総務省統計局は10月2日午前8時30分、2026年8月分の労働力調査(基本集計)を公表した。完全失業率(季節調整値)は2.5%で、7月の2.4%から上がった。一方で完全失業者数は180万人で、前年同月の182万人から2万人減り、13か月ぶりの減少となった。就業者数は6849万人で、前年同月より14万人増えて2か月ぶりに増加した。

完全失業率とは何を測った数字か

完全失業率は、「労働力人口」に占める「完全失業者」の割合である。労働力人口は15歳以上の人のうち、働いている「就業者」と、仕事がなく探している「完全失業者」を足したものだ。家事や通学をしていて仕事を探していない人は労働力人口に入らない(非労働力人口)。つまり分母は「働く意思を示している人」で、国民全体ではない。

完全失業者は、総務省の用語の解説で三つの条件すべてを満たす人と決められている。①調査の対象となった1週間に少しも仕事をしなかった、②仕事があればすぐ就くことができる、③その週に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)。「働きたいが探すのをやめた」人は、この定義では失業者に数えられない。

公表される失業率は2通りある。調べた数字そのままの原数値と、就職・卒業などで毎年決まって動く分をならした季節調整値だ。ニュースで「前月に比べて」と語られるのは季節調整値で、8月は2.5%。原数値は2.6%で、前年同月の2.6%と同じだった。

率は上がり、人数は減った理由

一見矛盾する動きだが、比べる相手が違う。季節調整値の2.4%から2.5%への上昇は前の月との比較で、完全失業者180万人は前年同月の182万人との比較である。

さらに分母の労働力人口が前年同月の7017万人から7029万人へ増えた。15歳以上人口は前年同月の1億967万人から1億950万人へ17万人減っているのに労働力人口が増えており、働く側に回る人が広がっている。働くことをやめていた人が仕事探しを始めると、就職が決まるまでは失業者に数えられるため、率の押し上げに働く。

失業の理由をみると中身は悪くない。会社の都合で職を失った「勤め先や事業の都合」は前年同月の25万人から23万人へ減り、自分の意思でやめた「自発的な離職(自己都合)」は80万人から84万人へ増えた。「新たに求職」は47万人から45万人へ減っている。失業の増加分が解雇ではなく、より良い条件を求めた離職に寄っている形だ。

年平均でみると歴史的な低さが続く

年平均の完全失業率は、2015年の3.4%から下がり続け、2018年・2019年は2.4%となった。新型コロナの影響で2020年・2021年は2.8%に上がったが、2022年・2023年は2.6%、2024年・2025年は2.5%と再び低い水準に戻っている。過去最高は2002年の5.4%で、当時の半分以下だ。

2026年の月ごとの推移(季節調整値)は、1月2.7%、2月2.6%、3月2.7%、4月から6月は2.5%、7月2.4%、そして8月2.5%。年初よりは低い位置にある。男女別の8月は男性が7月の2.6%から2.8%へ、女性が2.1%から2.3%へ、ともに上がった。

雇用の中身は正社員も増えている

就業者6849万人のうち、雇用者は6213万人で54か月連続の増加となった。会社役員を除く雇用者5861万人の内訳は、正規の職員・従業員が前年同月の3711万人から3735万人へ増えて34か月連続の増加、パートや契約社員などの非正規の職員・従業員が2111万人から2126万人へ増えて5か月連続の増加だった。人数の伸びは正規のほうが大きい。

産業別では、「医療,福祉」が前年同月の927万人から950万人へ、「運輸業,郵便業」が340万人から348万人へ増えた。減ったのは「製造業」で1039万人から1018万人へ、「卸売業,小売業」で1045万人から1035万人へ。高齢化と宅配需要が人を吸い寄せ、物をつくる・売る現場から人が抜けていく流れが続く。増えている側の職場は人手が足りておらず、医療・運輸・接客など「社会インフラ関連職」の欠員率は約5% ほかの職種は1.7% 年間所得は約436万円、ほかの職種は約541万円という状況にある。就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は62.5%で、前年同月の62.3%から上がった。15歳から64歳では80.0%から80.3%になった。

5月の完全失業率2.5%、前月と同じ 就業者は4か月連続増 総務省・労働力調査の時点でも雇用者と正規雇用の連続増加は続いており、今回もその流れは途切れていない。

約4万世帯に毎月聞いて推計している

労働力調査は1946年9月に始まり、2009年4月からは統計法に基づく基幹統計調査として実施されている。国勢調査の約100万調査区から約2900調査区を選び、その中の約4万世帯を対象とする標本調査で、就業状態は世帯員のうち15歳以上の約10万人について調べる。対象となる期間は毎月の末日に終わる1週間(12月は20日から26日まで)で、この1週間の状態が結果になる。

推計には5年に1度の国勢調査の人口を基礎とする「ベンチマーク人口」を使うため、基準が切り替わる5年ごとに結果の水準が動く点にも注意が必要だ。次回、2026年9月分と7〜9月期平均の結果は10月30日に公表される。