内閣府は10月16日、「循環経済(サーキュラーエコノミー)に関する世論調査」の速報を公表した。「循環経済」という言葉の意味を知っている人は13.4%にとどまり、61.1%は言葉を聞いたこともなかった。ごみの問題を重要だと思う人は97.4%、ごみを減らす配慮やリサイクルを実施している人は85.4%と高い一方、リサイクル材料を使った製品が割高な場合に「高くなるなら買わない」と答えた人は39.2%いた。

調査は全国の18歳以上で日本国籍を持つ3000人を対象に、令和8年8月20日から9月27日まで郵送法で実施した。回収は1474人、回収率は49.1%。速報値は9月16日までに届いた調査票で集計しており、回収数や回収率を含めて確報で修正される可能性がある。属性別の結果は確報で公表する。関係府省庁は環境省。

「循環経済」を知る人は13.4%、「3R」は47.4%

調査はまず、言葉の認知を尋ねた。リデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再生利用)の頭文字をとった「3R」について説明文を読んでもらったうえで聞くと、「言葉の意味を知っている」が47.4%、「意味は知らないが、言葉は聞いたことがある」が22.0%、「聞いたことはない」が28.6%だった。

続いて「循環経済(サーキュラーエコノミー)」を尋ねた。調査票の説明では、環境白書の定義として、従来の3Rの取り組みに加え、資源の投入量や消費量を抑えつつ、今ある製品などのストックを有効に使い、サービス化などを通じて付加価値を生み出す経済活動だとしている。資源や製品の価値を最大限に生かし、資源の消費と廃棄物の発生を抑えることを目指す考え方だ。

この言葉の意味を知っていると答えたのは13.4%、聞いたことはあるが意味は知らないが23.3%、聞いたことはないが61.1%だった。3Rと比べると、意味を知る人の割合は約3分の1にとどまる。

3Rについては過去の調査結果も参考として載っている。平成21年6月の調査では「言葉の意味を知っている」が29.7%、平成24年6月は33.3%だった。ただ、当時は調査員による面接で聞いており、郵送法の今回とは単純に比較できないと内閣府は注記している。

環境省が中央環境審議会の点検に用いたアンケートでは、3Rの意味を「優先順位まで」または「言葉の意味まで」知っている人は35.1%だった(詳しくは「「3R」の意味を知る人は35.1% 循環型社会計画の初回点検、暮らしの意識・行動だけが最低評価 ごみは1人1日854グラム」)。選択肢も調査の方法も異なるため数字は一致しないが、いずれの調査でも、意味まで知っている人は半数に届いていない。

ごみ問題は97.4%が「重要」、実施も85.4%

暮らしの中でごみの問題を重要だと思うかという問いには、「重要だと思う」が73.1%、「どちらかといえば重要だと思う」が24.3%で、合わせて97.4%に上った。重要だと思わない人は合わせて1.0%だった。

ごみの問題で知っていること(複数回答)を聞くと、「野山や河原への不法投棄、町中でのポイ捨てなどが大きな社会問題になっている」が89.5%で最も多かった。「海岸に漂着したごみが景観を損ない、生態系に影響を及ぼしている」が87.4%、「リチウムイオン電池は強い衝撃や高温で発火することがあり、廃棄物処理施設などで火災が起きている」が81.9%と続いた。

携帯電話など小型電子機器に金やレアメタルなど有用な金属が含まれていることは73.5%が知っていた。使用済みペットボトルから再びペットボトルを作った商品などが流通し始めていることは63.3%、災害で出る大量の廃棄物が復旧や復興の妨げになることは63.2%だった。一方、リサイクルが進んで最終的に埋め立てられる廃棄物の量が減ってきていることを知っていた人は21.8%と少なかった。

ごみを少なくする配慮やリサイクルを実施しているかでは、「いつも実施している」が21.3%、「ある程度実施している」が64.1%で、合わせて85.4%。「あまり実施していない」は11.9%、「ほとんど(全く)実施していない」は1.6%だった。

「大切」と「実行」の差は、修理・中古・再生品で開く

調査は同じ行動の一覧を使って、「大切だと思うか」と「日頃行っているか」を別々に尋ねている。両者を並べると、意識と実行の差が大きい行動と小さい行動が分かれる。

ごみを少なくする行動(複数回答)では、レジ袋をもらわない・簡易包装を求めるは「大切」73.9%に対し「行っている」75.0%、詰め替え製品を使うは76.6%に対し74.8%と、ほぼ差がない。食品を捨てないようにするも79.4%と72.0%で、いずれも7割を超えた。

差が開いたのは、モノを長く使ったり手放したりする行動だ。壊れたものは修理して長く使うは「大切」42.4%に対し「行っている」33.6%。使わなくなった製品をリサイクルショップやフリーマーケット、オークションなどで売るは33.2%と21.3%、レンタル・リースの製品を使うは32.2%と21.2%、使い捨て製品を買わないは27.4%と19.6%だった。

リユースやリサイクルをしやすくする行動でも傾向は同じだった。ごみを種類ごとに分別して決められた場所に出すは「大切」93.4%、「行っている」92.2%で、ほぼ全員が実行している。ところが、再生原料で作られたリサイクル製品を購入するは「大切」29.8%に対し「行っている」18.5%、中古品をリサイクルショップなどで活用するは37.3%と23.5%にとどまった。

服やバッグ、家具、家電などを所有せずに使うレンタルやサブスク、シェアリングのサービス(レンタカーやシェアサイクルは除く)を直近1年に利用したことがある人は8.1%だった。利用したことはないが存在は知っている人が75.2%、存在も知らなかった人が15.7%いた。

再生材製品、割高なら「買わない」39.2%

リサイクル材料を使った製品がそうでない製品より高い場合、いくらの差までなら環境のために買えるかを尋ねた結果は次の通り。

リサイクル材料の製品、いくら高くても買えるか(%)

1%まで16.610%まで37.325%まで5.025%超0.5買わない39.2
単一回答。無回答1.4%を除く出典: 内閣府「循環経済(サーキュラーエコノミー)に関する世論調査(速報)」
数値で見る(単位: %)
項目%
1%まで16.6
10%まで37.3
25%まで5.0
25%超0.5
買わない39.2

最も多かったのは「高くなるなら買わない」で39.2%。次いで「10%高まで」(1000円と1100円の例)が37.3%、「1%高まで」が16.6%だった。「25%高まで」は5.0%、「25%より高くても買う」は0.5%にとどまった。割高でも買うと答えた人の大半は、上乗せを1割以内と考えている。

同じ内閣府の世論調査では、資源管理された水産物にどこまで払うかも尋ねている(「海水温上昇で獲れる魚が変わったこと、82.7%が「知っている」 資源管理された水産物は「1割高から2割高まで」が59.5% 内閣府の水産業世論調査」)。

製品を買う際に、再生原料を使っている、リサイクルしやすいといった環境に優しい製品を選ぶこと(グリーン購入)をどれくらい意識しているかでは、「いつも意識している」が4.1%、「どちらかといえば意識している」が38.7%で、合わせて42.9%。意識していない人は「どちらかといえば」の41.2%と「全く」の15.1%を合わせて56.3%と、半数を超えた。

再生材を使った製品のイメージ(複数回答)は、「メーカーが環境に配慮している企業だ」が63.0%、「自分が買うことで環境対策に貢献できそうだ」が47.0%と好意的な回答が多い。一方で「品質が不安だ」が24.4%、「値段が高そうだ」が14.4%、「衛生面が不安だ」が12.6%あった。「品質が高そうだ」は2.0%だった。

整備・検査して再出荷するリファービッシュ製品やリユース品を買う理由としては、「価格が安いので購入したい」が61.5%で、「環境にやさしいので購入したい」の17.3%を大きく上回った。「どのような理由でも購入したくない」は10.4%だった。

生活水準を落としてもよいは19.8%

大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会から抜け出し、循環型社会をつくる施策をどう進めるべきかについては、「現在の生活水準(物質的な豊かさや便利さ)が変わらないなら、リユースやリサイクルを積極的に進めるべきだ」が55.1%で最も多かった。「生活水準が上昇するなら」が20.8%、「生活水準を落としても」が19.8%。「進めるべきではない」は0.8%だった。進めること自体に反対する人はほとんどいないが、暮らしの便利さを手放してまで、という人は2割にとどまる。

循環経済への移行で最も実現したいことでは、「地域資源の活用で新たなビジネスや雇用が生まれ、地域活性化につながる」が32.6%、「温室効果ガスの排出削減でカーボンニュートラルの達成につながる」が28.8%、「資源の供給途絶リスクを避け、経済安全保障に貢献する」が18.8%、「資源循環の加速・大規模化、処理施設の高度化につながる」が14.8%だった。

経済安全保障との関わりも尋ねている。レアアースやレアメタルのような一部の資源は特定の国・地域からの輸入に頼っており、廃棄される家電製品やバッテリーなどからリサイクルで回収できる、という情報を「知っていた」のは74.8%。知っていた人(1103人)のうち、自治体のルールに沿ってリサイクルに出している人は59.8%、店頭の回収ボックスなどに出している人は24.5%で、不要になっても家で保管している人が8.7%、特に行動していない人が6.3%だった。知らなかった人(359人)では、これまで協力していなかったが情報を知って協力したいと思った人が48.5%いた。

ごみの減量やリユース、リサイクルを進めるために必要なこと(複数回答)では、「リサイクルなどのための技術開発」が53.9%、「レジ袋の有料化の継続」が51.4%、「学校などにおける3R・循環経済の普及啓発」が47.2%、「容器などを返すと預託金が戻ったり還元を受けられたりするデポジット制度や還元制度」が44.5%で続いた。「ごみの処分の有料化」は24.1%、「国や自治体が環境負荷の高い製品の販売を規制する」は20.7%だった。

国家戦略に据えた「循環経済」、暮らしの側が課題に

政府は令和6年8月2日、第五次循環型社会形成推進基本計画を閣議決定した。環境省によると、計画は循環経済への移行を国家戦略として位置付けている。移行は気候変動や生物多様性の保全といった環境面の課題に加え、地方創生や産業競争力の強化、経済安全保障といった社会課題の同時解決にもつながるとしている。今回の世論調査で尋ねた地域活性化や脱炭素、経済安全保障は、この計画が掲げる効果と重なる。

計画の進み具合は中央環境審議会が点検しており、令和8年9月に第1回の点検報告書をまとめた。報告書は、環境に優しい製品の購入を心がけている人の割合が69.7%にとどまり、2030年度に90%とする目標に向けて、グリーン購入の意義を国民にさらに周知し意識の変革を促す取り組みが必要だと指摘している。

今回の内閣府調査でも、言葉の認知と、再生品の購入や修理、中古品の活用といった「買う・使う」段階の行動に弱さが出た。分別のように仕組みが整った行動はほぼ全員が実行している一方、価格や品質への不安が残る再生材製品は、割高なら買わない人が4割いる。循環経済を暮らしに広げるには、言葉の周知に加え、再生材製品と通常の製品の価格差をどこまで縮められるかが問われることになる。