政府は10月16日の閣議で、2027年春の統一地方選挙の投票日を定める「地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案」を決定し、同日、開会中の臨時国会に提出した。都道府県と政令指定都市の議会議員・首長の選挙(前半戦)は2027年4月11日、それ以外の市、特別区、町村の議会議員・首長の選挙(後半戦)は4月25日に行う。所管する総務省は、2027年の統一地方選ではおよそ1,000の選挙が実施される見込みだとしている。
前半は4月11日、後半は4月25日
総務省が公表した法案の概要と要綱によると、対象は2027年3月1日から5月31日までに任期が満了する地方議会の議員と首長の選挙だ。投票日は、都道府県と指定都市の議会議員と首長の選挙が4月の第2日曜日にあたる4月11日、指定都市以外の市・特別区・町村の議会議員と首長の選挙が第4日曜日の4月25日とした。
選挙戦の始まりを告げる告示日も法案に書き込まれている。最も早いのは知事選挙で3月25日、続いて指定都市の市長選挙が3月28日、都道府県議会と指定都市議会の議員選挙が4月2日。後半戦は、指定都市以外の市と特別区の議会議員・首長の選挙が4月18日、町村の議会議員・首長の選挙が4月20日に告示される。公職選挙法129条により、選挙運動ができるのは立候補の届け出があった日から投票日の前日までに限られる。
| 選挙 | 告示日 | 投票日 |
|---|---|---|
| 都道府県知事 | 2027年3月25日(木) | 4月11日(日) |
| 指定都市の市長 | 3月28日(日) | 4月11日(日) |
| 都道府県・指定都市の議会議員 | 4月2日(金) | 4月11日(日) |
| 市・特別区の議会議員と首長 | 4月18日(日) | 4月25日(日) |
| 町村の議会議員と首長 | 4月20日(火) | 4月25日(日) |
ただし、任期が3〜5月に切れる自治体がすべて統一地方選に加わるわけではない。概要は、2027年2月28日以前に選挙を済ませる場合や、後述する公職選挙法の「90日特例」を使って選挙を行う場合は、統一地方選として行う必要はないと明記している。また、任期満了が6月1日から10日までの間になる指定都市と市区町村の首長選挙は、自治体の判断で統一地方選の日程に合わせることもできる。その場合、選挙管理委員会は、指定都市なら2027年1月10日まで、指定都市以外の市区町村なら1月24日までに、その旨を告示しなければならない。
なぜ4年ごとに法律を作るのか
統一地方選挙は、全国の自治体の選挙を同じ日にそろえて行う仕組みだ。法案の概要によれば、1947年(昭和22年)以来、4年ごとに特例法を制定して実施してきた。今回の法案も2027年の選挙にだけ適用される「臨時特例」で、施行は公布の日からとしている。
毎回、法律を作り直す必要があるのは、公職選挙法の原則では、任期満了による選挙を各自治体の任期が終わる日の前30日以内に行うことになっているからだ(同法33条1項)。任期満了の日は自治体ごとに少しずつ違うため、そのままでは投票日が全国でばらばらになる。特例法でこの原則の例外を定め、投票日を統一する。
法案の提出理由は「全国多数の地方公共団体の議会の議員又は長の任期が令和九年三月、四月又は五月中に満了することとなる実情に鑑み、国民の地方選挙に対する関心を高めるとともに、これらの選挙の円滑かつ効率的な執行を図るため」と説明している。関心を高めることに加え、選挙事務の「効率的な」執行も目的に掲げている。
総務省が見込む「およそ1,000の選挙」という規模は、2023年の前回選挙に向けた法案の概要と同じ表現だ。ただし今回の法案資料には、全国の自治体のうち何割が統一地方選に参加するかを示す数字は載っていない。
前回までと同じ「第2・第4日曜日」
投票日の決め方は、近年の統一地方選と変わっていない。総務省の資料によると、2015年の統一地方選の法案では前半戦が4月12日、後半戦が4月26日、2023年の法案では前半戦が4月9日、後半戦が4月23日だった。いずれも4月の第2日曜日と第4日曜日で、今回も同じ組み立てになっている。
選挙の対象を3月1日から5月31日までの任期満了に置き、6月1日から10日までに任期が切れる首長選挙を「任意」で合わせられるようにする枠組みも、2015年と2023年の法案と共通している。都道府県と指定都市の選挙を先に行い、その2週間後に一般の市区町村の選挙を行う二段構えも同じだ。
今回の法案は、前半戦の選挙に立候補した人が、後半戦の選挙に同じ地域で立候補することを禁じる規定も引き継いだ。具体的には、4月11日の選挙の候補者になった人は、その選挙区の全部または一部を含む区域で、4月25日に行われる市区町村の選挙や、同じ日に行われる衆議院・参議院の再選挙・補欠選挙の候補者になることはできない。この規定は2015年と2023年の法案の概要にも同じ趣旨で書かれている。
身近な選挙の現状については、無投票当選、2025年の地方選挙で242件 町村長選挙は247件のうち91件 市区町村議員の68.4%は無所属でも取り上げた。統一地方選は、こうした地方議会のなり手の問題が改めて表に出る場でもある。
「90日特例」との関係と寄附の禁止
法案には、選挙の実務に関わる細かな規定も並ぶ。そのひとつが、公職選挙法34条の2が定める、いわゆる「90日特例」の扱いだ。この規定は、議会議員の任期満了の日が首長の任期満了の日の前90日以内にある場合に、議員選挙と首長選挙を同じ日にまとめて行えるようにするものだ。法案は、議員と首長の任期がどちらも2027年3月1日から5月31日までに満了する自治体については、この特例を使わないとしている。両方の選挙が統一地方選の日程でそろうため、別の日に同時選挙を組む必要がないからだ。
あわせて、同じ自治体の議員選挙と首長選挙は同時選挙として行う。指定都市の選挙と、その市を含む道府県の選挙も同時選挙とし、有権者が同じ日に複数の投票をできるようにする。
統一地方選として予定していた選挙で、議員の辞職や首長の退職などにより任期満了前に選挙を行う必要が出た場合の扱いも決めている。公職選挙法で選挙を行うべき期間が2027年4月1日以降にかかり、一定の条件を満たすときは、その選挙も統一地方選の投票日にそろえる。
もうひとつが寄附等の禁止期間だ。公職選挙法は199条の5で、特定の候補者や候補者になろうとする人を支持・推薦することを主な活動とする「後援団体」による寄附などを禁じる規定を置いている。法案は、統一地方選として行う選挙について、寄附等の禁止の期間を「選挙の期日前九十日に当たる日から当該選挙の期日まで」とする。投票日から逆算すると、前半戦は2027年1月11日、後半戦は1月25日からが対象になる。ただし、3月1日から30日までに任期が満了する選挙や、90日特例を使える選挙の一部には、この扱いを適用しないとしている。このほか、法律の適用に必要な技術的な事項は政令で定める。
今後の焦点
法案は臨時国会で審議される。成立すれば、統一地方選の投票日と告示日が法律で確定し、全国の選挙管理委員会や、立候補を目指す人はこの日程を前提に準備を進めることになる。6月上旬に任期が切れる首長選挙を統一地方選に合わせるかどうかは、各選挙管理委員会が2027年1月10日または24日までに告示で示す。
統一地方選では、首長や議員の選び方をめぐる制度論議も重なる。被選挙権を得られる年齢の引き下げを求める動きについては、被選挙権年齢の引き下げ法案、立憲民主党が参院に提出 衆院議員25歳→18歳、知事30歳→23歳 各党に隔たりで単独提出で報じた。今回の期日特例法案は日程を定めるだけで、立候補できる年齢や選挙運動のルールを変える内容は含んでいない。
法案資料には、どの自治体が統一地方選に参加するかの一覧は載っていない。2027年の選挙に向けた具体的な数字は、今後の総務省の発表で明らかになる。
