警察庁がまとめた令和8年(2026年)の月別自殺者数の暫定値(9月末時点)によると、1月から9月までの自殺者は全国で1万3583人だった。厚生労働省と警察庁がまとめた前年の統計から同じ1〜9月を足し合わせると1万4714人で、今年はこれより1131人少ない。9月単月は1296人だった。暫定値は令和8年10月9日時点で集計したもので、その後の精査で変わることがある。
男性は935人減、女性は196人減
男女別では、1〜9月の男性は9194人、女性は4389人だった。前年同期と比べると、男性は1万129人から935人減り、女性は4585人から196人減った。減り方を率で見ると、全体は7.7%減で、男性は9.2%減、女性は4.3%減となる。女性の減り方は男性の半分以下にとどまっている。
全体に占める男性の割合は今年1〜9月が67.7%で、前年同期の68.8%とほぼ同じだった。自殺者は男性が女性の2倍前後という構図が長く続いており、全体の減少は、人数の多い男性が数として大きく減ったことで生じている。
前年の確定値では、令和7年の自殺者は1万9188人で、前の年から1132人減った。男性は625人減の1万3176人、女性は507人減の6012人だった。ほとんどの年齢階級で減った一方、19歳以下は増えた。学生・生徒等のうち小中高生は538人で、統計のある1980(昭和55)年以降で最も多かった。
今年の月別の暫定値には男女別の人数はあるが、年齢や職業の内訳は無い。前年に増えた19歳以下や小中高生の動きが今年どうなっているかは、年間の確定値を待たないと分からない。
9月は1296人 直近の月は後から増える
9月単月の1296人は、今年の月別で最も少ない。前年9月の1673人と比べると377人少なく、令和3年以降の9月では、最も多かった令和4年の1930人を大きく下回る。男女別では男性858人、女性438人だった。
ただし、この数字は集計から日が浅い。警察庁が前回まとめた8月末時点の暫定値(9月10日集計)と今回の数字を並べると、同じ月の人数が軒並み増えている。8月は1321人から1383人へ62人、7月は1449人から1489人へ40人、6月は1535人から1551人へ16人増えた。1〜8月の合計は1万2148人から1万2287人になり、1か月で139人上積みされた。
増え方は直近の月ほど大きく、1〜4月は1〜6人の増加にとどまる。この傾向からすると、9月の1296人も今後の集計で増える可能性がある。前年9月との差の377人は、暫定値と確定値を比べたものとして幅を持って見る必要がある。
警察庁は、自殺者数を死体が発見された都道府県と月に計上していると注記している。亡くなった日ではなく発見された月で数えるため、発見が遅れた例は後の月に入る。
1〜9月は2021年以降で最も少ない
月ごとに前年と並べると、今年が前年を上回ったのは3月だけだった。4月以降は毎月100人以上少ない状態が続いている。
| 月 | 令和7年(確定値) | 令和8年(暫定値) | 差 |
|---|---|---|---|
| 1月 | 1640人 | 1549人 | 91人減 |
| 2月 | 1415人 | 1387人 | 28人減 |
| 3月 | 1662人 | 1710人 | 48人増 |
| 4月 | 1729人 | 1569人 | 160人減 |
| 5月 | 1761人 | 1649人 | 112人減 |
| 6月 | 1686人 | 1551人 | 135人減 |
| 7月 | 1626人 | 1489人 | 137人減 |
| 8月 | 1522人 | 1383人 | 139人減 |
| 9月 | 1673人 | 1296人 | 377人減 |
1〜9月の合計を過去5年と比べると、令和5年の1万6802人を境に3年続けて減っている。令和3年は1万6169人、令和4年は1万6765人、令和6年は1万5713人、令和7年は1万4714人だった。今年の1万3583人は令和5年より3219人少ない。
1〜9月の自殺者数(人)
数値で見る(単位: 人)
| 項目 | 人 |
|---|---|
| 2021年 | 16,169 |
| 2022年 | 16,765 |
| 2023年 | 16,802 |
| 2024年 | 15,713 |
| 2025年 | 14,714 |
| 2026年 | 13,583 |
前年は10〜12月の3か月で計4474人が亡くなっている。8月末時点の動向は2026年の自殺者数、1〜8月は1万2148人で前年同期比893人減 8月は過去5年で最少で伝えたが、その後の精査で8月までの数字も上の表のとおり増えている。
都道府県別は東京が最多
都道府県別の1〜9月では、東京が1588人で最も多かった。大阪の830人、神奈川の815人、愛知の793人、埼玉の789人、千葉の725人、兵庫の640人、北海道の623人が続き、人口の多い都道府県が上位に並ぶ。少ないのは鳥取の49人、徳島の50人だった。石川は1月と2月が「-」と記されており、9か月分の合計は64人となっている。
月ごとの動きは地域で違う。東京は毎月160〜190人台で推移し、9月も169人だった。愛知は8月に114人、9月に101人と、1〜7月の各月(66〜97人)を上回る水準が2か月続いた。一方、神奈川は5月の128人から8月は52人、9月は65人と少ない月が続いている。都道府県ごとの人数は小さく、暫定値の精査で動きやすい点にも注意がいる。
人口あたりで見た地域差は、年間の確定値で示される。前年の統計は都道府県別に自殺死亡率(人口10万人あたりの自殺者数)を載せており、今年分も年間の確定値を待つことになる。
大綱の目標年は今年 死亡率13.0以下
政府の自殺対策の指針である自殺総合対策大綱は、令和4年10月に閣議決定された。大綱は「令和8年までに、自殺死亡率を平成27年と比べて30%以上減少させる」との数値目標を掲げている。今年はその目標年にあたる。大綱は平成27年の自殺死亡率を18.5とし、30%以上減らすと13.0以下になると説明している。達成には自殺者数がおおむね1万6000人以下になる必要があるとも試算していた。
警察庁の統計で見た自殺死亡率は、平成27年が18.9、令和7年が15.6だった。大綱の18.5とは基にする統計が異なり、そのまま比べることはできないが、どちらで見ても目標の水準には届いていない。前年の自殺者は1万9188人で、大綱が示した1万6000人を3000人あまり上回っていた。
大綱はおおむね5年をめどに見直すことになっている。令和4年の見直しでは、子ども・若者の自殺対策の強化、女性に対する支援の強化、地域の自殺対策の取り組み強化などを加えた。今年の暫定値でも女性の減り方は男性より鈍く、前年は小中高生の自殺が過去最多だった。目標年の結果がどうなるかは、今年1年分の確定値で分かる。
悩みを抱えた人やその周りの人に向けて、厚生労働省は相談窓口を案内している。「#いのちSOS」(0120-061-338)と「よりそいホットライン」(0120-279-338)は24時間受け付けている。文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル」(0120-0-78310)もある。SNSやチャットでの相談窓口とあわせて、厚労省のサイト「まもろうよ こころ」にまとめられている。
