日本将棋連盟は10月26日、西山朋佳女流四冠(31)がフリークラス棋士に編入すると発表した。女流タイトル戦「ヒューリック杯白玲戦」で通算5期となり「クイーン白玲」の資格を得たことで、編入の資格が生じた。西山女流四冠が期限内に編入届を出し、連盟の常務会が受理した。棋士としての活動は2027年4月1日に四段として始まり、棋士番号は356、師匠は伊藤博文七段となる。

白玲防衛で「クイーン白玲」の資格

連盟の発表によると、西山女流四冠は今期の第6期白玲戦七番勝負で白玲を防衛し、白玲の獲得が通算5期に達した。これにより「クイーン白玲」の資格を得て、フリークラス棋士制度要綱に基づく編入資格を手にした。

第6期七番勝負は、福間香奈女流四冠の挑戦を受けた。連盟の棋戦ページの星取り表によると、西山白玲は第1局に勝ち、第2局を落とした後、第3局から3連勝した。4勝1敗で防衛を決めた第5局は、10月10日に石川県金沢市の「ホテル日航金沢」で指された。

連盟の棋士・女流棋士データベースによると、西山女流四冠の白玲獲得は第1期(2021年度)と第3〜6期の計5期。第2期は七番勝負に出たが獲得していない。現在は白玲のほか清麗・女流名人・女流王将を持つ四冠で、女流タイトルの獲得は合計24期にのぼる。清麗は今年度の第8期で初めて獲得した(五番勝負の開幕は「女流将棋・清麗戦が開幕 福間香奈清麗に西山朋佳女流三冠が挑戦 第1局は7月9日」)。データベース上の今年度成績は22勝8敗となっている。

昨年6月に新設された編入の道

クイーン白玲の称号でフリークラスに編入できる仕組みは、連盟が2025年6月6日に開いた第76回通常総会で決まった。連盟が当時公表した総会の報告には「第5号議案 フリークラス棋士制度要綱改定の件」として「クイーン白玲の称号獲得によるフリークラス編入制度導入」を可決したと記されている。今回の西山女流四冠は、この制度で資格を得た最初の例となる。

連盟には別に「棋士編入試験」の制度がある。公式戦で最も良いところから見て10勝以上、かつ勝率6割5分以上を挙げたアマチュアや女流棋士が希望すれば受けられ、新四段5人を相手にした5番勝負で3勝すればフリークラスへの編入資格を得る。白玲戦の新制度は、試験の対局を経ずに、女流タイトル戦の実績そのものを資格とする点が異なる。

今年6月5日の第77回通常総会では、「棋士編入試験の受験資格を3回獲得した者はフリークラス入りの権利を得る」とする議案が否決された。同じ総会では、10月に始まる三段リーグから「2つ目の次点を獲得した者はC級2組入り」とする奨励会規定の改定が可決されている。棋士になる経路の見直しが、2年続けて総会にかけられたことになる。

奨励会三段、編入試験を経て

西山女流四冠は大阪府大阪狭山市出身の1995年生まれ。棋士を養成する奨励会で三段まで進んだが、25歳だった2021年に退会し、同年4月1日付で女流三段となった。連盟は当時、「奨励会2級以上で退会の場合は、退会時の段級位でそのまま女流棋士の資格を得る」との奨励会規定に従ったと説明している。

その後、棋士編入試験の五番勝負に臨んだ。2勝2敗で迎えた第5局は2025年1月22日に関西将棋会館で指され、柵木幹太四段が135手で勝った。連盟は「試験成績は2勝3敗となり、編入試験不合格となりました」と発表していた。

試験の不合格から約1年9か月で、別の経路から編入が決まった。連盟の白玲戦中継ブログは今年8月、七番勝負の開幕に合わせて「女性の棋士は歴史上、まだ一人もいません」と紹介していた。同じブログによると、西山白玲は七番勝負前の記者会見で、権利を使うかどうかを明言していなかった。

時期 出来事
2021年4月1日 奨励会三段を退会し、女流三段に
2025年1月22日 棋士編入試験の第5局に敗れ、2勝3敗で不合格
2025年6月6日 連盟の総会がクイーン白玲によるフリークラス編入制度を可決
2026年10月10日 第6期白玲戦第5局に勝ち、4勝1敗で防衛(通算5期)
2026年10月26日 連盟がフリークラス棋士編入を発表
2027年4月1日 四段として棋士の活動を開始(予定)
西山朋佳女流四冠が棋士編入に至るまでの経緯出典: 日本将棋連盟の発表・棋戦情報・総会報告

フリークラス棋士とは

フリークラスは、順位戦に参加しない棋士の区分だ。連盟の規定では、フリークラス棋士は順位戦を指せないが、それ以外の棋戦には出場できる。順位戦の最下級であるC級2組へ上がるには、年間の勝ち数が「参加棋戦数+8」以上で勝率6割以上、良いところ取りで30局以上の勝率6割5分以上、年間対局数が「(参加棋戦+1)×3」局以上、全棋士参加棋戦の優勝かタイトル戦の挑戦、のいずれかを満たす必要がある。

フリークラスに入る経路は、連盟の規定にいくつか定められている。B級1組以下の棋士が自ら「フリークラス宣言」をする場合、C級2組で降級点を3つ取って降級する場合、奨励会の三段リーグで次点を2回取って編入の権利を得る場合だ。棋士編入試験の合格者もフリークラスに入る。クイーン白玲による編入は、これらに加わった新しい入り口となる。

規定は、条件を満たせないまま編入から10年(4月1日付の場合は満10年)が過ぎた場合などは引退になると定めている。宣言によらないフリークラス棋士は、原則として60歳で定年になる。西山女流四冠の四段日付は2027年4月1日のため、C級2組への昇級はこの日から10年の成績で決まる。

連盟の発表は、棋士番号と四段日付、師匠を示したところまでで、女流タイトルや女流棋戦での扱いには触れていない。四冠を持ったまま棋士の対局を始めることになるのか、今後の連盟の説明が待たれる。