年版高齢社会白書、2070年には「2.6人に1人」が65歳以上)、頼れる相手を持たない層がどの年代に偏っているかは、支援の届け方を決める際の分かれ目になる。