厚生労働省は2026年10月1日、第58回社会保険労務士試験の合格者を発表した。合格者は3961人で、前年の2376人より1585人多い。合格率は9.3%で、前年の5.5%から倍近くに上がった。合格者数は厚労省が公表している過去10年の推移のなかで最も多く、これまで最多だった2024年度の2974人を987人上回った。

試験は2026年8月23日に全国19都道府県の会場で行われた。受験申込者は5万2842人で前年の5万3618人より1.4%減り、実際に受けた人は4万2510人で前年の4万3421人より2.1%減った。申込者のうち実際に受験した人の割合を示す受験率は80.4%で、前年の81.0%をわずかに下回っている。受験者は減っているので、合格者が増えたのは受験者が増えたからではない。

合格ラインは上がったのに、合格率も上がった

社労士試験には、他の多くの国家試験と同じように、年ごとの難しさのばらつきを調整する仕組みがある。厚労省は2000年度から、選択式は40点満点で28点以上、択一式は70点満点で49点以上という「7割」を出発点に置き、そのうえで毎年、前年との平均点の差を小数第1位まで出して四捨五入し、その点数ぶんだけ合格基準点を上下させている。問題が易しくて平均点が上がった年は合格ラインも上げ、難しかった年は下げることで、試験の水準を一定に保つ考え方だ。

今回はその調整が、はっきり上向きに働いた。択一式の総得点の合格基準点は47点以上で、前年の42点以上から5点上がった。選択式も25点以上で、前年の22点以上から3点上がっている。合格ラインだけを見れば、前年より厳しい試験だった。

それでも合格率が上がったのは、受験者の平均点が合格ラインの上げ幅を超えて伸びたためだ。択一式の平均点は33.6点で、前年の28.4点より5.2点高い。選択式の平均点も23.5点で、前年の20.3点より3.2点高かった。前年はどちらも平均点が下がった年(択一式2.2点減、選択式2.6点減)で、合格率5.5%という低さにつながっていた。問題の難しさが前年から大きく振れたことが、2年続きの数字の落差になって表れた形だ。

基準を下げて救済した科目は雇用保険法の1つだけ

社労士試験は総得点だけでなく、科目ごとにも最低点が決まっている。選択式は各5点満点で3点以上、択一式は各10点満点で4点以上が原則だ。ただしその点数を取れた受験者が半分に満たない科目は、最低点を引き下げる補正が入る。受験者の間で「救済」と呼ばれる措置である。

今回、引き下げの対象になったのは選択式の雇用保険法だけで、2点以上とされた。この科目の平均点は2.1点と前年の3.0点から0.9点下がり、全8科目のうち平均点が前年を下回った唯一の科目だった。3点以上を取れた受験者は34.1%にとどまっている。択一式は全7科目とも4点以上のままで、引き下げはなかった。前年は選択式3科目と択一式1科目の計4科目で引き下げが行われており、救済の数も大きく減った。

合格者の6割は会社員、最高齢は77歳

合格者の内訳も公表された。年齢別では30歳代が31.4%で最も多く、40歳代28.2%、50歳代21.2%と続く。20歳代以下は11.3%、60歳代以上は7.9%だった。最年少は20歳、最高齢は77歳である。

職業別では会社員が61.9%と6割を超えた。次いで無職11.1%、公務員8.0%、団体職員4.5%、自営業3.8%、役員3.2%、学生0.9%となっている。男女別は男性58.7%、女性41.3%だった。働きながら受ける人が中心の試験という姿がうかがえる。

社会保険労務士は、労働保険や社会保険に関する申請書類の作成、労務管理や社会保険の相談・指導を担う専門家だ。試験に合格しただけでは名乗れず、労働社会保険諸法令の事務に2年以上従事するか、厚生労働大臣が指定した講習を修了したうえで、全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録する必要がある。登録者は2026年8月31日時点で4万7407人いる。

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