消費者庁は9月18日、水回りの給排水管工事と害虫駆除を訪問販売していた株式会社HOPE Group(本店所在地・東京都新宿区中落合)に対し、関東経済産業局が特定商取引法に基づく業務停止命令を出したと公表した。期間は9月18日から2027年6月17日までの9か月間で、訪問販売の勧誘、申込みの受付、契約の締結ができない。命令は9月17日付。

あわせて同局は、法令遵守体制の整備など再発防止策を講じるよう指示した。同社の代表取締役に対しても、同じ9か月間、停止を命じた範囲の業務を新たに始めることを禁じる業務禁止命令を出した。停止を命じられた業務の遂行で主導的な役割を果たしていたと認定されたためだ。処分は、消費者庁長官から権限の委任を受けた関東経済産業局長が行った。同社は2023年5月設立、資本金500万円。消費者庁は、似た名称の別会社と間違えないよう所在地も確かめるよう呼びかけている。

「980円〜」を見て呼び、30万円超の上乗せ

公表資料は2つの事例を挙げている。

1つは2025年6月、消費者が同社のウェブサイトの「関東エリア最安値に挑戦!550円(税込)〜」という表示を見て自宅への訪問を依頼した例。役務の内容も金額も説明されず、高くても1万円程度と考えていたところ、訪問した作業員から想定を10万円以上上回る金額の契約を勧められ、そのまま契約して代金を払った。

もう1つは2025年2月、トイレの修繕を頼まれた親族が「詰まりトラブル 今すぐお電話を 980円〜」の表示を見て訪問を依頼した例。消費者本人は高くても3万円程度と考えていたが、訪問した作業員は想定を30万円以上上回る金額の契約を勧め、締結した。消費者が現金では払えないと申し出たのに、作業員は「振込みだと大変だし、手数料もかかりますよね。私と一緒にATMまで行って、払ってもらった方が楽ですよね」などと言い、意に反して金融機関のATMへ連行し、現金を出金させて即時に支払わせた。

広告の安い料金を見て消費者が自分で呼ぶ形は、訪問販売のトラブルの主流になっている。消費者庁が9月17日に公表した分析では、訪問販売のトラブル、「飛び込み」から「ネット広告を見て自分で呼んだ」へ 消費者庁分析、9年で4.1%から36.3%にと変化しており、業種別ではトイレなどの衛生設備が最多だった。高齢者が狙われやすい分電盤の「点検商法」相談が6,545件 1年で1,290件から5倍に 契約者の8割超が70歳以上、平均約18万円も、住宅設備を口実にした同じ訪問販売の類型にあたる。

工事が終わっていても対価は払わなくてよい

関東経済産業局が認定した違反は4つ。契約書面に会社の名称と代表者の氏名を書いていなかった書面交付義務違反(法5条1項)、クーリング・オフを申し出た消費者に「訪問販売には該当しない」と告げた不実告知(法6条1項5号)、解除で生じた返金債務の一部の履行を拒んだ行為(法7条1項1号)、そして意に反してATMなどへ連行した行為(法7条1項5号と施行規則)である。

返金拒否の場面では、「既に工事は終わっているのでクーリング・オフは応じられないが、減額には応じる」などと告げ、受け取った金銭の一部しか返していなかった。だが消費者庁の特定商取引法ガイドは、クーリング・オフをすれば、役務がすでに提供されていても消費者はその対価を支払う必要はなく、損害賠償や違約金も不要で、払った金額は速やかに返してもらえると説明している。工事が済んでいることは、返金を断る理由にならない。

訪問販売のクーリング・オフは、法律で定められた書面を受け取った日から数えて8日以内が原則だ。ただし事業者がクーリング・オフについて事実と違うことを告げたり、威迫して消費者を困惑させたりして手続きをさせなかった場合は、8日を過ぎていても行える。今回のように「訪問販売には該当しない」と告げられたケースは、まさにこれに当たる。

10月19日までに契約者全員へ通知

同局は同社に対し、2025年7月1日から2026年9月17日までに訪問販売で契約したすべての相手方へ、業務停止命令と指示の内容、クーリング・オフについて不実を告げた事実を、10月19日までに書面などで通知し、その結果を報告するよう求めた。通知の文面は10月1日までに事前に報告し、承認を得る必要がある。

消費者庁は公表と同時に、暮らしのレスキューサービスをめぐる悪質商法に注意を促すチラシも掲げた。個別のトラブルの相談先としては、消費者ホットライン「188」(局番なし)と最寄りの消費生活センターが案内されている。