国際通貨基金(IMF)は10月13日、加盟国の経済指標と先行きの予測をまとめた「世界経済見通し(WEO)」の2026年10月版を公表した。データベースによると、日本の名目国内総生産(GDP)はドル建てで2026年に4兆3420億ドルとなり、米国、中国、ドイツに次ぐ4位を保つ。ただ2027年には4兆4676億ドルとなり、インド(4兆5212億ドル)と英国(4兆4889億ドル)に抜かれて6位に下がる見通しだ。日本がドル建てGDPで6位となるのは、IMFのデータがさかのぼれる1980年以降で初めてとなる。

2027年、インドと英国が日本を上回る

WEOの名目GDP(ドル建て)を国・地域ごとに並べると、2026年の上位は米国の32兆6424億ドル、中国の21兆5464億ドル、ドイツの5兆4713億ドル、日本の4兆3420億ドル、英国の4兆2684億ドル、インドの4兆602億ドルの順になる。日本と英国の差は735億ドル、インドとの差は2818億ドルある。

翌2027年は順位が入れ替わる。インドが4兆5212億ドル、英国が4兆4889億ドルに伸びるのに対し、日本は4兆4676億ドルにとどまり、インドが4位、英国が5位、日本が6位となる。ただ、3か国の差は小さい。日本とインドの差は536億ドル、英国との差は213億ドルにすぎない。

IMFは2031年までの中期予測も示している。日本は2028年以降も6位のまま推移し、2031年に4兆9991億ドルとなる。インドは2031年に6兆7440億ドルとなり、ドイツ(6兆3015億ドル)も上回って3位に上がる見通しだ。インドとの差は2031年には1兆7450億ドルに広がる。

2027年の名目GDP(ドル建て)上位6か国(億ドル)

0100,000200,000300,000400,000344,416米国229,391中国56,613ドイツ45,212インド44,889英国44,676日本
出典: IMF「世界経済見通し(WEO)」2026年10月版データベース
数値で見る(単位: 億ドル)
項目億ドル
米国344,416
中国229,391
ドイツ56,613
インド45,212
英国44,889
日本44,676

円建てでは増えても、ドル換算で目減り

日本の名目GDPは、円建てでは増え続ける見通しになっている。WEOの円建ての値は、2025年が666兆4408億円、2026年が689兆5027億円、2027年が707兆6744億円だ。2026年は前年より3.5%ほど増える。

ところがドル建てでは、2025年の4兆4531億ドルから2026年は4兆3420億ドルへ2.5%減る。円建てとドル建ての値から割り出すと、IMFは2025年を1ドル=約150円、2026年を約159円で換算していることになる(本紙計算)。円で測った経済規模が膨らんでも、円の価値がドルに対して下がった分だけ、ドルで比べた順位では不利になる。

名目GDPは、国内で1年間に生み出されたモノやサービスの付加価値を、その時々の価格で合計したものだ。物価が上がれば数字は膨らみ、国際比較のためにドルへ直せば為替相場の影響をそのまま受ける。物価の変動を除いた実質GDPの伸び率で見ると、IMFは日本の成長率を2025年1.2%、2026年0.7%、2027年0.7%と見込む。

一方のインドは自国通貨のルピー建てで2026年に384兆3048億ルピー、2027年に429兆3050億ルピーと、1年で1割を超える伸びを見込む。実質成長率も2026年、2027年ともに7.0%と高い。英国は実質成長率が2026年1.3%、2027年1.2%と日本を上回るうえ、ドル建ての額も2025年の4兆122億ドルから2026年は4兆2684億ドルへ増える。

日本とインドの名目GDP(ドル建て)の推移(億ドル)

日本インド

30,00040,00050,00060,00070,00042,07649,99137,59867,4402024年2026年2028年2030年2031年
2026年以降はIMFの予測出典: IMF「世界経済見通し(WEO)」2026年10月版データベース
数値で見る(単位: 億ドル)
項目日本インド
2024年42,07637,598
2025年44,53139,090
2026年43,42040,602
2027年44,67645,212
2028年46,47249,956
2029年47,71855,420
2030年48,79061,296
2031年49,99167,440

2位から4位、そして6位へ

IMFのデータで日本のドル建てGDPの順位をたどると、1980年から2009年までは米国に次ぐ2位だった。2010年に中国に抜かれて3位となり、2023年にはドイツにも抜かれて4位に下がった。今回の見通しでは、2026年までは4位を保つが、2027年にインドと英国が日本を上回る。

ドイツに抜かれた2023年のデータを見ると、ドイツの4兆6020億ドルに対し日本は4兆3890億ドルだった。2011年に6兆2794億ドル、2012年に6兆3338億ドルと6兆ドルを超えていた日本のドル建てGDPは、2013年に5兆2723億ドル、2015年に4兆5344億ドルと減り、今回の見通しでは2031年でも5兆ドルに届かない。

1人当たりで見ても、日本の位置は下がっている。WEOによると、日本の1人当たり名目GDPは2026年に3万5400ドルで、2025年の3万6119ドルから減る。データのある191の国・地域の中で44番目になる。同じ2026年の米国は9万5212ドル、ドイツは6万5699ドル、英国は6万1108ドルだ。

財務省が公表している為替介入の実績については、9月の為替介入は0円、7〜8月は15兆3993億円 片山財務相「日米協調介入の方針は一切変わらない」で伝えている。

世界全体は2026年3.1%成長の見通し

10月版のWEOでは、世界全体の実質成長率は2025年の3.5%から2026年は3.1%に鈍り、2027年は3.4%に持ち直す見通しとなっている。先進国・地域は2026年2.1%、2027年1.8%、新興国・途上国は2026年3.7%、2027年4.4%だ。米国は2025年から2027年まで3年続けて2.3%、中国は2025年の5.0%から2026年4.5%、2027年4.0%へと伸びが鈍る。

IMFはWEOを毎年4月と9〜10月の年2回公表している。前回の見通しを財務省が審議会で報告した内容は、日本の2026年成長率見通し、IMFは0.7%から0.6%へ 財務省が審議会に国際金融情勢を報告 米財務長官とは「秩序だった円相場」の重要性を確認にまとめている。

ドル建ての順位は、各国の経済の伸びに加えて、その年の為替相場で大きく動く。2027年時点で日本、英国、インドの差は数百億ドルにとどまっており、円相場が見通しの前提より円高に振れれば、日本が5位以上にとどまる余地もある。逆に円安が進めば、差はさらに開くことになる。